ねじねじ髪のヨメイニャ
たんたか、たらたん、たかたんた
ねじねじ髮のヨメイニャは山を登ります
――やあ、翼の生えた人さん。そんなにおおきな荷物を背負って、いったいどこに行くんだい?
獣の人がたずねました
――不死鳥の国
ヨメイニャはこたえました
たんたか、たらたん、たかたんた
お弁当の木のみをモグモグとほおばりながら、ヨメイニャは山を登ります
――やあ、羽毛の生えた人さん。お弁当を食べながら歩き続けて、いったいどこに行くんだい?
鱗の人がたずねました
――不死鳥の国
ヨメイニャはこたえました
たんたか、たらたん、たかたんた
ひいらぎの杖をくるくると回しながら、ヨメイニャは山を登ります
――やあ、風の友達さん。森の奥まで歩き続けて、いったいどこに行くんだい?
蹄を持つ人がたずねましま
――不死鳥の国
ヨメイニャはこたえました
たんたか、たらたん、たかたんた
あたりはすっかり暗くなり、森の中はまっくらやみ
草むらの陰や木の梢では、よからぬものたちがザワザワとささやいています
――おやおや、夜に眠る人さん。こんな時間まで起きていたらいけません。悪い魔物たちに食べられてしまいますよ。すぐに村へと引き返しなさい
高貴な人がヨメイニャに忠告をしてやりました
――ううん、山の上には不死鳥の国があるの
それでもヨメイニャは山を登ります
たんたか、たらたん、たかたんた
太陽と月が交互に顔を出し、ヨメイニャを見つめてはため息をつきましたがが、ヨメイニャはおかまいなし。ずっと、ずっと、どこまでも歩いてゆきます
――ねえ、地面で暮らす人さん。そろそろ諦めたほうがいいんじゃない
100個目の月がたずねました
――ううん、だって、もうすぐだもの
ヨメイニャはこたえました
そして、101個目の太陽が登ったとき、とうとうヨメイニャは山を登り切りました
山のてっぺんにはおおきなおおきな穴があり、赤い炎がぐつぐつと煮えたぎっています
――ようこそ、体を持つ人さん。わたしたちはあなたのことをずっと待っていましたよ
火の妖精たちはヨメイニャを包み込みます
そうしてついに、ねじねじ髪のヨメイニャは不死鳥の国を見つけたのでした