第294話。ラドーン・ダンジョン。
6月から執筆を開始致しました本作ですが、皆様の、ご愛顧のおかげで、ここまで続けて来れました。
心より感謝致します。
皆様、良いお年をお迎えくださいませ。
また、来年もよろしくお願い申し上げます。
2019年のまとめ(反省)のようなものを、本日付けの活動報告にて、上げさせて頂きたいと思いますので、お暇がありましたらチェックしてみて下さいませ。
・・・
名前…ザカライア・アトランティーデ
種族…【人】
性別…男性
年齢…20歳
職種…【王家】
魔法…なし
特性…【才能…勇敢】
レベル…14
【アトランティーデ海洋国】第3王子。
異世界転移、41日目(10月11日)。
早朝。
私は、竜城の私室に戻って来ました。
リマインダーを開き、今日の予定を確認。
ファヴはサウス大陸で仕事……リント、ティファニーもウエスト大陸で仕事。
守護竜の大切な、お仕事です。
2人を奉る民の為に、今日も頑張って下さいね。
私、ソフィア、オラクル、トリニティ、ウルスラは、サウス大陸北東の【ラドーン遺跡】に挑みます。
【ラドーン遺跡】は、99階層に成長している……いわゆるフル遺跡。
情報によると、現在【ラドーン遺跡】の60階層までは、蟲系の遺跡となっていました。
蟲ですか……苦手ですね。
こちらの世界では、蟲系の魔物も、有用な素材として、また、タンパク源……つまり食料として活用されています。
食べるのです……。
いや、食文化を否定する気は毛頭ありません。
しかし、個人の食の好みは、また別問題。
私は、蟲食は、ご遠慮申し上げたいですね。
私は、子供の時は昆虫とかを飼ったりしていたのですが、大人になってからは見るのも、ちょと……という感じです。
台所などに出没する、アレなどは、背中がゾワゾワしてしまいますね。
大人になってから、虫全般が苦手になってしまいました。
夏場、朝のジョギングの時にセミが顔に飛んで来て以来、屋外のジョギングを止め、スポーツ・ジムに通うきっかけともなりましたからね。
子供の時に、カブト虫や、クワガタや、カマキリや、カミキリ虫や、コオロギや、アゲハ蝶や、アリなどを飼育していたなんて、今では信じられませんよ。
大人になってからは、比較的ファンシーな部類のテントウ虫でさえ、厳しいです。
私は、アレルギーがあるので、ハチや蚊は、天敵でしたしね。
今になって思い返してみると、私が小学生の頃、カブト虫やクワガタをケージから出して、リビングの床にたくさん並べて遊んでいた時に、母が、遠くの方に離れて苦笑いしていた気持ちが良く理解出来ますね。
逆に言えば、小学生の頃に、何故、虫が平気……むしろ好きだったのか……今となっては全く意味がわかりません。
はあ、蟲系遺跡ですか……。
とにかく、やるしかないので、やりますが……。
私、ソフィア、オラクル、トリニティ、ウルスラは、今日、60階層までを踏破する予定でした。
そして明日、【ラドーン遺跡】を攻略する予定です。
ファヴ、リント、ティファニーは、明日61階層から、私達に合流して【ラドーン遺跡】を一緒に攻略してくれるのだ、とか。
ん?
もしかして、ファヴとリントは、蟲が気持ち悪いから避けた?
考え過ぎでしょうか?
