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幽霊騒ぎ、決着

「えっ……どういう……??」

「言ノ葉の言葉の通りだよ。私は言ノ葉のお陰で死んだ」


 言ノ葉はヘタリ込み、美純はその目の前に立って見下す。


「で、でもその人、幽霊じゃ……ない、よ!」

 ウルのその言葉に余計に訳が分からなくなった。

「え、どういう事?? 死んでないならなんで……」

「多分、一回死んだ時にことちゃんが言霊付きの力で身体に魂を強引に戻した……だから……」


 ウルは少し言いづらそうにしている。そのウルに代わって銀が答えてくれた。


「その子はその時に悪霊に取り憑かれやすくなったんだろう。そう言いたかったんだろ?? 金髪の君」

「う、うん。魂を強引に戻した時に余計なモノまで入りやすくなってる。だから今のあの子、悪霊」


 言ノ葉はぽつりぽつりとその時の事を語ってくれた。


「美純ちゃんはここで私が悪霊に襲われた時に私を庇って……一回呪い殺された……でも身体は無事だったから、言霊の力で強引に引き戻したの……死んで間も無いなら、まだ魂はそこにある筈と思って……。それから美純ちゃんはずっと目を覚まさないままだったから、私のせいで……」


 銀は自分の両腕の治療が終了したのか、さっきのナンパしていた時の表情は消え、真面目な顔をしていた。


「ありがとう。言ノ葉、辛いのにその時の事を話してくれて。じゃあ、今の梶さんはウルの言った通り、悪霊に乗っ取られてるのか。……ふーん。じゃあ、天堂さんはホワイトナイツ寮の梶さんがこの騒ぎの犯人って知ってたのね」

「まぁ、私も食堂のマダム達に噂を聞いていたからね。聞き込み調査をしていたら最近うちの寮で居なくなった生徒が居たからね」


 梶 美純なんてキャラ居たかなぁ。言ノ葉の友達とかよく知らないし、モブなのでは??

 でも、こんな赤髪元気系美少女面のモブ居るか……??


「ちなみに彼女の能力は??」

「物真似付きという能力で、一回見た能力を劣化版だけどコピー出来る能力だよ。世界に数人しか居ない」


 はい! そんな能力、モブじゃない!!!!!!

 これは完全に私の知らないキャラだ……。完全ノータッチのキャラだ

 あのクソゲー。一回ハーレムルートクリアしたら満足だったし、というかまたやりたくなかったし、イケメンのスチル見れたしもういいやって放置したゲームだったもんなぁ。

 そりゃあ、私の対して知らないキャラいっぱい居そう。


「なるほどね、彼女の能力そりゃあ悪霊が欲しがるか。ちなみに天堂さんはどうやって悪霊から梶さんを解放しようと思ったの??」

「私の魅力で……って美しい人、私の方に無言でハンドガンを向けないでくれ。冗談だよ。まぁ背後に居る悪霊を上手く斬り捨てて行けたら……って思ってたけどね。声を掛けた時点であの有様さ」


 ふむふむ。どうしたもんかな。切り離しても実体がないから多分ダメだろうしなぁ。私の力で操ってもいいけどそん時だけだもんなぁ。本当に誰か成仏させれる人とか……。


「あ、居るじゃん。悪霊成仏させられる人」

「え? 何か策があるのかい??」

「ええ。あるわよ。策。天堂さん、ホワイトナイツ寮から静香を呼んできて欲しいんだけど……」


 銀が呼びに行っている間、普通に美純とハンドガン片手に言ノ葉とウルを守りながら戦うしかないか……。向こうはそんなにずっと待ってくれそうにないし。

 







「お姉さま!」

「静香。待ってたわ。作戦は天堂さんから聞いた??」

「はい。大丈夫です。……美純ちゃんを私の力で救えるなら」

「じゃあ、ウル。私が合図したらよろしくね」

「わ、わかった」


 ウルは食堂に置いてある中身に何も無い、いつもの人形を何体も自分の前に置く。

 そして私はハンドガンで美純の後ろに居る禍々しい悪霊に向かって力を放つも、向こうも上手く避けるので中々当たらない。せっかく銀がウルと言ノ葉を守りながら、鬼火で私のサポートしてくれてるのに。


