第73話。レベル・クオリティ。
ブートキャンプ後。
名前…アイリス
種族…【猫人】
性別…女性
年齢…16歳
職種…【斥候】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】
特性…【才能…潜伏、索敵】
レベル…20
正午前。
私達は、ホテル・ラウレンティアに戻りました。
入浴して、訓練の汗を流します。
ファミリアーレは、この5日間の新兵訓練で、レベルが倍増していました。
平均して、レベル20前後になっていますね。
弟子達は、チュートリアルを経て、経験値のレベルへの換算率が、ユーザー並みの効率になっていますので、武器や装備の性能を考えれば、この辺りまでは、比較的簡単にレベルは上がります。
とはいえ、NPCの基準で言えば、レベル20は、紛れもなく強者でした。
世界最強の【ドラゴニーア】軍の平均レベルと、数字上は、同等。
一対一で戦えば、実際は、【ドラゴニーア】軍の平均的な兵士より、弟子達の方が確実に強いでしょう。
弟子達は、おそらく、ユーザーが出場していない現行の武道大会なら、まず問題なく決勝トーナメントには勝ち進めるだろうという水準にまで強化されています。
私は、全出場選手を【鑑定】していました。
正直、強いな、と感じた選手は、1人もいません。
私の【自動人形】・シグニチャー・エディションなら、簡単に優勝してしまうでしょう。
弟子達は、チュートリアルを経た事で、ユーザーの持つ特性を手に入れましたが、その中には、ユーザーと同等のレベル・クオリティも含まれていました。
レベル・クオリティとは、同一レベルでの、種族差や、NPCとユーザーの能力差の事を云います。
レベル・クオリティの換算率は、戦闘でシビアに影響する為、各種攻略本などで細かく記載されていました。
種族・職種を考慮せずに単純比較をすれば、ユーザーのレベル・クオリティは、NPCの2倍。
つまり、現在レベル20前後になっている弟子達は、レベル40相当のNPCと同等の基礎戦闘力を有している事になります。
レベル40とは、冒険者ギルドの基準なら、オリハルコン・クラスに相当しました。
ただし、基礎戦闘力は、あくまでも基礎。
総合戦闘力は、知識や経験、装備品、武器の熟練値、各種ステータス……などの影響を複雑に反映しますので、単純な比較は意味をなしません。
とはいえ、弟子達が、あと、10レベルほど強化されれば、武道大会の決勝に進出しているペネロペさんを、基礎戦闘力の上では、完全に凌駕してしまいます。
レベル20を超すとレベルを上げるのは、多少、大変になって来ますが、それも時間の問題でしょう。
ペネロペさんは、レベル50。
NPCだけの基準でなら、本来、人外級に強いのです。
今回、行われている【神竜】復活記念の武道大会は、1年間をかけて世界最強を決める(そういう建前になっている)通常の世界武道大会では、ありません。
しかし、世界の強豪を招待選手として迎えている、世界大会の位置付けでした。
つまり、弟子達は、もう、世界とか、そういうレベルに手が届きそうなほど強化されているのです。
あと半年も訓練すれば、きっとイルデブランドさんなど現役の人種最強クラスに肩を並べる事になるでしょう。
アルフォンシーナさんや、剣聖は、【聖格者】なので、強さの基準は、また別のカテゴリーですが……。
ユーザーは、NPCから、英雄、と呼ばれていました。
英雄……地球の神話で言えば、ヘラクレス、ペルセウス、テセウス、アキレス……。
ユーザーは、そのくらい能力がブーストされていたのです。
900年前、数百万人の単位で、ユーザーが消えてしまった後、一時的に世界が魔物に対抗する力を失い、滅亡の危機に瀕した、というのも、大袈裟な表現ではありません。
私が、ファミリアーレにチュートリアルを受けさせた事は、バランス・ブレークでしょうか?