いや、当初、彼らは、第1階層から一緒に遺跡に挑む事になっていました。
それが、少し前に、当該の【ラドーン遺跡】の中層階までが、蟲系だと知り、突然……スケジュール消化が遅れているから……などと1日遅れての参加を言い出したのです。
くっ、あいつら……。
まあ、良いでしょう。
私も彼らの立場だったなら、蟲系は……避けられるものなら避けたい……と思ったでしょうからね。
ファミリアーレとグレモリー・グリモワール一行は、サウス大陸南東の【オピオン遺跡】に挑みます。
【オピオン遺跡】は30階層の若い遺跡。
情報によると、こちらはノーマルな遺跡らしいです。
羨ましいですね。
ファミリアーレとグレモリー・グリモワール一行は、今日中に20階層までを踏破する予定。
彼らは、あくまでも予定です。
無理をさせるつもりはありません。
不測の事態が起これば、都度、臨機応変に対応してもらいます。
ファミリアーレを引率するのは、グレモリー・グリモワール。
彼女は、大ベテランなので、任せておけば大丈夫です。
私は、私室から出て、礼拝堂に詰めていた【女神官】の皆さんに挨拶をして、竜城の中庭に出ました。
・・・
竜城の中庭。
広大な園庭の真ん中に、私は【収納】から【飛空快速船】のカティサークを取り出しました。
カティサークのクルーとして最適化されている20体の【自動人形】を配置に着かせます。
カティサークには、ファミリアーレとグレモリー・グリモワール一行を乗せて【オピオン遺跡】まで輸送。
この船は、いわば遺跡の攻略拠点でした。
今回、遺跡に挑む全員(ウルスラ以外)には、【コンティニュー・ストーン】を配布します。
【コンティニュー・ストーン】を保有した状態で、遺跡の内部で死亡すると、遺跡の入口で復活するギミックがありました。
【コンティニュー・ストーン】は遺跡限定で使用出来る使い捨ての復活アイテムなのです。
遺跡で死亡して【コンティニュー・ストーン】のギミックで復活した者は、カティサークに収容されて、休憩。
ファミリアーレとグレモリー・グリモワール一行には、毎日、2個の【コンティニュー・ストーン】を渡して、午前に1回、午後に1回、死亡して復活した場合……その日は、遺跡へのチャレンジはお終い、というルールにしました。
レジョーネの方も、私とウルスラ以外には、一応【コンティニュー・ストーン】を全員に持たせます。
必要ないとは思いますが、念の為ですね。
私は、安全マージンは幾らでも欲しいタイプなのです。
私は、カティサークに船首、船尾、左右両舷に4門の【追尾誘導光子砲】を設置しました。
カティサークは、今まで砲座に武装がセットされていなかったのです。
これで本当の意味でカティサークは完成。
実は、当初、ミネルヴァは、プライベート・シップであるカティサークに【追尾誘導光子砲】を搭載する事に難色を示していました。
ゲームマスターの業務に関係のない事に、ゲームマスター本部の【神の遺物】製造ラインで創られた【追尾誘導光子砲】を搭載するのは、如何なものか……という訳です。
しかし、私は、ファミリアーレの母船となるカティサークには強力な兵装を与えたかったので、ミネルヴァに頼みました。
ミネルヴァからの返事は……わかりました。承認します……だけ。
え?
良いの?
