第83話 裏切り者のケジメ
こんばんは。
今日から戦後処理の話が始まります。
多少あっさりしているかもしれませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。
リオーネの奪還後に行われた戦後処理は、かなりトントン拍子に進んでいった。
というのもその理由はシンプルなもので、ギーアの人間の大半が事前に調べていた通りの下衆の集まりだったからに他ならない。
ショウジ以外にも女性奴隷を凌辱していた人間は多かったのだ。
にもかかわらず、いざそれを会議の場で問われると――。
「だからどうした、捕らえた奴隷に何したって許されるのが飼い主の特権だろ!」
「この世は弱肉強食なんだ、弱い奴を甚振って何が悪いんだ!?」
と、開き直る始末。
しかし、一周回ってそれはまだマシな方だった。中には――
「違う、俺はやってない!」
「あれは誤解だったんだ、ほんの手違いで犯っちまっただけなんだ」
こういう返答で自分の罪を認めない輩も出始めた。
ところが、そんな嘘はある者の魔法術で悉く見破られてしまう。
「……はい、全員嘘つきまくりんぐっすわ」
嘘を見破る赤羽のハーピー、エミリーが呆れたような声色で呟きながら背後に座っている誇太郎とフィガロに向き直る。
「若様、コタロウさん。こいつ等も全員粛正案件でよろしい的な?」
その質問に対しての二人の答えは言うまでもない。
「もちろん♪」
「命惜しさに嘘を付くなんざ人の風上にも置けねえ、全員大叫喚地獄の片道切符を持たせてやれ」
「何とか地獄とかってのはわけ分からんっすけど、了解っすわ。んじゃま全員、イサークさんとこにムービングさせるんで」
エミリーがそういうと同時に、嘘を吐いたギーアの人間たちは外へ強制的に連れられていった。
そこでは同じように手が後ろに回っているギーアの人間達でひしめき合っている。
何が始まるのかは言うまでもない、罪を犯した者達の粛清もとい処刑だ。
その粛清を担ったのは、セルソを「兄貴」と呼んで慕うこの獣人だ。
「ほい、イサっち。これパトリシアさんから譲ってもらった魔法術の雷だよ。思いっきりバチっちゃって、コッコデー」
「レベッカぁ、任せろ♪ ウィヒヒヒヒヒ!!」
サイの獣人、イサークだ。
エルフ少女のレベッカから手渡されたマグカップを手に取り、ぐびぐびと飲み干した瞬間――。
バリバリバリいいいいいいっ!!!!!
イサークの身体から紅色の雷が勢いよく放出された。
「ウィッヒアアアアアアアアアアアアッッ、これこれこれええええええええっ!!! 雷のスパーキングな刺激、マジたまんねえぜっはああああああああああああああっ!!!!」
「な、何だよあれ!?」
「あんなの……さっきの戦いで見せなかったじゃないか!」
恍惚とした表情で雄叫びを上げるイサークの姿に、ギーアの人間たちは震え上がる。
「ギーア製の外道さん、こんがり焼けてくださいなあっ! バーベキューファンタジスタああああああああっ!!!」
そうイサークが技名と共にハイテンションに叫んだ次の瞬間、紅色の雷が轟音と共にギーアの人間たちを包み込んだ。
「あわばばばばばばば!!!!」
「ぎゅえええええええええええええええええええっ!!!」
「ぎいぃいいいいいいいいいいい!!??」
鶏を絞め上げたような断末魔を上げながら、ギーアの人間たちは一人また一人と倒れていく。
しかし、イサークの勢いは止まるどころか爆笑しながら更に増していくばかりだ。
「まだまだ止まんねえぜええ、ウィッヒアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!」
そんな光景を邸宅の二階から龍人族のパトリシア、スカンクの獣人バレンティアが眺めていた。
「……ねえ、パトリシア」
「何よ?」
「改めて見て思ったんだけどさ、アンタの紅雷……こんなに凄かったっけ?」
イサークの勢いに半ば引き気味にバレンティアが尋ねると――。
「はあああ!? 誰に向かって言ってんのよ、この下等種族ぅ! 私の紅雷は元々凄いんですぅー! エレメントマグの効果も混ざってより強力になってるんですぅー!!」
