箱庭の呪い
「箱庭の呪い……??」
箱庭の呪い。……確かハーレムルートだとめちゃくちゃ強い静乃へのデバフだったっけ。
そのデバフは確か聖の一キロ範囲外から対象は出られない。聖と感覚共有し、ただし聖は対象の感覚を共有しない。そして呪いなので、静乃が死ぬか、聖が死ぬまで解除出来ない。
確か、ハーレムルートは攻略対象よりも聖と一緒に居るから、静乃が聖を好きになるでしょうというトンチンカンなゲームの製作者のせいで、このルートだと静乃は聖を好きになる。
聖だけじゃなくて私は攻略対象にも殺される可能性しかないので恋愛的な意味で好きは即ち、死に直径する。
まぁ……。だけど、今の押し倒されて馬乗りにされてるし、下手な事を言うとキレて、殴られそうな感じだなぁ。
「そうです。簡略的に言えば、あなたを縛る呪いです」
そーいえば、ハーレムルートだと聖って静香が好きな相手になるんだっけ。
いや、乙女ゲーって言ってんだろ。突然百合ゲーじゃんかこのクソゲー製作者。
「そう」
呪いなんてもうそれは正直どうでもいい。
自分の弱体化なんてただ聖が怪我とかしなければ無効だし、それに私的には入寮早々に温泉に入る予定だったから、さっさとこの話を終わらせて欲しい。早く入りたい。
「……また、余裕ぶるんですか」
「いや、ないわよ。……だけど一つ教えて」
「なんですか」
「温泉に行く時にタオルとバスタオルは自前のを持っていけばいいの??」
「は?」
聖的には思ってもみない質問だったみたいで、キョトンとしている。
「いや、だから私。温泉今から行きたいんだけど、本当にタオルとバスタオルは置いてあるのか、持っていかなきゃいけないのか聞いているのだけれども」
私の中では重要な質問よ。これ。だって持っていくなら、あの少ない荷物の中から荷解きをさっさとしてタオルとバスタオル持っていくし、使い放題なら有難く借りる事にするし。
「……」
じっと私を見つめる聖。なんだか見定めている様な目をしていた。
「この学校の温泉はタオルとバスタオルは女湯に入ってすぐの所に両方置いてあるので使い放題ですよ」
「おお……。流石金持ち学校」
なるほどなるほど。こりゃあ、温泉いけば面倒な洗濯物が増えない。最高じゃん。
なんて思っていると聖はため息をついて、私から退く。
「……もういいの??」
「どうせ、あなたとは同室ですからね。まだまだチャンスはあります」
ふむふむ。お前なんていくらでも問い詰めるチャンスはあると。
「そう。じゃあね」
私も身体を起こして、真ん中に荷物を端に置いてからさっさと浴室で制服から私服に着替えて温泉へとルンルンで向かった。