ゲーム・バランスという意味でなら、確かに、そうかもしれません。
先ごろ存在が確認されたグレモリー・グリモワール以外にユーザーが存在しない世界は、もはやゲーム・バランスがどうの、という意味がないような気もしますが……。
基本的に、私がゲームマスターの業務を離れて、私的に、何をするのも自由。
なので、私は、誰に遠慮する事もなく、ファミリアーレを限界まで鍛えるつもりです。
今後、孤児院出身で、戦闘職や【魔法使い】を志している、善良な子供達がいれば、その子達にもチュートリアルを受けさせるつもりでした。
また、私やソフィアが個人的に交流を持った人物で、味方になってくれ、なおかつ、人格見識に問題がなければ、チュートリアルを受けさせても良いでしょう。
善良かどうかの判断は、私なら、【鑑定】をすればわかります。
さらに、私の弟子達は、全員、【契約】を結ばせていますので、法令、公序良俗、倫理、公衆衛生に反する行動を自発的・意図的には、出来ません
一応のセーフティ・ガードは、ある訳です。
おそらく、私がゲームマスターの正体を世界に向けて広報し弟子を募集すれば、弟子になりたい、と思う者は、多いでしょう。
しかし、そんな事をするつもりも、する理由もないのです。
それを不公平だ、などと言われても、仕方がありません。
世の中は平等ではありませんが、世の中が不公平な事の損害補填を、私に請求されるのも、おかしな話です。
世の中が公平である事が望ましいのは言うまでもありません。
しかし、それを行うのは、ソフィアや、アルフォンシーナさんや、ゴトフリード王、など、この世界の為政者達であり、ゲームマスターの私ではないのです。
むしろ、そういう、社会の在りよう、には、極力、介入してはならない、というのがゲームマスターの遵守条項。
世界の理に、反するモノでない限り、ゲームマスターは、人々の営みを、善悪に関わらず、ただ見守る事が仕事なのです。
現在、この世界の中で、NPCをチュートリアルに参加させられる存在は、私だけ……いいえ、グレモリー・グリモワールはユーザーという扱いになるはずですから、たぶん、グレモリー・グリモワールにも可能でしょう。
あの、グレモリー・グリモワールがNPCにチュートリアルを受けさせる事が可能だ、と気が付いて、自分の陣営に与するNPCを大量にチュートリアルで強化して、私に立ち向かって来た場合、それなりには面倒ですね。
なるほど。
もしも、件のグレモリー・グリモワールが、私と敵対するような状況になれば、そういう問題もある訳です。
私個人でなら、レベルがカンストしたユーザーが、100万人いようが、100億人いようが、全く脅威にはなりません。
しかし、ファミリアーレやマリオネッタ工房が攻撃されたら、それは困ります。
もちろん、やらせるつもりは、ありませんが……。
とりあえず、グレモリー・グリモワールの事は、一旦、置いておいて……。
今後も、私はチュートリアルを利用して、身内の強化を行うつもりです。
ゲームマスターの遵守条項に違反しないのなら、身内と味方の強化を躊躇する理由が、私には全くありません。
・・・
私は、竜城にソフィアを迎えに行きました。
ソフィアは、お昼休憩だけ、こちらに合流して、午後はまた、公務に戻ります。
私は、ソフィアを連れて、ホテル・ラウレンティアに【転移】しました。
部屋を片付け、転移座標を消去します。
「ソフィア、お風呂場にアヒルを忘れていますよ」
「そうか、危ないところじゃった。これが、なくなったら、一大事なのじゃ」
このアヒルや潜水艦などの、お風呂の玩具シリーズは、私がソフィアにプレゼントした、【神の遺物】の、ギャグアイテムでした。
ギャグとはいえ、きちんと実用を兼ねています。
小さな玩具として遊ぶ事も出来ますが、巨大化して、アヒル型モーターボートや、数人乗り用の小型潜水艦として乗り込んで操縦する事も可能でした。