顔を真っ赤にしながらパトリシアが猛反論した。
「ごめんって、そこまでムキにならなくてもいいじゃん」
「だったら最初から聞くな、馬鹿!! それよりもアンタこそ、お腹の怪我……大丈夫なの?」
「えっ、ああ……何とかね。ロッサーナさんがしっかり治してくれたおかげで、オナラも自由に出せるくらいまでには治ったよ。何ならその鼻で確かめてみる?」
そう言いながら、バレンティアはお尻をくいっと差し出す素振りを見せる。
するとパトリシアは、過去に顔面騎乗ですかしっぺを嗅がされたトラウマを思い出してしまい、青ざめた表情で激しく首を横に振る。
「思い出しちゃうからやらないで、お願いだから!!」
「……冗談だよ」
「冗談でも言わないでよ!! ま、そんな減らず口叩ける余裕あるみたいだし……良かったわ」
「ってか、気遣いできたんだね。意外」
「意外って何よ、この下等――」
と、再びパトリシアが噛みつこうとしたその時――。
「うるさいゾ、この馬鹿者ども!!」
治癒魔法を扱うエルフのロッサーナの喝が二人の耳に叩き込まれた。
「こっちは治療中なのだ、少しは静かにしないか!」
「「ご、ごめんなさい……」」
ロッサーナに叱られたことにより、二人は医務室の近くだったことを思い出し素直に謝罪する。
「それにバレンティア、お前は早く会議の場に向かった方がいい」
「えっ? アタシ、ですか?」
首をかしげるバレンティアに、ロッサーナはこう告げる。
「ギーアの人間たちの大まかな粛清は済んだ。となれば、次に裁かれるのはカーラになるのだゾ」
「あっ……そっか、もうカーラの出番なんだ……」
「そうだゾ。思う所があるなら庇えるうちに庇ってやれ」
「……ありがとう、ロッサーナさん。行ってくる」
一言そう告げて、バレンティアは会議室へと向かっていった。
戦いを通じて友好を結んだ、戦友の行く末を見守る為に。
そんな彼女の背を見ながら、パトリシアはロッサーナに尋ねる。
「ねえ、正直な所どうなのよ?」
「何がだゾ?」
「……カーラとかっていう、ハーピー族の裏切り者の処遇。もしも同族だったらどう判断するのかってさ。ちなみに私は絶対許さないから」
自分の意見を伝えながら、パトリシアはカーラの行方がどうなるのか気になっていた。
対するロッサーナは、肩をすくめてこう答える。
「真っ当に考えるならば、先ず里を売った裏切り行為は許されんだろうゾ。特にハーピー一族は義理堅い種族ゾ。少なくとも、無罪放免にならんことは濃厚だろうな」
*
邸宅の執務室。
元の主であるパオロの執務室にて、戦後処理の裁判は佳境へと差し掛かっていた。
出席者は司会兼裁判官ポジションとして鎮座する誇太郎とフィガロ。
誇太郎が気絶しないように監視役を担っているエルネスト。
進行役を任されたハーピーのエミリーと、その族長である妖艶な緑髪と豊満な体つきが特徴的なフェデッラ。
そして、被告側にはヒクイドリのハーピーであるカーラと、ランハートを筆頭にギーアの投降者たち六名が今にも自決しそうな表情で判決を待っていた。
特にカーラの方は如実であり、族長であるフェデッラはもちろん、親友であるエミリーにも顔向けできず、戦後処理の裁判が始まってからずっと俯いてばかりだ。それだけ己が犯した罪の重さに遅ればせながら気付き始めているのだろう。
すると――。
「あの……ちょっといいかい?」
そんな重苦しい空気の中、沈黙を破るようにランハートが挙手する。
「ギーアの裁きは終わったんだよな? だったら、何で俺たちだけここに残されてるんだ?」
「まあそう焦るな、アンタ等の沙汰も直に伝えるから」
ランハートの疑問に対し誇太郎がなだめるような口調でそういうと、改めてカーラの方へ視線を向ける。
「ではこれより、里を売ったハーピーであるカーラの処遇を決める会議を始めます。先ずは……カーラ」
「は、はい……っ」
誇太郎に呼びかけられ、カーラは怯えた表情で彼と視線を合わせる。
「これから行う会議は君の犯した罪に対して、どうケジメを取るかの話し合いだ。ただ、君が里を売ったことに関してはエミリーとバレンティアからざっくり聞いてる」
「エミりんと……バレンティアさんから……?」
