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静乃の悩み

 私が悪魔の方の人格かもしれないと思い、とりあえず他人にはレシピ本に見える悪魔付きが読める本をこっそり借りておいた。


 正直料理ばっかり作ってる私が借りても違和感はないし、聖にも怪しまれないし。

 うーむ。ページを捲ってみると、悪魔の方の人格は義理堅いが冷淡で残酷な事が多い、らしい。


 義理堅い……。もしかしてそれだから今までの静乃の性格が悪魔の方だったのかもしれない。


「ゲームだと百パーセント、ラスボスだったし」


 でも、恋している所は普通の少女みたいだったし、もしかして性格が切り替わってたのかな、なんて。

 まぁ、さっぱり分からないんだけど。……はぁ、もうすぐ登校時間なのに、悩んでるせいか心なしか頭が痛いし、身体も重い。


「分からない事を柄にもなく考えてたのが悪かったのかなぁ……って、そんな訳あるか!!!!」


 ついつい自分でノリツッコミをしつつ、普通に症状的に風邪かもしれないと直ぐ様、体温計で体温を確認する。


「この身体のせいで痛みに慣れすぎてたのも問題だなぁ」


 基本的に能力使う時に頭をハンドガンで撃ち抜くから頭もその時痛いし、身体も無理矢理動かせそうとかなら、能力でなんとかするし、美純にサーベルでやられた怪我も軽く痛みはまだあるし、傷跡もまだ全然消えてない。


 正直悪魔付きなせいで、痛みは二倍痛いし、自然治癒でしか回復もできないし、治りも普通よりも遅い。更に聖に掛けられた箱庭の呪いのせいで聖と感覚共有もしてるから聖がダメージ喰らえば私も喰らうし。

 なんて、ぼんやり考えてたら体温計が鳴る。


「何度だろ……って、三十六度六分。平熱じゃん」


 という事は、未だに全く起きて来ない同室の女が風邪かもしれない。


「……はぁ、露骨に聖、嫌がるだろうな」


 とりあえず、頭は痛いし、身体が重すぎるのでハンドガンで自分を頭を撃ち抜いた。すっごく痛いけど、慣れと言うのは怖いもので、考え的に「この痛み我慢すれば痛くなくなるもんなー」と楽観的になっていた。


「これで脳に平熱状態だって操って、誤魔化してやれば、普通に動けるかな」


 さてと、聖を起こしに行きますかな、とまたため息をついて向かう。


「聖、そろそろ起きて……って聖!?」


 寝室を開けると、体調が悪くても聖は制服に着替えようとしていたのか、中途半端に着た制服、そして聖は倒れた拍子運良く布団に倒れたみたいだ。


「……うるさいですよ」


 体調が悪いせいか、いつもの嫌味が嫌味に聞こえない。


「……具合悪いんだから、休みなさいよ」

「静香に会えなくなるじゃないですか」


 あー。そっか、コイツ、静香大好き人間だもんね。静香に会えなくなるのが嫌なら、なんであの時……って、私が怪我していた時は自分の母親も病気がちだから、怪我とかしてる人間を放置出来ないだけだったっけ。


「あー、はいはい。聖が静香大好きってのは分かった分かった。でも、それで静香がアンタの風邪貰ったらどうするのよ」

「……休みます」

「そ、それでよろしい。学園に連絡入れとくわね」


 ま、私もこの状態の聖を一人にするのは気が引けるから一緒に休むけどね。


「とりあえず、制服脱いで」

「嫌です」

「……はぁー。とりあえず、聖の寝巻きのジャージ持ってくるから着替えて寝て、その間にこの体温計で熱測りなさいよ」


 聖のやつ、私の事がどれだけ嫌いなのよって感じな気持ちだけど、病人にイライラしてもしょうがない。

 寝室に聖のジャージを置いて、そのまま私は常備している冷却シートを探して、そのまままた寝室へ。聖から体温計を受け取るとやっぱり熱がある。


「うわっ。アンタ、三十八度九分もあるじゃない。これ貼って寝てて。それと何か欲しいものとかして欲しい事があったらするから」

「……特にないです」

「分かった」


 ま、全然眠れないより、寝れるのなら問題ない。とりあえず、聖が起きたら卵粥でも作ってあげようかな。

 食わないって言っても無理やり食わせてやろう。


 それにしても、箱庭の呪いの感覚共有って改めてヤバイな。私が熱は無いのに、聖があるだけでも普通に能力使わなきゃ、キツイし。例えばうっかり聖が死んでしまえば、私も一緒に死ぬって事だし。


 はぁー。かなり致命的なのは聖が私の事を大嫌いという事だし。……私の事が嫌いな女と運命共同体になってしまったな。


 ま、とりあえず聖が寝てる間に静香辺りに会いに行って(ついでに連絡先を交換する)、聖の事をちょっと聞いてみるか、聖が寝込んでる時の話とか聖から前に聞いてるかもしれないし。







 授業の休み時間を狙って静香のクラスに行ってみる。

 すると静香は私がクラスの人に呼んできて貰う前に私の姿を見て来てくれた。


「お姉さま! どうしたのですか?」


 流石は双子! こういう時は謎の以心伝心しちゃうな。


「聖の事でちょっと話があるんだけど」

「聖ちゃんの事、ですか?」


 という事で、静香の連絡先もちょっと聞き出して、聖が寝込んでる時に何をよく食べてたかとかを静香から聞き出す。


「ふーん。聖ってお粥よりもうどんの方が好きなんだ」

「そうですよ。聖ちゃん、寝込んだ時にお母様の作る野菜がいっぱい入った鍋焼きうどんが好きだって言ってました」


 鍋焼きうどんか。普通は素うどんだと思ってたけど、うーむ。栄養点では文句はないけど、具合悪い時に聖はそんなにいっぱい食えるのかな?


 まぁ、量少なめの鍋焼きうどんなら食べれるかもしれないし、作ってあげようかな。


「分かった。ありがとうね。静香」

「お役に立てたなら良かったです。……聖ちゃんにはお大事にとお伝えしてください」

「うん。聖にそう伝えとくね!」


 さてと、鍋焼きうどん……の前に、医務室行って解熱剤もついでに貰って帰ろうかな。

 

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