ソフィアは、これらが、大のお気に入りで、竜城の巨大な浴槽では、毎日、これらで遊んでいるのです。
・・・
私は、ロビーに降りて、ファミリアーレと待ち合わせ。
時間になり、弟子達がゾロゾロと集まって来ました。
「忘れ物は、ないですか?」
「各部屋を見回って、確認して来ましたので、大丈夫です」
しっかり者のグロリアが報告します。
ならばよし。
私達は、支払いを済ませ、ホテル・ラウレンティアをチェックアウトしました。
・・・
昼食は、【ラウレンティア】で評判の、キッシュとタルトの店、その名もズバリ……キッシュ・アンド・タルトで、食べます。
前回来た時には、満席だった為、テイクアウトでしか食べられませんでしたが、今日は、事前に予約を取っていたので、店内で食事が可能。
ウルフィは、専属飼育員として正式に任命された、2体の【自動人形】が、店の外で面倒を看ていました。
この2体は、ウルフィ養育用に、プログラムを最適化してあります。
ウルフィは、ペット用のお出かけボックスの中で大人しくしていました。
先ほど、たっぷりミルクを飲んでいたので、飼育員達に任せておけば問題はないでしょう。
私達は、業者の仕入れのように、大量のキッシュとタルトを注文します。
店内で食べる分と、テイクアウト用でした。
テーブルに乗り切らないほどのキッシュとタルト。
それに加えて、アラカルトで頼んだ、サイドディッシュも、キッシュ・アンド・タルトは、絶品です。
「ノヒト先生、高価な防具に加えて、今回は、高価な武器まで貸与してもらいました。良いのでしょうか?」
グロリアが言いました。
「あなた達は、死なない、これが私に対する貢献です。装備を整えるのは、その目的を貫徹する為に必要な措置ですから、あなた達が気にする事ではありません」
「ですが、世の中には、恵まれない境遇にある人はたくさんいるのに、何だか私達だけが優遇され過ぎている気がして……」
グロリアは、申し訳なさそうに言います。
「心情は理解出来ます。グロリア、それから、みんなも、聴いて下さい。私やソフィアから、恩恵を受けている事を、不相応な特別待遇だ、などと思うのなら……一生懸命努力して、強くなったり、賢くなったり、立派な人物になって、その能力を、将来、世界の人々の為に役立てて下さい。私は、ゲームマスターですし、ソフィアは、守護竜ですので、職責上の制約があり、困っている人が目の前にいても、助けたくても助けられないかもしれません。そういう人を、私やソフィアの代わりに救う。その為に、あなた達は、今、私とソフィアに付き従って修行している。そんなふうに考えてみたらどうでしょうか?」
「何だか、余計に、重圧が……」
グロリアは、言いました。
他の弟子達も、苦笑い。
「それを、するも、しないも、あなた達次第。私もソフィアも強制はしませんよ」
弟子達は、他者を思いやれる、本当に善良な子達ですね。
だからこそ、私は、あなた達を堂々と甘やかしますよ。
世界中の飢えている人々に食糧を与える為に、自分や家族を餓死させる人を、私は知りません。
そもそも、私には、世界中の不遇な人達を、片端から全員救う能力なんかないのです。
なので、こう考える事にしました。
せめて、私の手の届く範囲にいる身内には、私の出来る限りの最大限をしてあげたい、と。
それが、偽善、であるなら、私は喜んで偽善者と呼ばれましょう。
「ならば、昨日、あなた達が倒した、【地竜】のコアを、永久貸与権の対価としましょうか?」
弟子達が初めて仕留めた【高位】の魔物のコアです。
売ってしまうのは、惜しいですね。
記念に、何か形が残る物を、このコアを使って造りましょう。
【地竜】は、【高位】の魔物ですが、同じ【高位】に分類されている【竜】には、あらゆる面で劣ります。
なので、コアの品質も、【竜】には、劣るのです。
何を造りましょうか?