「そうだ。彼女らの意見と罪状、それら全てを含めた上で君の沙汰を下そうと思う。だからカーラ、はっきり言っておこう」
一旦ここで言い切って、誇太郎は圧を込めて告げる。
「……ここから先は嘘も誤魔化しも通用しない。必要なのは君が里を裏切ろうとした真意、ただ一つだ。それを族長であるフェデッラ殿や俺たちに納得できるように説明しなきゃいけないんだ、その覚悟はあるか?」
「……はい」
カーラの声は震えてはいたものの、真正面から立ち向かう強い目をしていた。
誇太郎はそれを確認すると、今度は族長のフェデッラに目を向けて尋ねる。
「族長さんもそれでよろしいですね?」
「構いませんわ。我等はあなたに救われた身ですもの、裁判の流れはあなたのご判断に委ねます。尤も……カーラの件に関しては我等も口出しさせてもらいますけども」
「ありがとうございます。それじゃあ……カーラ、改めて君が里の情報を売ってしまった経緯を説明してほしい」
「分かりました……」
静かに頷いた後、カーラは訥々と自身が裏切った経緯を説明し始めた。
バレンティアに説明した時と同様に語るカーラの過去は、エミリーの予想を裏切る残酷なものだった。
意図的に里の情報を売る奴じゃない、エミリーはそう信じていた。
ところが真実は、カーラ自身の意思で里を売ってしまうというエミリーの想いとは正反対のものだった。
いじめから解放されたいがためにショウジにいじめっ子達の殺害を頼み込んだこと。
そして、「殺害依頼をばらされたくなければ里の情報をよこせ」と脅されたこと。
真実を一切合切話し終え、カーラは涙ぐみながら声を振り絞った。
「こんなことになるなんて……思わなかった……。ワタシは何てことをしてしまったの……」
泣き崩れるカーラを見つめるエミリーも、その真実を前に愕然とした表情になったのは言うまでもない。
無論、誇太郎も事前に聞かされていた情報以上の衝撃的な真実に驚かずにはいられなかった。
しかし、迂闊にその感情を表に出すわけにはいかない。誇太郎は無理矢理その気持ちを押し黙らせて、公正に会議を進めるべく今度は族長のフェデッラに尋ねる。
「……と訴えてますが、族長さん。あなたの村でカーラがいじめられていた……ということはご存知でしたか?」
「いじめられていた……と言うよりも、私の元には『年頃の子供のじゃれ合い』という形で伝わってました」
「でも真実は、陰湿ないじめだったと。これは認めますか?」
「……エミリーの羽が光っていないことが証拠でしょう、認めざるを得ませんわ」
苦々しい表情でフェデッラは頷いた。
彼女としても本当は認めたくなかったのだろうが、カーラの告白は嘘ではないことは証明されている。
それを踏まえた上で、誇太郎はフェデッラに尋ねる。
「族長さんとしては、カーラにはどう裁かれてほしいですか?」
「……決まっているでしょう」
そう前置きして、フェデッラは容赦のない求刑を誇太郎に告げる。
「里の裏切り者として、死罪以外ありえませんわ。理由はどうあれ、あの娘が密告しなければこんな惨劇は起きなかった。犠牲者も出ている以上、命で償ってもらわなければ割に合いません」
――やはり、そう来るよな……。
予想通りのフェデッラの返答に、誇太郎も納得は難しくも理解はできた。
すると、勢いよく扉を蹴破る音と共に一人の少女が飛び込んでくる。
「ちょっと待ってよ! いくら何でもそれはないんじゃないの!?」
飛び込んできたのはバレンティアだ。扉の外から耳にしたのだろう、フェデッラが告げ終えた直後の出来事だった。
「カーラは長い間ずーっと苛められてたんだよ! 家族がいないからとか、飛べない鳥だからとか、叫び声がおぞましいとか色々理由付けて!! カーラだって望んでそんな風に生まれてきたわけじゃないんだよ!!」
「バレンティアさん……」
黒白模様の尻尾をぴんと逆立てながら、バレンティアの剣幕は更に激しくなる。
「それに、族長さんだっけ? カーラから聞いたんだけどさ、最低最悪の下衆野郎に魂売るくらいまで追い詰められてるってのに……どうしたら『年頃の子供のじゃれ合い』なんて都合のいい解釈できるんだよ!! そもそもアンタ達大人がしっかり事実確認していたら、こんな大事にはなってなかったんじゃないの!?」
