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知らない世界へ行ってみよう!

 あの後しっかり事情聴取をされまして、「外に出るときは気を抜かない」「何があったかきちんと報告する」ということの重要性を懇々と説かれました。

 いや、気を抜いてしまって申し訳ないです……。

 まぁ、「何事もなくてよかった」というのが総評でしたので、結果オーライかな、と。



「それにしても、マッドオッターが食える魔物だったとは……」


「なんかマズそうな顔してるもんねー、マッドオッター(あいつ)


「エルフの里では、強壮剤扱いではありましたが食べられていましたよ。それなりに脂が強かった記憶がありますが……」



 食後の麦茶を飲みつつヴィルさんとエドさんの声に合わせ、セノンさんがお里でのマッドオッター事情を教えてくれる。

 うーん……強壮剤…………いわゆるアレかな? ウナギとか山芋みたいな「精をつける」食材扱いだった、ってことかな?

 冒険者にはもってこいの食材な気がする!

 でも、脂が強い、か……だからこそ茹でたり煮込んだりして適度に脂を抜くんだろうなぁ。



「まぁ、せっかく手に入ったので、今日の夕飯はマッドオッターの煮込みにしようかな、と!」


「すごく、たのしみ!」


『朕も!! 朕もたべる!!!』


「気合い入れて作りますね! おみそにもあげるから、腿バリバリしないで!!」



 実物を見ているだけあって、アリアさんとごまみその熱気がすごかった。瞳の輝きが違うものな……。

キラキラとした目でこちらを見つめるアリアさんに親指を立てて応えつつ、私の腿に前足をかけてバリバリと引っ掻いてくるごまみその体をひょいと持ち上げる。

 本にn……もとい、本猫は爪を出していないつもりなんだろうけど、力がある分地味に痛い。

 声をかければやめてくれるからいいけど、これ、言葉が通じなかったら辛いだろうなぁ……!



「それにしても、このペースなら今日中にメルロワの街に近い所まで行けるのではないですか?」


「あー……街の近くまで行けそうっていうなら、夜も走れば着けますかね?? ライトが付いてるから走れると言えば走れるんですが……」


「あんまり無理しなくてもいいよー。第一、夜になると街の門も閉まってるだろうしね」


「そういえば、エルラージュにも大門がありましたもんね!」



 街の近くまで行けるのなら、夜道を走ってもいいから街まで行こうか……と思ったけど、門限ってもんがあったね、この世界……。

 正直、外灯のない真っ暗な夜道をヘッドライトだけを頼りに走るのは不安だったから、ありがたいと言えばありがたかったんだけどね。

 いざという時のためにも、夜道の運転には慣れておかないとなぁ。もう少しこっちの世界の運転に慣れたら、ドライブがてら挑戦してみようかな?



「……大分、速いペースで進んでるんだな……」


「そりゃあ、トンカツ……もとい、オークカツが待ってますからね!!」


「オークカツ、か……そうか、そうだな。それを励みに行くとするか!」



 麦茶の入ったカップを片手に、憂い顔のリーダーがふぅと息をついた。吹っ切れたようで、やはりどこか引っかかっているんだろう。

 それでも、引き延ばしにかからなくなっただけ進捗があった、ということでいいと思うのですよ、うん。ヴィルさんの気持ちもわからなくはないですしおすし……。

 任務終了後の、オークカツでの打ち上げを目指して頑張りましょうよ!

 ……うん、まぁ、オークキングが狩れるかどうかはちょっとよくわかんないんですけどね、うん……。

 オークカツの響きに気持ちを切り替えて顔を上げてくれたパーティリーダーに内心手を合わせつつ、私は洗浄魔法をかけてもらった炊飯器の内釜に再び大量のお米を注ぐ。



「とりあえず、ご飯は予約しておこうかな。炊飯が一番時間がかかるだろうし……」


「煮込み、なんですよね? お米を合わせるんですか?」


「実は、さっき食べたミルクトラウトが卵を持ってたんで、それも加工してあるんです。炊き立てご飯にかけて食べると美味しいんじゃないかな、と思いまして……」



 ざしゅざしゅとお米を研いでいる私を見たセノンさんが、不思議そうに小首を傾げる。

 ……そっか……こっちの世界だと、煮込みにはパンか何かが付け合わされるのが普通なのかな?

 でも今日は、ミルクトラウトの卵……ミルクイクラがあるのですよ!!

 これは是が非でも炊き立てご飯と食べて頂きたいんだ!

 ふっくらご飯に、あの黄金色のミルクトラウトイクラをかけてですな……はふはふとかっこむわけですよ!!

 美味しくないはずがないと思うんだなぁ。

 暗くなる前に炊きあがるよう予約炊飯をセットしていれば、お皿やカップはみんなが片付けてくれていた。

 本当にありがたいよね、うん。



「さて。それではまずはメルロワ火山の方面を目指すことにしましょうか! ここからは私は知らない道なので、ちょっとペースは落ちるかもしれませんが大丈夫ですか?」


「問題ない。ゆっくり安全に行ってくれ」


「了解です! それじゃ、出発しますね!!」



 さて。ここから先の道がどうなってるのか、さっぱり予想がつかないんだよなぁ……。草原が続くのか、森になるのか、はたまた砂漠でも現れるのか……。

 でもまぁ、ヴィルさんの……パーティリーダーのお墨付きも頂いたことだし、安全マージンを取りつつ進むことにしよう。

 鬼が出るか蛇が出るか……はたまた幸運の女神でも拾うのか……未知なる世界へれっつらごー! しましょうかね!!


閲覧ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら適宜編集していきます。


火山の街……鍛冶の街……温泉もきっとあると思います(´∀`)

……釣りも行きたいけど、温泉も行きたいなぁ……。


もし、少しでも気に入って頂けましたら、ブクマ・評価等していただけるととても嬉しいです。

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