「チッ……ちょこまかと!! 射撃の訓練しとけば良かった」


 撃っている最中に美純は私の足めがけて、サーベルを振り落とす。かすっただけでも私には致命傷だ。


「ぐっ……!! ムカつくっ!!!!!!」


 正直、待ってる間に結構刺されたり、掠ったりする度に自分にハンドガンを撃ちまくっていたから全身めっちゃ痛い。

 文句を言いつつも、私はよろけながら撃つが全然当たらない。


「……はぁ。この手は使いたくなかったけど」

「何を考えてるかは知らないけど、死ね!!!!!!」


 美純は私の頭に今度はサーベルを振り落とす。私はそれを避けずに右手でそのままサーベルを受けた。


「……はぁはぁ。悪霊共、手間かけさせたわね」


 美純はサーベルを引き抜こうとするがそうはさせない。私はそのまま血だらけでもう痛みの感覚もない右手で強く握り締める。


「チェックメイトよ」


 私は美純の後ろに居る悪霊達に向かってハンドガンで撃ち抜き、そのまま操って、ウルの前まで持ってくる。するとウルが魂付きの力で人形の中に悪霊達を入れた。


「実体があるなら大丈夫でしょ。……静香。後は頼むね」

「わかりました。お姉さま」


 そう。聖女付きの静香は触った相手を浄化出来る能力がある事を思い出した。

 だから静香に人形の中に入った悪霊共に触り強制的にどんどん浄化して、消えてもらおうという作戦だ。


「クソ!!!!!! 己!!!!!! 悪魔付きめェ!!!!!! 貴様ァ!!!!!! 貴様はこちら側のクセにィ!!!!!!」


 自分の右手にハンドガンで撃つ。少しグーパーして、自分のネクタイを外してそのまま巻き付けてとりあえず止血した。


「そう。言いたい事はそれだけ? 確かに私は悪魔付きだけど、皆が皆、悪魔付きが悪い事する訳ないじゃん」

「クソォォォォ!!!!!! 貴様など……!!!!!! 貴様など!!!!!!」

「静香」

「はい。わかってます。お姉さま」

「さようなら、悪霊さん」


 静香の前に最後まで抵抗していた悪霊をウルは人形にぶち込み、静香の力で浄化されて消えた。


「はぁ……これで一件落着じゃないわよね」

「……そ、そうですね。お姉さま」


 私はチラッと悪霊が抜けてそのまま倒れた美純を見る。一方静香は幽霊が怖いのか私の後ろでブルブル震えていた。


「おや、怖いのかい?? 聖女静香。そんなに怖いのなら、私の胸に……って美しい人。無言でハンドガンを向けるのは辞めてくれないかな? 冗談だよ」

「はぁ。その冗談は良いとして、このまま静香と一緒に梶さんを……」


 言ノ葉の方を向くと凄く心配そうな表情をしている。まぁ、そうだろうね。言ノ葉の大切な親友……だから。


「言ノ葉も一緒にホワイトナイツ寮の医務室に連れてってくれない?」

「ああ。良いよ。……君は良いのかい?? その全身の怪我。いくら君の能力で何とかなってると言っても……」

「ああ。悪魔付きは簡単には死なないけど、怪我とかも簡単に治らないしなぁ」

「じゃあ、私が……」

「ごめんね。静香。聖女付きの力を持ってしても相性悪くて治らないの。でも、傷は必ず治るけど、治りが遅いだけだし心配しないで」


 我ながら本当に悪魔付きってタチが悪い力だ。強力な力のクセに何の能力でも傷は癒せないし、二倍痛いし、本当にクソだわ。痛くて動かせなくても、自分で操って痛み誤魔化すってアホか。普通に治療出来る能力欲しいわ。

 まぁ、それにしても心配そうに私を見る静香の頭をポンポンして、私はデビルブラッド寮の医務室に直行しよう。

 いや、全身血だらけのヤツに安心しろなんて行っても心配だよね。ごめんね。静香。嘘もついた。本当は立ってるのもキツイ……血が足りない。


「ウル。……ごめんだけど、デビルブラッド寮の医務室まで私に肩貸して」

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