「何ですって……?」
「……族長、その件に関しちゃあーしも同意見っすわ」
「エミリー、あなたまで……」
バレンティアの意見に呼応するように、ずっと黙り込んでいたエミリーもフェデッラに物申す。
「一族視点じゃカーラを許せないのは理解度百パーなんすけど、やっぱ……あーしには受け入れられねんすよ。本音ぶっちゃけりんぐすっと、親友として……カーラを守りたい。アイツは……ただ単にいじめから解放されたかっただけなんだ、心がグチャグチャに壊されて逃げ場が欲しかっただけなんだ。それなのに……死んだ加害者を擁護して、カーラに罪を擦り付けて終わりにすんのは酷すぎねっすか!?」
「そうだよ!! 子供に責任押し付けて自分たちだけ逃げようとすんな、この馬鹿ああっ!!」
「黙って聞いてれば、好き勝手言ってくれるわね……」
「何よ、やるって言うの!? いいよ、とことんぶっ放してや――」
女性陣が互いに一触即発になろうとしたその時――。
「ゴアアアアアアアッ!!!」
執務室の窓ガラスをいくつも破壊するレベルの咆哮をエルネストがあげたのだった。それにより、その場にいるメンバー全員が押し黙る。
「ガタガタガタガタうるせーぞ、下等種族共が!! まだ会議の途中だ、黙っとけクソ共!!」
エルネストの怒鳴り声に続き、フィガロも冷徹な声色で言葉をつなぐ。
「エルネスト君の言う通りや。一先ず落ち着いてくれへんかな、二人とも。これ以上騒ぐ気なら……僕の毒で黙らせるで」
「……さーせんっす、若様」
「申し訳ありません、柄にもなくカッとなってしまいました」
「ごめん……でもさリーダー、アタシの言うことも分かるでしょ!?」
「……ああ、分かるとも。だがなバレンティア、その気持ちだけで解決するほど……今回の問題は簡単じゃない。どちらの言い分も分かるからこその話し合いなんだ、分かってくれるな?」
「だけど……」
「……分かってくれるな? 三度目は言わせるなよ」
フィガロに負けぬレベルの圧で誇太郎が告げると、バレンティアは今度こそ黙り込んでしまった。
それを確認した上で、誇太郎は自身の結論を告げる。
「とりあえず……ここまでの話をまとめた上で、俺の意見を言わせてもらう。一個人の意見としては、カーラを死罪にするつもりはない」
「えっ……!」
喜びに口元が綻ぶバレンティアとエミリーとは対照的に、フェデッラは不服そうに誇太郎に尋ねる。
「死罪にしない……その理由は何でしょう?」
「理由はバレンティアの指摘通り、大人たちの監督不行き届きによるものです。確かにカーラは里を売ってしまった裏切り者ですが、そうなってしまったのは彼女がいじめから解放されたかったからです。この問題にもっと真剣にハーピー一族が取り組んでいたら、こうはならなかったと思いますが?」
「……そうですわね、でもこのまま彼女に何のお咎めなしにするおつもりですの?」
フェデッラの質問に、誇太郎は静かに首を横に振る。
「そのつもりはありません。ただ……」
「ただ?」
「族長さん、彼女の罪……俺に引き受けさせてくれませんか?」
「引き受ける? どのように?」
フェデッラがそう尋ねると同時に、誇太郎は彼女の目の前に一つの麻袋を差し出した。
よく見ると袋の底は赤黒く汚れている。
「開けてください」
誇太郎の指示にフェデッラが袋の口を切ると、彼女は思わずのけぞってしまう。
なぜならば、麻袋の中にはショウジの生首が白目をむいた状態で保管されていたからだ。
「カーラに代わって、俺が彼女をカタにはめた下衆野郎を粛正しました。そいつの首一つでどうか許してはもらえないでしょうか?」
「……」
「この条件で不服ならば、追加条件として……あなた方ハーピー一族の復興も協力させていただきたい」
「何ですって……?」
予想だにしなかった好待遇な条件に、フェデッラは目を丸くした。
「フィガロ王子と攻め込む前に話し合ったんですよ。解放した後の種族はどうすべきかって」
「リオーネからは離れているけれど、ハーピー一族もギーアからのちょっかいは多かれ少なかれ受けてたはずや。何せ君等ハーピー一族は世界の情報網を握る種族やからね、強引な手段で迫ってくることもあったやろ?」
