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爆弾発言 だんちゃーく 今!

 例によって、大門から少し離れた場所をキャンプ地と定め、野営車両(モーターハウス)を展開する。

 今日は夕方になったらみんなで野営車両(モーターハウス)に集まって、一緒にご飯を食べる約束をしてるんだ!

 なお、明日は旅の壮行会を兼ねて、山猫亭で豪遊する予定である。外食、テンション上がるわぁ……!!



「よーし! この状態で半分くらい冷凍しちゃえば、旅ご飯の時にも便利でしょ!」


「ある意味で壮観だな、コレは!」



 シンクの作業スペースに山の如く聳える揚げ物のタネに、私もヴィルさんも感嘆の声を上げた。

 みんな串カツくらいの大きさ……一口大よりは若干大きい程度とはいえ、さすがに冷蔵庫の中の生ものをほとんど使っただけあって、山の高さが尋常じゃない。

 ……いや、「自分で作っておいて何その言い草」と言われるかもしれないけど、作ってる間は夢中になってるせいか、どれだけ作ったのか自覚がなくてさ……その分、我に返った後の反動が凄いんだよ……。

 しかも、「おたたなおいてけ! おにくおいてけ!」と騒ぐごまみその面倒をヴィルさんが見ててくれたから、邪魔が入らず作業に没頭できてさ。いっそうその傾向が強かったんだよね……。

 それにしても、フライ食べたさに冷蔵庫の片隅に残っていたバゲットを擂り下ろして、生パン粉まで作るとは思わなかったよ……!

 でも、そのおかげで、すべてのタネにパン粉の衣を纏わせることができたんだよね!

 唐揚げにする予定だったコカ肉も、予定を変更してチキンフライにすることにした。一つだけ工程が違うと面倒だったんだもん……。



「それにしても、全部使ってしまってよかったのか?」


「はい。時短料理は正義だし、暴食の卓(ウチのパーティ)、生肉がよくドロップするので、使い惜しむ必要はない、と思いまして……」


「あー……否定はできないな……」



 すっかり生肉と鮮魚がなくなった冷蔵を一瞥したヴィルさんが、不安げに私を見つめている……が、むしろ空にしておくべきじゃなかろうか、と私は思っているので、何も問題はない。

 理由は、【うちのパーティお肉拾いすぎ問題】だ。

 あのダンジョンでの出来事から推測してみたんだけど、うちのパーティ、想像以上にお肉をドロップさせてしまうんじゃなかろうか、と……。

 よく考えれば、私が初めて体験した戦闘でもお肉が手に入ってるし、そもそも採取の最中にいろいろと食べられそうな魔物や魔生物に遭遇もしてる……って考えると、お肉関係に関しては現地調達できる、と踏んでるんですよ、ええ。

 その結果、買い込んだ加工肉がほぼ手付かずで残ってるわけだしさ。

 野菜もダンジョン攻略の時に買い込んだ日持ちしそうな根菜類がまだ残ってるし、今回の旅に向けては日持ちのしない葉物とか実物を買い足すくらいで済むんじゃないかな?



「むしろ、ゴマとかスパイスみたいな、その場で味変できるちょい足し調味料としても使えるものがあるといいかもしれませんね」


「ああ。ないって言ってたもんな」

 

「味が変われば、同じメニューでも飽きずに食べられるんで便利なんですよ」



 例えば、毎日コンソメベースのスープを飲むにしたって、今日はカレー粉を入れてカレー風に、今日はゴマを入れて香ばしく、今日はケチャップを足してトマトスープ風に……ってした方が、「またこのスープか……」って思わなくても済むじゃん?

 冷凍しておく分をラップで包みつつ、素早く吊り棚の上に置いたスパイスボックスに目をやった。

メジャーなスパイスはだいたい揃ってるけど、異世界ならではのスパイスとか薬味とか、あるかもしれないしね!



「まぁ、そもそもの話として、『改めて買い物が必要なほどの旅程になるか?』……っていう感じですけど」


「…………俺としては、必要なくらいの行程になってほしい所だな……話し合いの必要があることは頭ではわかっているんだが、いざ行くとなると……」


「あー……なんか…………昨日の話し合いの時点で渋り気味でしたもんね……」



 今の今まで上機嫌でごまみそを撫でていたヴィルさんの顔が、一気に曇った。……事情を知らない私が口を挟むのも……と思ってるから激しくはツッコまないけど、本当に何があるんだろうねぇ……。

 いつもは図太いごまみそも、ヴィルさんの変化を感じ取ったのか不思議そうな……それでいてどこか心配そうな瞳で撫でる手の止まったヴィルさんを見上げている。

 ぐりぐりと頭を押し付けてくるごまみその力に、項垂れていたヴィルさんの頭がゆったりと持ち上がり、イチゴ色の瞳が私を捉える。



「………………………………兄貴、なんだ……」


「……おにい、さん……」


「ああ。腹違いの、な」


「おぅふ!」


 思わず妙な声が漏れた。

 原因、ご兄弟だったんですね!

 そしてまさかの異母兄弟とか……! そ、そりゃぁ確かに行き渋るはずですわ……。


 まさかここでこんな爆弾が落ちてくるとは思わなかったよ、ヴィルさん!!!


閲覧ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら適宜編集していきます。


小説を書く時間が少しずつ取れるよう生活リズムを整え始めているので、そろそろまた話を進めていきたいと思います。


もし、少しでも気に入って頂けましたら、ブクマ・評価等していただけるととても嬉しいです。


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