ダメ元で頼んでみたのですが……。
ミネルヴァ曰く……ファミリアーレの存在をチーフは、特別視している。ファミリアーレの誰かが不慮の事故などで亡くなるような事になれば、チーフのゲームマスターとしての業務に差し支えが出る。ファミリアーレの母船であるカティサークの性能は、ゲームマスター業務にも間接的に影響がある、と判断した……との事。
どうやら、トリニティがミネルヴァに、そのように助言したのだそうです。
なので、ミネルヴァからカティサークへの【追尾誘導光子砲】搭載の許可が出ました。
ミネルヴァが良いと言うのなら、遠慮は無用です。
後から……外せ……と言われても、もう外しませんからね。
私は、カティサークのセットアップを完了して、竜城の中に戻りました。
・・・
竜城の大広間。
私は、アルフォンシーナさんとゼッフィちゃんと朝の挨拶を交わしました。
そうこうしていると、トリニティ、ファヴ、リントとティファニーの順で起床して来ます。
最後に、ソフィア、ウルスラ、オラクル、ヴィクトーリアが現れました。
いつもの朝食の時間には早いのですが、今日は出発が早いのです。
朝が早いにも関わらず、珍しくソフィアもウルスラも目がパッチリ覚めていました。
よほど、遺跡に挑むのが楽しみなのでしょう。
遠足の朝の子供みたいです。
朝食のメニューは、マグロ丼、海鮮サラダ、具沢山の豚汁。
私は個人的に、熱々の白ご飯を使うモノをマグロ丼……酢飯を使うモノを鉄火丼と定義して区別しています。
今日は、マグロ丼。
本ワサビを溶いた、やや多目の醤油を上から回しかけました。
お行儀は悪いかもしれませんが、この食べ方が一番美味しい気がします。
ソフィアは、生卵をかけて混ぜた、マグロのユッケ風ですね。
それも、美味しそうです。
「頂きます」
美味い。
やはり、白ご飯を食べると力が出るような気がするのは、私が日本人だからでしょうか。
「美味しいのじゃ。米は食べると、何故か力が出るような気がするのう」
ソフィアは言いました。
私だけではなかったようです。
・・・
朝食後。
ソフィア、オラクル、トリニティ、ウルスラ、ヴィクトーリアは、戦闘武装に着替えに向かいました。
私は、礼拝堂で待機します。
程なくして、グレモリー・グリモワールと彼女の養子のフェリシアとレイニール、そしてディーテ・エクセルシオールが【サンタ・グレモリア】から【転移】でやって来ました。
「ノヒト、おはよう」
「グレモリー、皆さん。おはようございます」
私達は、挨拶を交わします。
私は、早速グレモリー・グリモワールに【コンティニュー・ストーン】を60個渡し、打ち合わせや申し送りをしました。
グレモリー・グリモワールは、レベルが低いパーティ・メンバーを率いて遺跡に潜るのは、何度も経験しているので、確認の意味合いでしかありません。
【コンティニュー・ストーン】は、人数分の2倍に日数を積算した合計数には足りませんが、全員が毎回死亡して【コンティニュー・ストーン】を消費して復活する訳ではないでしょうし、また、【ラドーン遺跡】に潜る私達の方で、【コンティニュー・ストーン】は入手出来るはずなので、足りなくなるという事はないでしょう。
また、グレモリー・グリモワールのパーティ・メンバーの全員に【ビーコン】や【認識阻害】の指輪も与えておきます。
これは、レジョーネとファミリアーレでは標準装備でした。
【ビーコン】は万が一の時には私が瞬時に救出に向かえますし……【認識阻害】の指輪で魔物に魔力反応を探知されない事は戦闘の役に立つので、持っていて邪魔になる事はありません。
予定時刻の15分前に、完全武装に身を固めたファミリアーレが竜城に登城して来ました。
サブリナも一緒です。
サブリナは、昨日中に冒険者ギルドで、ファミリアーレに所属登録を済ませていました。
ファミリアーレは10人となり、フル・パーティの定員9人を超過したので、扱いが、冒険者クランに変わります。
しばらくして、ソフィア、オラクル、トリニティ、ウルスラ、ヴィクトーリアがフル装備に着替えて集合しました。
トリニティは、【ゲームマスター代理のローブ】姿です。
「では、ソフィアお姉様、ご武運を、お祈りしています」
ファヴは言いました。
「うむ。任せておくのじゃ」
ソフィアは、フンスッ、と胸を張ります。
