表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/134

未知なるトラウトを夢に求めて

とっかかりのネタが思いつかなかったため、ぜろた様作【2D100食べ物表】(https://privatter.net/p/1490212)をお借りして、ランダムにテーマを作成させていただきました。

選ばれしお題:81.白身魚


文章中に魚の活〆&血抜きする場面が出てきます。

苦手な方はお気を付けください。


7月6日追記

【某青狸】は、あえて【狸】表記にしてあります。

紛らわしくて申し訳ありませんでした。

 ドーモ。閲覧者=サン。小鳥遊(タカナシ) (リン)デス。

 現在、荷物をキャビンに積み込んで、移動を開始したところです。


 うん。なんかね、荷物の収納スペースもいろいろと(・・・・・)凄かったよ……。

 まさか収納スペースまで某青狸の4次元なポケットみたいに亜空間になってるとは思わなかったよね……。

 釣竿とタックルボックス、キャンプ用品一式が、座席裏のこぢんまりとした収納スペースに収まるとは思わなかったぜ……。


 なんかね、もうね、この車……モーちゃん――野営車両(モーターハウス)だから!――のスペックに関しては、考えることを放棄したいと思います!


 だってさ、モーちゃんを起動して分かったんだけど、鍵とかいらないの!!

 なぜなら私がスキルの使用者だから! それで紐付けができるから、キーがなくてもエンジン(?)かけたりできるし、一定距離以上車体から離れると自動でロックしたり、逆に車体に近づけばアンロックするんだって!


 何その神仕様!


 しかも、カーナビまでついてて、近くの地形とか検索してくれるの!!!


 何この便利機能!!


 ちなみに、どこへ向かっているかというと、そう遠くないところにあるらしい小さな湖の近く。

 飲料可能な水があるとはいえ、やっぱり野外活動をするときは水を確保しておきたいじゃない? 洗濯とか、食料調達とか、野外炊飯とか、いろいろな意味で、ね。


 そして、しばらく走って気が付いたんだけど、モーちゃんの乗り心地が抜群に良い。

 キャブコンの構造上、タイヤの真上に運転席が来るから乗り心地が非常に悪い……ハズなんだけど、特にそんな感じがしない。

 むしろ、こっちに飛ばされる前に乗ってた軽自動車よりも、乗り心地が快適な気がするんだよねぇ。


 しかも、車高が高くてバランスが悪い分、風や悪路、加速にも弱かった気がするけど、これまた全然気にならない。

 やはりこれも、以前乗っていた軽自動車より安定して走れている気がする。


 野営車両(モーターハウス)のスキル、スゲー!!



『目的地周辺に到着しました。ナビゲーションを終了します』


「ア、ハイ。ありがとうございました」



 いつものクセでナビにお礼を言ってから、モーちゃんのエンジンを止めて外へ降りてみる。

 目の前には、青い空と白い雲、周囲に広がる緑濃い森を、その凪いだ水面に映す大きな湖が広がっていた。

 もの凄く透明度が高いらしく、水底で揺らぐ水草やその周囲で遊ぶ小魚の姿までがはっきりと見える。


 ちなみに思う所があったのでステ窓(ステータスウィンドウ)を開くと、やはりというか、予想通りというか……ステ窓のすぐ横に別窓で湖の名前が表示されていた。


【レアル湖(飲用可)

 リースフェルトの東にある小さな湖。

 周囲の山から流れ込む地下水が至る所から湧いている。

 近くに人里もないため、種類豊富な動植物を見ることができる】


 うん。そうか。見えるのか……。

 生存戦略(サバイバル)の説明に『自然環境、社会環境に適応できるよう身体面・知識面のサポートを行う』ってあったから、何かしらの補正が働くのかなー、と思ったんだけど、まさかこれほどまでとは……。

 生存戦略(サバイバル)さん凄いな……。


 波打ち際には、大小さまざまな大きさの石が転がっており、座るにも簡易カマドを作るにしろ、とっても便利そうだ。

 流木らしきものも転がっており、燃料にするには丁度よさそうだなぁ。

 ……と。

 パシャンと音がして、水面に波紋が広がった。

 身に付いた釣り人の性なのか、瞬時に顔が音がした方を向く。


 果たして、銀色の魚体が静かな水面を割ってライズし(飛び出し)ているではないか……!

 水面近くを飛ぶ虫でも食べているのか、盛んにライズする魚体に視線を合わせると、ステ窓を開くことなく詳細が表示された。

 なるほど。生存戦略(サバイバル)さんの詳細表示は、ステ窓開かなくても表示可能、かつ、任意でオン・オフ切り替え可能なのか……。


【ミルクトラウト(食用:非常に美味)

 レアル湖に生息する巨大な鱒の魔生物。今の時期は繁殖に備え、餌を荒食いする習性がある。

 ミルクトラウトの名が示す通り、真っ白な魚体にたっぷりと栄養と脂肪を蓄えている。

 魔生物のため寄生虫もおらず、生食もできる】


 MA☆SU☆ マス!! 鱒!!!


 マジか!! この世界でもトラウトフィッシングできんの!? え、マジで!? しかも、エリアトラウト(養殖モノ)じゃなくて、ネイティブトラウト(天然モノ)を!?



「ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 釣! 三!! 昧!!!」



 なんかもう、ダメだ。嬉しくて楽しくて、何も考えられない!

