秘密に迫る
「席は…そうだな。愛莉の隣の席がちょうど空いているからそこにしよう。愛莉は面倒見がいいからな」
「あ、はい」
反射的に返事をしてしまったが、転校生の世話をすることによって少しでも代わり映えのない日々が変わるかもしれないと思った。
席に着くと萌花早速愛莉に挨拶をしてきた。
「色々と迷惑をかける事もあるかもしれないけど、これからよろしくね!」
そう言う萌花の顔には可愛らしい笑みが浮かべられていた。
「こちらこそ、よろしく。分からないことがあったら何でも聞いてね」
と、愛莉は答えた。
__数日後
席が隣なこともあって、愛莉と萌花はどんどん仲が良くなっていった。この日も二人で何気ない会話を楽しんでいた。
「萌花ちゃんって兄弟いるの?」
「いないよ。一人っ子なんだ。愛莉ちゃんは?」
「私はお姉ちゃんが一人いるよ。あんまり仲は良くないんだけどね」
その時、愛莉は萌花のガーゼと包帯の事について訊いてみようと思った。
「萌花ちゃん、前から気になってたんだけど、そのガーゼと包帯どうしたの?」
「ああ、そう…そうだよね…」
急に萌花の声のトーンが下がったので、愛莉は訊いてはいけないことを訊いてしまったのかと焦った。
「ごめん、そんなつもりじゃ…」
しかし萌花は覚悟を決めたような顔をしていた。
「分かった。まぁいつかは話さないといけないとは思ってたから。じゃあこのことについて、全部話すね」
そう言って、萌花は話し出した。