ファヴは、皆の健闘を祈って、サウス大陸に渡って行きました。
リントとティファニーは、時差の関係で【サントゥアリーオ】が、まだ暗いので、私達を見送った後、しばらく竜城で、ゆっくり、お茶などをしてから出かけるそうです。
・・・
竜城の中庭。
ファミリアーレとグレモリー・グリモワール一行は、竜城の中庭に停泊するカティサークに乗り込みました。
レジョーネの方は、少し待っていてもらいます。
「すっごい船だね?ラウンジ?ホテル?」
グレモリー・グリモワールは、言いました。
「個室は、全て同一規格です。等級などはないので。どれでも好きな部屋を使って下さい。【ドラゴニーア】標準時の正午、ここでレジョーネ、ファミリアーレ、揃って食事をします」
「OK。【ドラゴニーア】標準時の正午に、この船に集合だね」
グレモリー・グリモワールは言います。
「さあ、行きます」
私は、カティサークごと【転移】しました。
・・・
【オピオン遺跡】上空。
私は、カティサークから外に出て、転移座標代わりになってくれていた神の軍団緑師団の神兵達を労います。
「交代で周囲を巡回して下さいね。近付く敵性個体がいたら速やかに討ち払い、遺跡周辺を完全な安全地帯に保ちなさい」
緑師団の神兵達は……了解……と【思念】を飛ばして来ました。
ならば良し。
私は、カティサークに戻り、グレモリー・グリモワールに後の事を丸っと任せて、竜城に【転移】で戻りました。
・・・
竜城の礼拝堂。
私は、ウルスラ以外に【コンティニュー・ストーン】を1個ずつ配りました。
あくまでも念の為です。
「【コンティニュー・ストーン】は【収納】に保管しておいて下さい。それでも効果は発動しますからね。外に装備しておくと、破損や紛失があり得ますので」
「うむ、わかったのじゃ」
ソフィアは、頷いて【コンティニュー・ストーン】を【収納】にしまいました。
「ヴィクトーリアは【収納】がないのでやむを得ません……【宝物庫】に保管しておきましょう」
ヴィクトーリアは、言われた通りにします。
「ヴィクトーリアよ。今回の遺跡行で、我が【超位魔法全覚醒のスクロール】を、また取ってやるのじゃ。今度は、其方を【超位】に覚醒させてやるぞ」
ソフィアが言いました。
「ありがとうございます、ソフィア様。オラクルお姉様と同じように【超位】に覚醒して、もっとソフィア様の、お役に立ちたいです」
ヴィクトーリアは言います。
「うむ。任せておくのじゃ」
ソフィアは、自信満々で頷きました。
ヴィクトーリアは、【神の遺物】の【自動人形】です。
そのスペックは純正……つまり強化や変更はされていませんでした。
なので、【収納】、【鑑定】、【マッピング】の三種の神器は、持っていません。
オラクルとティファニーは、三種の神器を使えました。
オラクルは、遺跡99階層の【ダンジョン・ボス】の部屋で、【ダンジョン・ボス】を倒して出現した【宝箱】に入っていた【超位魔法全覚醒のスクロール】の効果で【超位】覚醒しています。
ティファニーは、主人であるリントから首席使徒に【指名】され【超位】覚醒しました。
ソフィアの今回の目的は、ズバリ、ヴィクトーリアの【超位】覚醒なのだ、とか。
明日、私達は99階層に挑む予定ですが、その時には【天運】持ちが、私、ソフィア、ファヴ、リントと、4人揃います。
その超豪運で、案外、呆気なく超絶レアのアイテムが【宝箱】から出てきそうな気がしますね。
【宝箱】の宝はランダムですが、ソフィアなら仕様を捻じ曲げて、欲しいモノを引いてしまうかもしれません。
「さあ、行きましょう」
「「おーーっ!」」
ソフィアとウルスラが気勢を上げます。
私達は、【ラドーン遺跡】に向かって【転移】しました。
・・・
【ラドーン遺跡】入口。
私は、転移座標代わりになってくれていた神の軍団白師団の神兵を労います。
「ご苦労様。交代で周辺を警戒しておいて下さいね」
私は、白師団の神兵達に指示しました。
白師団の神兵達は……了解……と【思念】を伝えて来ます。
ならば良し。
私達は、【ラドーン遺跡】の入口に転移座標を設置しました。
これで良し、と。
さてと、ボチボチ行きましょう。
私達は、【ラドーン遺跡】に入場し、第1階層に足を踏み入れました。
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