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フィッシング? ハンティング? どっちもやればいいじゃない!

 ぽたぽたと水を滴らせる目の前のソレは、カワウソを巨大にしたような姿をしていた。

 ただし、顔つきが全然違う。コツメカワウソとかニホンカワウソみたいな可愛らしさは全くない。

 目つきは狂暴だし鼻は潰れて横に広がってるし爪も牙も鋭いし……めちゃくちゃ凶悪そうなんだけど……。


【マッドオッター(美味)

 巨大なカワウソの魔物。群れではなく1匹で狩りを行う。

 魚を主な獲物としているが、目についたものを襲うこともある。

 水中を自在に泳ぐだけあり、赤身でしっかりした身質。

 脂の乗りも良く、塩茹で・煮込み料理などにすると

 蕩けるような口当たりになって美味。】


 ……こいつ……この見かけで美味い、だと……!?



「アリアさん、コレ、美味しいらしいです!!」


「ん!! わかった!!!! ごまちゃん!!!!」


『朕におまかせ!!!!』



 生存戦略(サバイバル)さんの説明文を読んだ瞬間、思わずそう叫んだ私は決して悪くないと思う。

 私の声に反応したアリアさんの手が翻り、網状の糸が今にも飛び掛からんとしていたマッドオッターを拘束する。

 野太い怒号を上げて暴れる魔物のその首筋に、巨大なナニカが噛みついた。いつぞやのボス形態……巨大化、というか成獣化したごまみそだ。

 おみそ(大)の牙がマッドオッターの首にめり込んだかと思うと、ゴキリと鈍い音がして……マッドオッターの輪郭が黒い霧になって霧散していく。

 そこにポツンと残ったドロップ品が、重力に従って湖に落ちる寸前……アリアさんの網がひょいっとキャッチしてくれた。

 経木に包まれているところを見ると、嬉しいことにお肉がドロップしたようだ!



「アリアさん、フォローありがとうございます! 助かりました!!」


「ん……あの……警戒、忘れてて……ゴメン、ね……」


「私だってノー警戒でしたし、結果的に怪我もないからオーライですよ! それに、美味しいお肉も手に入りましたし!!」



 手放しで喜ぶ私とは裏腹に、アリアさんがしょんぼりと落ち込んでいる。ついつい夢中になって、敵の接近を許してしまった事を気にしてるみたいだ。

 結果良ければすべて良いので、気にしなくていいんだけど、現役冒険者としては思う所があるんだろうなぁ、うん……。

 でも、結果的に一番早く動いてくれたのがアリアさんだし、守ってくれたのもアリアさんだし……あんまり落ち込まないでほしいなぁ……。

 なんだかんだで、アリアさんがいなかったら危なかったわけだし。

 そもそも、私も生存戦略(サバイバル)さんでの警戒を怠っていた所はあるので、ここはもう、「今後気を付ける」ということでよいのでは??

 がっくりと肩を落とすアリアさんにお肉を見せると、しょぼんと落ち込んだ顔に少し生気が戻った気がする。



「……リン、怒って、ない??」


「?? むしろどこに怒る必要が……?? アリアさん、しっかり守ってくれたじゃないですか!」


「………………ん……ありが、と……」



 グッと親指を立ててみせれば、ようやくアリアさんの顔に笑みが戻る。

 そうそう。美人さんは憂い顔もキレイですけど、やっぱり笑顔が一番似合いますな!!

 いつの間にかまた子猫の姿に戻ったごまみそが、私の脛に頭突きを繰り返す。自分も構え、ってことなんだろう。

 そのぐにゃりと柔らかな身体を抱き上げて頭と背中を撫でると、気持ちよさそうに目を細めてグルグルと喉を鳴らす。



「ごまみそも凄かったね! 強かった!!」


『でしょ? でしょ?? 朕なー、めっちゃなー、つよいからなー!』



 ドヤァっと胸を張るごまみそを撫でつつ、すぐ近くの空き地に野営車両(モーターハウス)を顕現する。このままじゃ、お肉がダメになっちゃうからね! 冷蔵庫にしまっておこうと思うんだ。

 ついでに、ご飯も炊いておこう!

 車内にごまみそを放流していると、アリアさんもキャビンに入ってきた。



「今からちょっとお米研ぐんで、少し休んでてください」


「……お魚、もう、釣らないの……??」


「うーん……さっきの騒ぎで、だいぶ散っちゃったと思うんですよねぇ……」


「……………………お魚……食べたかった……」


『朕も……おたたな……』


「……うぅっ……!!!」



 ガシュガシュと大量のお米を研ぎつつアリアさんに声をかければ、残念そうな顔で呟かれる。

 いやー……魚バラすと群れが散るっていうし、そもそもマッドオッターとの大立ち回りがあったんじゃ、あの辺りにはしばらく魚が寄ってこないんじゃなかろうか……??

 …………とは思うものの…………マッドオッター討伐の立役者であるアリアさんとごまみそに、「お魚食べたい」オーラ全開で見つめられると……その……良心が……。



「お米研ぎ終わったら、場所変えて釣ってみましょうか? 流れ込み(インレット)の辺りなら、うん……頑張れば……うん……釣れなかったらごめんなさい」


「!!! ありがと、リン! いざとなったら……掬う!」


「それはもう釣りじゃなくて漁ですね!」



 パァッと顔を輝かせるアリアさんと、耳も尻尾もピンと立てて瞳を輝かせるごまみそを見てると、釣れるまで頑張んなきゃ……と思うと同時に、またやります、って言ってみて良かったと思うなぁ、うん。

 精一杯頑張ろうと思います、ハイ。

 キラキラ笑顔で拳をググッと握るアリアさんを漁師にしないためにもね!!!

閲覧ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら適宜編集していきます。


某北海道近海探しマンガを読んでいると、珍肉食べたい衝動が沸き起こってきますな(´∀`)

もし、少しでも気に入って頂けましたら、ブクマ・評価等していただけるととても嬉しいです。

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