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ワイバーンの群れを時空の彼方にぶっ飛ばして大分機嫌も治ってきた。
「何か調子いいなぁ〜。良し!これなら長年の宿敵!あいつも何とかなるかも!」
ここ何年も挑戦し続けている憎っくきあやつの元へ行くべく転移魔法陣を描く。
「いざ!王宮宝物殿へ!」
王宮の厳重に警備されている宝物殿の中へ直接転移する。途中、結界が5重くらい張られていたけど、強引突破!
「ハハハ! こんな物で私を阻めると思うなよ!」
転移したら迷わず一番奥へ向かう。
そいつは今日も澄ました顔をして台座に深く収まっていた。
「ふふふ〜、今日の私は一味違うのだよ。そうやって澄ましていられるのも今のうち!覚悟しなさい!」
そう言って魔力を最大に練り込んだ両手で、『神剣 エクスカリバー』を引き抜きにかかった。
「ふぬぬぬ〜! むふ〜! ハァ〜! ……ぜいぜいぜい。
なんで抜けないの!こんの〜、いい加減に諦めて抜けなさい!」
引いてもダメなら、台座ごと壊してやろうと魔力を練り、地の極大魔法「グラディエス」を放とうとした所で、のんびりとした声が掛かった。
「はい、そこまで〜。抜けないからって地の極大魔法放とうとするのやめてよ〜。王都が壊滅しちゃうじゃない。相変わらずヨーコは無茶苦茶だなぁ」
いつの間にか、すぐ後ろに元勇者で現国王のマサユキが立っていた。
彼は私の放とうとしていた「グラディエス」をあっさりと無効化するとのほほんと笑う。
「くっ!さすが年食っても元勇者ね。私の極大魔法をあっさりと無効化するなんて…… 一年ぶりね、マサユキ」
「こっちでは5年ぶりだけどね。今回もまた大掃除でキレて暴れにきたのかい?」