 仕掛けをどうしよう、とか、どこら辺がポイントだろう……とか、考えが浮かぶ前に、身体はもうすでに動いていた。


 モーちゃんに駆け寄ってキャビンに飛び込むと、収納スペースに仕舞っておいたロッドとタックルボックス、ランディングネット、ストリンガーを持ち、偏光サングラスをかけると波打ち際に舞い戻る。


 アウトレット(外部への流出口)はわからないけど、右手側にイントレット(川からの流入口)があるのが見える。

 そのイントレットの出口付近にある小さめの岩が、流れを分断してイレギュラーな水の流れを作り出しているようだ。


 ライズはそのイントレット沖で、今もかなり盛んにおきている。ということは、トップウォーターかシャロー狙い……かな?


 UL(ウルトラライト)ロッドにフロロライン(カーボン素材の釣り糸)をセットし、まずはトップウォータープラグ――疑似餌(ルアー)の一種――の中でも最も実釣実績の高いクリアプラグを取り付けて思いっきり遠投する。

 シュッと風を切って、プラグが飛んでいく。おぉぉぉ! 思った以上に良いところ行った!!


 盛んにライズがある少し奥に、上手い具合に波紋をたててぽちゃんと着水……したかと思うと、ガボンっと水面が割れ、クリアプラグが水中に消えた。



「ウソでしょっ!? まさかの落ちパク!?」



 内心は慌てつつも、身体はちゃんと反応してくれた。しっかりとフッキングするよう、身体を少し捻りつつリールを素早く巻き上げる。


 ガツン!とロッドに重みが乗ると同時に、ジィィィィィィッとドラグを鳴らしてラインが走った。

 合間に、ゴツッゴツッと頭を振るような引きが加わる感触は、ロックトラウトの引き味に似てるかなー?


 ロッドのしなりを使って魚をいなしながら、巻いては走らせ、巻いては走らせ……持久戦の様相だ。



「イヤイヤイヤ……これ、かなり大きいんじゃないの?」



 巻いても巻いても、その分沖へと走られて、一向に岸に寄ってくる気配がない。

 でも、焦りは禁物だ。

 焦らず、騒がず、落ち着いて……疲れれば自然に寄ってくるんだから……!


 ロッドから伝わる魚の反応に、アドレナリンが体中を駆け巡るのがわかる。


 伸るか反るか。


 ただその一点に思考は集中し……。



「っしゃぁぁあぁああぁぁぁぁ!!! ミルクトラウト、ゲットぉおぉおおぉぉぉぉぉ!!!!」



 体感にして数十分。実際の時間としては十数分くらいだろうか。

 ラインブレイクすることなく、ロッドが折れることもなく、バラしてしまうこともなく……。

 死闘の末に、私はようやくミルクトラウトをランディングネットに収めることができた。



「おおおおおお……し、白い……!」



 姿形は、向こうの管理釣り場でよく見た『トラウト』そっくりだ。ただ、本当に白い。

 白いトラウトっていうと、管理釣り場には群れの動きがわかりやすいようアルビノトラウトが何匹か入れられてたけど、それとはまったく違う白さだ。

 アルビノトラウトは白というか黄色みがかった感じなんだけど、ミルクトラウトは本当に牛乳みたいに真っ白で、目は黒いんだ。


 サイズは50cmあるかないかという私史上最大サイズな上に、身が太いせいか余計に大きく見えている。

 緊張から解放された安堵と感動で、心臓はバクバクいってるし膝もガクガク震えている。


いやー、情けないねぇ……でも、コレはもう美味しく頂かなくては……!!


 ビチビチと暴れるミルクトラウトを押さえてから、キャンプナイフ兼フィッシングナイフとして愛用しているシースナイフで、エラの辺りとしっぽの近くの中骨を断ち切るような感じでズドンとブチ抜いてからストリンガーにひっかけ、湖の水に浸けておく。


 瞬く間に魚体の周囲が赤く染まっていく。どうやら血抜きは順調のようだ。心臓が動いているうちだと、血抜きがしやすいからねぇ。

 ちょっと気の毒な気もするけど、美味しく頂くためには、即〆&血抜きがけっこう重要……と、私は思っている。

 せっかく頂く命なんだから、少しでも美味しく食べたいじゃん?


 血抜きをしている間に、ラインのダメージを確かめて、再び遠投!

 波紋が消えるまでちょっと待ってみて、反応がないようならドッグウォークでパチャパチャと水音と波紋を立てるよう動かしてみて……。



「っしゃぁ!! キター!!!」



 落ちパクとまではいかなかったけど、今度もすぐにガボンと水面が割れて食いついてきた。

 引きは相変わらず強いし、ドラグをジージー鳴らして縦横無尽に走り回るけど、さっきのヤツよりは寄せやすい。


 小さめなのかなー?



「……と思っていた時期が、私にもありました」



 ネットインした魚体は、40cm程の大きさながら身の厚みもあって……何というか……凄く、美味しそうなんだよー!

 こちらも、脊髄としっぽ付近を切った後、ストリンガーにかけて血抜きをしておくことにする。

 気をよくして、今度はシャロータイプのプラグを投げたんだけど、これにも40cmをちょっと超える程度かつ身も太い大物が食いついてきた。


 ……すごいなー、レアル湖……。まさか、この湖のミルクトラウト、みんなこんなサイズなんじゃなかろうな……?


 釣りたい!

 ……けど、キャッチ&イートをモットーにしてる以上、リリースはしたくない!

 でも、これ以上このサイズが釣れたら、余らせてダメにしちゃう!!!


 あ…あぁぁぁぁぁ……悩ましい……悩ましいよぅぅぅぅ…………………。


閲覧ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら適宜編集していきます。


エリアトラウト、楽しいですよ!!(゜∀゜)

「管理釣り堀は釣りじゃねぇ!」っていう方もいますが、作者は大好きです!

またロックトラウト釣ってみたいなぁ……。


もし、少しでも気に入って頂けましたら、ブクマ・評価等していただけるととても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