【自動人形】なら市販用のオーセンティック・エディションと同等の物が造れます。
しかし、【超位】のコアを搭載した、シグニチャー・エディションには、はるかに及びません。
それでは、あまり意味がありませんね。
例えば、【ガーゴイル】や【ゴーレム】を造ってファミリアーレの支援をさせる方法は、方法論として、あり得るでしょう。
後衛や、上空に【ガーゴイル】を配せば、強力な魔法で火力の底上げを図れますし、航空支援の役割も担えます。
前衛に【ゴーレム】を配せば、前衛が厚くなり安定感が増しますし、強力な装備を持たせれば、近接戦のアタッカーとしても使えるでしょう。
ですが、いずれも【自動人形】・シグニチャー・エディションの方が、より強力ですので、運用メリットが限定的です。
単純に頭数を増やしただけだと、戦力の向上ではなく、バランスを崩し、逆にパーティの足を引っ張ってしまうかもしれません。
【自動人形】・シグニチャー・エディションは、そのくらい桁違いに高性能なのです。
うーむ……。
まあ、何かしら考えておきましょう。
「ノヒトが食べているのは、なんじゃ?」
「ナスと挽肉のキッシュだよ。肉肉しい味で、甘辛く味付けしてあって、私好みだよ」
「それも欲しいのじゃ」
「はい、どうぞ」
先ほどから、キッシュやタルトを、私が一切れ食べ、それを見て、ソフィアが欲しがり、残りのホールを丸ごと食べる、という無限ループが繰り返されています。
まあ、私は、色々な種類を一切れずつ食べられるので、構いませんが……。
食後、私達は、全員、大量のテイクアウトを【収納】に詰め込み、キッシュ・アンド・タルトを後にします。
・・・
私達は、【ラウレンティア】の神竜神殿に向かいました。
特に用事はありませんが、転移座標を設置させてもらう必要があります。
ホテルの転移座標は消去してしまいました、ので。
また、いつでも来れるように、転移座標は、必要なのです。
【ラウレンティア】の神殿は、都市の中央に位置していました。
というか、ソフィアを奉る神殿や、他の大陸の守護竜を奉る聖堂や教会は、必ず都市の中央にある物なのです。
竜都【ドラゴニーア】の場合、神殿と呼ぶ場合、北東、北西、南東、南西にある四つの支神殿を意味しますが、本来の【ドラゴニーア】の神殿は、竜城。
竜城こそが、竜都【ドラゴニーア】、国家【ドラゴニーア】、セントラル大陸全土を包括する、中央最高神殿なのです。
因みに、孤児院が併設されている神殿は、北東の支神殿でした。
その他の支神殿は、それぞれ国立の総合病院を併設しています。
「ソフィア様、ノヒト様、門人の皆様方、ようこそ、お越し下さいました。【ラウレンティア】神殿長のゾーラでございます」
年配の【女神官】のゾーラさんが、私達を迎えてくれました。
周囲には、【修道女】の皆さんが整列して、礼を執っています。
ゾーラさんは、優しそうな、お婆さん。
年齢は、女性なのでボヤかしますが、ファミリアーレの平均年齢の十倍以上です。
事前に、竜城から話が伝わっている為に、滞りなく、転移座標を設置させてもらえました。
ゾーラさんと、【修道女】の皆さんに別れの挨拶をして、【ラウレンティア】を後にします。
・・・
【ドラゴニーア】の竜城に【転移】しました。
アルフォンシーナさんに、ソフィアを引き渡します。
「ソフィア様、今日で公務は最終日。頑張りましょうね」
「うむ、仕方あるまい」
ソフィアは、死んだ魚の眼で、連れて行かれました。
午後、ファミリアーレは、【ドラゴニーア】の冒険者ギルドで、昨日の狩の獲物の買取査定結果を確認して、その後、【ドラゴニーア】の闘技場で行われている、武道大会の決勝戦を観戦するそうです。
私は、お小遣いを支給して、ファミリアーレを送り出しました。
