旅路は続くぜ どこまでも走るぜ 時々休憩入れながら
スチールモール……訳すとしたら「鋼モグラ」だろうか?
生存戦略さんで見る限り、「可食」。肉食傾向が強い雑食性のため、臭みが強いことが多いらしい。
鈍色の毛並みは「鋼」の名を冠する通り、なまくらな武器を弾く程度に硬いんだそうな……。
「当たらなければどうということはない」を通り越して、「攻撃が当たっても何ともないぜ」ってこと!?
ちょ、ちょっと……ヴィルさんたち、大丈夫かな……?
「燃えちまいなぁぁぁ!!!」
エドさんの声と共に、モグラが見えない壁のようなものに囲い込まれたかと思うと、その空間の中でごうごうと焼かれていく。
焼かれたそばから空間ごとぼろぼろと崩壊していって、瞬く間に消し炭も残さずに消滅していった。いつもの黒い霧すら残さずに、だ。
……うん。そっか。物理がダメなら、魔法で攻めればいいのか……てか、ダンジョンの時も思ったけど、エドさんの魔法、どういう原理で発動してるんだろう??
完全にスチールモールが消えたことを確認したのか、武器を納めたヴィルさんたちがこちらに戻ってきた。
「お、お疲れ様です……! 怪我とかは……してはなさそうですけど…………大丈夫ですか?」
「ああ。リンたちは大丈夫だったか?」
「私もごまみそも、野営車両も大丈夫です。汚れるって、あの土の雨みたいなやつのことだったんですね……」
「ああ。普段は地面の下に隠れていて、獲物が通りかかるとああして地中から奇襲をしかけてくる待ち伏せタイプの魔物なんだ。アリアが気付いたようで何よりだ」
「ん! もう、油断、しない!!」
目立った汚れはないものの、「念のため」というように全員に洗浄魔法をかけてヴィルさんたちが車内に上がってきた。
ドヤッと胸を張って、アリアさんも助手席に戻ってくる。
……うん。アリアさんは、その……あまり胸を張られると…………うん。ナニがとは言わないけど、たいへんけしからんですな、うん!
いや、しかし、あそこを通過しようとした時にあの突き上げ攻撃的なのを喰らったかと思うと……空恐ろしいものがあるなぁ……。
もしかしたら、他にもそんな攻撃をしてくる魔物とか魔生物がいるんだろうか? 今回みたいに水の中とか地面の中もそうだけど、林の木の上とかもそういうタイプの敵がいそうだよね……。気を付けて進もう……。
とりあえずは、あの大穴を避けて……再び轍の残る道へと戻る。
その後は、特に待ち伏せを喰らうこともなく、ドライブ日和の中で運転を続けることができた。
『とり! あれとりでしょ!? 朕しってるー!!』
「ごまちゃん、お外好きなの? とり、美味しそう……ね?」
『朕なー、おたたなもすきだけどなー、とりもすきー』
助手席では、アリアさんに抱かれたごまみそが窓の外の風景をにゃごにゃご言いながら目で追いかけていて、アリアさんがそれに答えてくれている。
実に平和だなぁ………………キャビンでギリィしているエドさんの視線を除けば、だけども……うん。
非常にいい陽気の中、背筋にうすら寒いものを感じながら車を走らせていると、前方に次第に踏み固められた道が見えた。
どうやら、メルロワ火山……メルロワの街へ向かう街道に合流したようだ。
私にとってとっても楽しいレアル湖だけど、メジャーな場所ではないっぽいんだよなぁ。街道って言うよりは、街道に通じる枝道に近い感じなんだろうね。
それでも、魔物の間引きなんかでしっかりと人の手を入れられる程度には、ちゃんと管理下に置かれてるんだもん。
この国、結構すごいんじゃ……!?
「もう少し進んだら今日はもうそこでストップにしようと思うんですけど、どうでしょうか?」
「そうだな……日が暮れる前に野営の準備をできるのなら、それに越したことはないしな。そうしてくれると助かる」
「ありがとうございます。野営にちょうどよさそうな場所があれば、そこで今日は休憩にしちゃいますね!」
ナビの進行状況を眺めると、行程の3分の1程度は進んでいるように見える。戦闘や休憩を挟んだことを考えると、それなりに良いペースなんじゃなかろうか?
ヴィルさんの承諾も得たことですし、今日はそろそろ切り上げてしまおうと思うのですよ。
後しばらくすれば日が落ちてきそうな感じだし、そろそろ野営の場所を決めたいしねぇ。
そう思いつつしばし走り続けていると、ちょうど先に林ともいえないレベルだけれど、そこそこ木が生えている所が見えてきた。
ふむ。あそこらへん、丁度良いのでは……??
個人の見解だけど、何にもないだだっ広い所で野営をするより、木とか岩とか……何かが傍にある方が、心情的に安心しない?
魚とかも、そういったストラクチャー周りに寄ってる時も多いし、本能的なものなのかねぇ??
幸い、周りには旅人もいないみたいだし、今日はあそこで野営しよっかな。
生存戦略さんで見てみても、特に何かの警告が出ているわけでもないし……大丈夫だとは思うんだけどね。
「アリアさん、あの辺り、敵の気配とかあります?」
「……ん……とくに、感じない……だいじょぶ!」
「よし! 今日はあそこでお泊りにしましょうか!」
念のため、アリアさんにも聞いてみたけれど大丈夫そう、かな!
今日はここでキャンプしましょうか!
ハンドルを切ってプチ林に向かう。
空は薄っすらと赤く染まりかけていた。
閲覧ありがとうございます。
誤字・脱字等ありましたら適宜編集していきます。
大分いろいろとアレなご時世ですが、皆さん体調等は大丈夫でしょうか?
週末は仕事と買い物以外は家から出ずに、小説を書き溜めておこうと思います(`・ω・´)
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