I shape the rice into a ball, and put it into the lunch box
タイトルの英文は適当です。なにとぞご容赦ください。
卵焼きを作るのにさほど時間もかからず、ご飯が炊けるまでまだ時間もある。使った道具も洗い終わっちゃったし……あとは……そうね………………モーちゃんの近くで何か採れないか探してみようか。
そう思ってモーちゃんの周囲を歩いてみると、思いもしない掘り出し物を見つけたのだ。
「うん。大漁、大漁!!」
「なぁ、リン。こんな葉っぱどうするんだ?」
「食器的なモノの代わりに使おうと思いまして」
今、私の手の中には『ゼーラム』という笹の葉を二回りほど大きくしたような葉っぱがもっさりと乗っている。いやー、コレで笹船作ったら相当な大きさのヤツができるんじゃないかな?
毒はないけど食べるのには不向きなこの葉っぱを採ってきたのは、単純にお握りと卵焼きを包むのにちょうどいいかなー、と思ったからだ。
日本昔話でよく見かける竹の皮的なモノに包まれたお握りとか漬物って、なんかそれだけで美味しそうだよね。
正直な所、確か100均のレジャーシートがあったはずだから、それを地面に敷いてしまえば食べる場所は確保できるはず。あとは、折り畳み式のミニアルミテーブルでも置いておけば麦茶とかの飲み物も置けるはずだし……。
せっかく外で食べるなら、雰囲気にも拘りたいなぁ……と思っただけですよ、うん。
それに、このゼーラムも乾燥させれば薬草茶の材料になるようなので、食事が終わったら洗って干して、マイブレンド薬草茶にしてしまおう、という腹積もりですよ!
「ゼーラムに洗浄魔法をかけるか?」というヴィルさんのお言葉をあえてお断りして、汚れが落ちるよう、もう少し水気を含むよう、しっかりと水洗いをしておいた。
水気を含んでた方が包んだ時にお握りがくっつきにくいし、油も吸いにくいらしいからねぇ。
葉っぱの水気をキッチンペーパーで拭っていると、炊飯器から「ご飯が炊けましたよ~☆」というメロディが流れてきた。この旋律はきらきら星かな? ……そういえば『ななつぼし』とか『ほしのゆめ』……っていう名前のお米、あったな……。
おっと! ついぼーっと考え込んじゃった!
これがお鍋やらメスティンやら飯盒やらで炊いたご飯ならしばらく蒸らしておくんだけど、炊飯器のご飯は蒸らさなくていいからねぇ。さっと飯切りしちゃいますよ!!
炊飯器の蓋を開けると、真っ白な湯気と共にデンプンが炊けた甘い香りと、加熱されたお醤油の香ばしい匂い、お砂糖が焦げてカラメルになったようなほろ苦い香りが一気に鼻に押し寄せる。
それに混じってほんのりと木の匂いにも似たキノコの匂いが混じって……。
「………………美味そうだな、コレは……」
「匂いだけでもうたまんないですね……」
決してこねくり回さないよう、しゃもじでさくさくと切るようにご飯をほぐしていく。ここで余分な水分を飛ばしておくと、ご飯がベタつかず、冷めても美味しく頂けるのですよ!!
底をひっくり返せば、何とも良い色合いのオコゲもできてるじゃないですか、ヤダー!!!
モーちゃんの食器棚に入っていた大きめのお椀にラップを敷いて、あつあつの炊き立て炊き込みご飯を少し多めに盛っていく。
あとはこれを握るだけなんだ……けど…………………………熱そうだなぁ……でも、やらなきゃなぁ!
「へぶっ!! あつ!!! あっつ!!!」
「だ、大丈夫か、リン? 何か手伝うか?」
「いや、これは、熱いけど! 熱いけど、熱いうちじゃないと……!!」
ひぃぃぃぃ!!! 熱い!!! 予想はしてたけどめちゃくちゃ熱い!!! 手の中でご飯を弾ませるようにしながら、必死で握っておりますよ!! ご飯も熱いんだけど、握る時に隙間から漏れてくる蒸気がこれまた熱いんだ!