私の午後の予定は、【ラウレンティア魔法学院】の学生3人組が住む寮に向かい、魔法学についての議論をします。
面倒ですが、約束してしまった事なので、仕方がありません。
その後、【ドラゴニーア】に取って返し、武道大会決勝戦の後に、剣聖と模範試合をします。
剣聖との試合は、魔法禁止の剣術試合。
剣聖は、魔法禁止なら、と、私に勝つ気でいるそうです。
しかし、結論から言えば、剣聖が、私に勝つ可能性はもちろん、一撃与える事も不可能でしょう。
私は、当たり判定なし・ダメージ不透過。
模範試合の肝は、要するに、どのようにして、ハンデをつけるか、という問題にしかならないと思います。
例えば、ルールを変更して、私の身体に剣を触れさせる事が出来れば、剣聖の勝ち、だとか。
まあ、それでも、私に勝つのは無理だと思いますが……。
私は、例え魔法が使えなくても、【超神位能力】を解放すれば、光速で自由自在に機動出来ますし、同じく【超神位能力】には、【近距離転移】という、光速より速く移動する手段もあります。
私が、【スキル】を全開にすれば、比喩ではなく、剣聖の最速の剣撃は静止して見えるでしょう。
最低限、自力で亜光速まで加速出来るソフィアくらいの実力がなければ、対戦する事すら馬鹿馬鹿しいほど、私はチートなのです。
魔法に加えて、【スキル】も封印すれば?
それならば、あるいは万に一つ、剣聖にも勝ち目があるかもしれません。
勝ち目、とは、私の身体に剣を触れさせる事が出来るかもしれない、という意味です。
あくまでも、確率論的な勝算でしかありませんが……。
私のレベルは、99。
剣聖のレベルは、83。
その差は、たった16。
しかし、この16は、絶望的な差があるのです。
この世界のレベルの扱いは、種族ごとの能力指標のような物。
つまり、レベル99の【人】なら、種族の限界まで能力が向上した【人】という訳でした。
しかし、【人】より、あらゆる面で生来の能力が高い【竜】のレベル99の個体と戦えば、レベル99の【人】は、瞬殺されてしまいます。
私のレベル・クオリティは、設定上の【神竜】と同等で、この世界で最強でした。
このように、単純にレベルだけを比較するなら、レベル99のNPCは、レベル50のユーザーより弱いのです。
生来の能力で言えば、NPCの剣聖は、ユーザーの半分の能力しかありませんが、剣聖は、後天的に【聖格者】に昇っていますので、通常のNPCよりは、はるかに強化されていました。
【聖格者】である剣聖のレベル・クオリティは、【人格者】のユーザー並み。
剣聖の種族は、NPCの【ハイ・ヒューマン】。
私の種族は、【ゲームマスター】。
【ゲームマスター】のレベル・クオリティは設定上の最高値。
かつては、【神竜】のレベル・クオリティと同等でした。
かつて、という意味は、今の【神竜】は、私が名前を付けた事により、名持ちとなった為、戦闘関連のステータスが限界値を突き抜けて上昇してしまっていますので、数値上、私を上回っているからです。
閑話休題。
単純比較なら、私の1レベルは、剣聖の100レベル分以上に換算出来ます。
仮に、私のレベルを、剣聖と同じNPCの【ハイ・ヒューマン】に置き換えると、実に、レベル9999以上にもなります。
つまり、剣聖が私に勝つ可能性は、数字の上では、百に一つ。
しかし、自分より百分の一のパワーとスピードしかない者に負けるでしょうか?
まず、負ける事はあり得ないでしょう。
さらに、私は、単純に膂力や速さだけでなく、思考能力や演算速度も、剣聖の百倍なのです。
万に一つ、という意味はこういう事でした。
これが、剣聖にとっては酷な、この世界の現実なのです。
お読み頂き、ありがとうございます。
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