「……なるほど。その男の首と里の復興を条件に、我等と同盟を結び……引いては我らの情報力を手にしたいと」
「まあぶっちゃけた話、強く否定はせえへんよ。ただ今後とも、ギーアという共通の厄介者を監視し合う為に良好な関係は築いておきたいとは思うとる。その為にも君等ハーピーの情報力は必須なんよ。悪い話ではないと思うんやけど……どうかな、フェデッラさん?」
やや含みのあるフィガロの提案ではあるものの、フェデッラに断るという選択肢はなかった。
「そこまでの条件を提示されたら、断るのは損でしかありませんわね。分かりました、カーラの件並びに同盟の件はそちらの条件と引き換えに見逃しましょう。ただ……最後に一つ、カーラと話をさせてほしいのですが……よろしいでしょうか?」
「どうぞ、ごゆるりと」
右手をそっと上げて、誇太郎はフェデッラに促した。
フェデッラは面を上げたカーラに近づくや否や、自身の大きい緑の翼で容赦なくカーラを平手打ちする。
「「カーラ!!」」
「邪魔するな、二人とも」
駆け寄ろうとしたエミリーとバレンティアを、誇太郎が一喝して制止させる。
「後は……あの二人の問題だ」
「フェデッラ……様……」
「あなたに二つ、言っておきます」
「はい……」
「一つ。自分の手を汚してまであなたを庇ってくれた恩人に報いるよう、一ハーピーの一人として死に物狂いで頑張りなさい」
「はい……」
「二つ。あなたが招いてしまった犠牲者の分までしっかり強く生きなさい、そして……その人達の分まで目一杯幸せになりなさい。それまで途中で命を投げ出すことは絶対に許しません。それがあなたにできる償いです、いいですね?」
「……はいっ!!」
力強くカーラの返事を受けると、フェデッラは誇太郎とフィガロに一礼して執務室を後にしていった。
そして入れ替わるようにカーラが誇太郎達の前に跪いて叫ぶ。
「コタロウさん、フィガロ王子様! ワタシの罪を被るだけでなく、リオーネの住民並びにハーピーの里を救ってくれたこと……心より感謝いたします!! このご恩は決して忘れません、どうか……ワタシに償いの機会を与えてください!!!」
魂の籠ったカーラの懇願に、フィガロと誇太郎の答えは言うまでもなかった。
「もちろん♪ そういうと思うてね、君に相応しいポジションをコタロウ君が用意してるんよ」
「相応しいポジション?」
「まあ、それは後日コタロウ君から説明があると思うから。その時にまた詳しくね♪」
「分かりました……!」
力強く一礼するカーラを見ながら、誇太郎は黙り込んでいたランハート達に視線を向ける。
「尚、ギーアの冒険者集団であるランハート一行」
「あ、ああ。俺たちかい、コタロウさん?」
「お前等にもカーラと一緒に後日説明を受けてもらうよ、いいかな?」
「分かった……いずれにせよ、俺たちはアンタに従う。皆もそれでいいな?」
ランハートの仲間である五人の仲間達も、渋々ながら首を縦に振った。
それを見届けた上で、誇太郎とフィガロは告げる。
「よし。以上で戦後処理の会議は終わりや!」
「皆、長い時間付き合ってくれてお疲れ様。後で解放を祝う宴をやると思うけど、それまで一時解散な!」
誇太郎のその一言を最後に、執務室にいるメンバーは解散していった。
ただ二人、誇太郎とフィガロを残して。
*
全員が執務室を後にしたと思いきや、一人残った誇太郎にフィガロは首をかしげる。
「……あれ、君も行かんでええの? コタロウく――」
とフィガロが続けようとしたその時、誇太郎の鉄拳が彼の頬を捕らえていた。
そう、誇太郎とフィガロが残ったのは他でもない。
二人だけの極秘な話し合いが残っていたからだ。
「いったいなぁ……何も殴ることないやろ?」
「黙れ……お前にどうしても吐いてもらわなきゃ気が済まねえことがあんだよ」
「……何となく言いたいことは分かるけど、敢えて聞くよ。僕に何を求めてるん?」
「詳しく聞きたいだけだ、帝国魔人の事情を黙っていた理由についてな」
険悪なムードの中、二人の話し合いは重々しく始まった。
いかがでしたでしょうか?
第四章は後二話で終了予定です、何卒よろしくお願い申し上げます。