ヒィヒィ言いながらお握りを握る私を、心配そうな顔のヴィルさんが見ているけど、これはちょっと手伝ってもらうわけにはいかんでしょう。
前衛職の掌を火傷させるわけにはいかんのですよ!!
…………それに、ものすごい偏見だけど、ヴィルさんにお握り握らせたら全力で圧縮されそうで……。作りたいのはお握りであって、お餅じゃないからねぇ……。
時々水で手を冷やしつつ、大きめのお握りを二個ずつ×四セットと、普通サイズのお握りを二個、なんとか握りきることができた。
それでも、ほんの少し炊き込みご飯が余りましたので……。
「ヴィルさん、ヴィルさん。半分こですよ!」
「……ずいぶんと黒いが……」
「オコゲの所ですからね! これが美味しいんですよー!」
できたて炊き込みご飯のオコゲ、ちょっとパリッとしてて美味しいよねー。保温してるうちに水分吸ってしっとりするけど、そこもまた美味しいと思うんだ。
まだ暖かいオコゲを口に放り込むと、まだちょっとカリっとした感触が残っていた。
オコゲはオコゲだからほんのりと苦いんだけど、それ以上にご飯が甘く感じられますな! 対比効果とかいうやつかな?
パリパリとモチモチという歯触りの違いも飽きない要因の一つだと思っている。
ヴィルさんを横目で見れば、こちらも虜になっていたようで、目が合った瞬間に大きく頷かれた。
「洋風炊き込みご飯とはまた違うモノだな、コレは」
「ピラフはお米を炒めてから炊き上げるからパラっとしてますもんね」
「こちらはこちらでモッチリしていて、適度に油気もあって腹に溜まりそうだ」
「お米を炒めてはいないですけど、具材を炒めるのに使いましたからね。お肉も入ってますし、物足りなさは少ないかなー、と」
作ったおにぎりが少し冷めたら、さっき採ってきたゼーラムの葉っぱの中でも大き目なものの上に並べていく。けっこう大きめに握ったけど、はみ出さない程度には葉っぱが大きい。素晴らしい!
ゼセリ入りの卵焼きは、端っこを切り落としたうえでざっくりと四等分させていただきましたよ。オムレツ型なので太い所と細い所とがあったので、目分量ながらだいたいおんなじくらいになるよう幅を違えて切ってある。
なお、端っこは私の取り分である。卵焼きとかパウンドケーキとか、端っこが美味しいよねー。
ヴィルさんが「それも美味そうだな…」って目で見てくるけど、これは余分がないから摘まみ喰いはナシ! 残念!
おにぎりの隣に卵焼きを添えて、ゼーラムの葉っぱでクルリと包んで……足りなかったら、もう一枚の葉っぱを上に被せて巻いてしまえばOK!
あとは、冷蔵庫から麦茶を出して、コップも出して…………。
「ただいま……おなか、空いた」
「いやー、採れた採れた! 納品分以上の収穫があったぜ!!」
「そちらも何事もなかったようで何よりですよ」
だいたいのセッティングが終わった所で、三々五々とアリアさん達が帰ってきた。みんなそれぞれ大きな袋を抱えているが、服や体に汚れた様子はない。
生活魔法程度なら魔力があれば使えてしまうそうなので、みんな洗浄魔法を使ってから帰ってきたのかな?
でもなぁ、何はともあれ……。
「おかえりなさい! ご飯の準備、できてますよ!」
まずは笑顔でお出迎え。
そしたら、ご飯にしましょうか!!
閲覧ありがとうございます。
誤字・脱字等ありましたら適宜編集していきます。
混ぜご飯も美味しいのですが、個人的な好みで炊き込みご飯に軍配が上がります。
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