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第249話。サウス大陸の関係各所巡り。

「マリオネッタ工房」

魔法装置(マジック・デバイス)】の開発・製造・販売。


主力製品。

自動人形(オートマタ)】・オーセンティック・エディション。

自動人形(オートマタ)】・レプリカ・エディション。

スマホ・オリジナル・モデル。

スマホ・レプリカ・モデル。


関連施設。

【ドラゴニーア】。

本社オフィス。

スマホ事業部オフィス。

自動人形(オートマタ)】・オーセンティック・エディション工場。

スマホ・オリジナル・モデル工場。

直営販売店。

【ドラゴニーア】港ドック。

宿屋パデッラ(新入社員寮)。

従業員寮。


【ラウレンティア】。

オフィス。

自動人形(オートマタ)】・レプリカ・エディション工場。

直営販売店。


【ルガー二】。

オフィス。

スマホ・レプリカ・モデル工場。

直営販売店。


【タナカ・ビレッジ】

自動人形(オートマタ)】工場。

スマホ工場。


……他、順次、開設予定。

 サウス大陸。

【ムームー】王都【ラニブラ】。


 私とファヴは、【ラニブラ】の中央塔の礼拝堂に到着しました。


 礼拝堂では、聖職者達が整列していましす。

 事前にファヴが神託を出して、到着を伝えていたようですね。


「ご苦労様。忙しいでしょうから、持ち場に戻って結構ですよ」

 ファヴが言いました。


 聖職者達は、数人を残して、持ち場に戻って行きます。


 見回すと、礼拝堂の中の設えが整って来ていますね。

 もう、いつからでも、ここで立派な祭祀が行えるでしょう。


 聖職者の1人がスマホを取り出し、私達の到着をどこかに伝えていました。

 あれは、マリオネッタ工房(弊社)の製品……オリジナル・モデルですね。


 高額モデルの方を、お買い上げ頂き、ありがとうございます。


【ドラゴニーア】工場の製品でしょうか?

 もしかしたら、【パラディーゾ】の【タナカ・ビレッジ】工場で作られた製品かもしれません。


 聖職者達の他にも、神の軍団緑師団長のヴェルデが、ファヴを迎える為に、礼拝堂の隅に待機していました。


「ヴェルデ。ご苦労様、今日も頑張ろう」

 ファヴがヴェルデに挨拶します。


 ヴェルデは、頭を下げ鼻先をファヴに近付けました。


「ヴェルデ。頼みますよ」

 私は、ヴェルデに言います。


 ヴェルデは、私に首を向けて、頷きました。

 パスを通じて……お任せ下さい……との思念が伝わって来ます。


 おっ!

 思念が、随分と人種の言語概念に近いモノとなって来ていますね。

 もう、言葉を話し始めるのかもしれません。


 知性が高い魔物は、人種の言葉を理解しました。

 そういう個体が人種と触れ合うと、やがて音声言語も喋れるようになるのです。

 既に、サウス大陸の北【アトランティーデ海洋国】の千年要塞に駐留する白師団長であり、また、神の軍団全体の第4席の指揮個体でもあるビアンキは、言葉を流暢に話し始めていました。

 因みに、神の軍団の指揮者は、私が第1席、ソフィアが第2席、トリニティが第3席、ビアンキが第4席……という序列です。


 ビアンキによると……神の軍団の各師団長クラスの個体は、皆、間もなく言葉を喋れるようになるはずだ……との事。

 特に、青師団長のアッズーロは、その傾向が顕著。

 アッズーロは、私との【念話(テレパシー)】での定期報告では、もう片言の言葉を話し始めていました。


 神の軍団の神兵達は、人種の庇護を目的として活動していますので、人種の言語を話しコミュニケーションを取れる事は有用なのです。

 良い事ですね。


【ラニブラ】は、あちらこちらから、トンテンカーンと鋼材を叩く音が響き、ガタガタガタと重機が稼働する音がしています。

【ラニブラ】は、今、建築ラッシュ。

【ラニブラ】は、【創造主(クリエイター)】がデザインした初期構造オブジェクトの1つなので、街並みには不壊・不滅のギミックが施してありますが、内装工事や増築などの工事が、それなりには必要なのです。

 なにせ、900年放置されていた都市なのですから。


 少し、塔の上から覗いて見ると、都市内は本当に活気に溢れていました。

 人々の前向きな営みを見られるのは喜ばしい事です。

 見ているだけで、こちらも活力が湧いてくるようですね。


 後10日で、【ムームー】は、チェレステさんが女王に即位戴冠します。

 その前に、王都【ラニブラ】を人が生活出来るように最低限の体裁を整えてなければ、と作業している者達の士気は非常に高いのでしょう。


「ノヒト。僕は大地の祝福に向かいます」

 ファヴが言いました。


「頼みます。私は、少し、【ラニブラ】に降りて見回ってみます」


 私は、大地の祝福を行う作業地点に向けて【転移(テレポート)】して行った、ファヴとヴェルデを見送ってから、【ラニブラ】の街に向かいます。


 ・・・


【ラニブラ】街区、中心部。


 ギルドなどは、もう準備が出来上がっていました。

 業務を開始しているようです。

 徐々に一般市民の移住も始まっていますね。

 商店などが慌しく開店の準備に追われていました。


 うん、やはり街には人種が住まなければいけません。


 私は、()()()()()の様子を見に来たのです。


「ノヒト様ぁ〜」

 誰かから声をかけられました。


 振り返ると、数人が、こちらに向かって来ます。


【ムームー】のキアッフレード・プルヴィレンティ宰相でした。

 キアッフレードさんは、護衛の【翼竜使い(ワイバーン・ライダー)】が駆る【翼竜(ワイバーン)】に2人乗りして飛んで来ます。

 キアッフレードさんは【ドラゴニュート】なので、自分の翼で飛ぶ事が出来ますが、国家宰相が護衛も連れずに動き回るのは不用心だ、という事なのでしょう。


「ようこそ、おいで下さいました」

 キアッフレードさんは、息を弾ませて言いました。


 どうやら、礼拝堂の聖職者から連絡があって、エレベーターで塔の上に昇ったものの、私とファヴが礼拝堂を離れた為に入れ違いになってしまったようです。

 それで、【翼竜(ワイバーン)】に乗せてもらって慌てて追いかけて来たのだ、とか。


「おはようございます。街は随分出来上がっていますね?」


「おかげ様で順調です。【ドラゴニーア】からの援助が手厚いので助かっています」


「そうですか。それは良かったですね」


「ソフィア様とノヒト様の会社のハロルド社長から依頼された案件は滞りなく進捗しております。こちらは、その物件ですね?」


「はい。こんなに良い立地で、これだけの広い敷地を融通して下さって、ありがとうござます」


 コンパーニアは、【ラニブラ】に支社を開設する事にしました。

 それに関連して、手続きや、行政上の届け出の受理や、各種許認可などを、キアッフレードさん自らが最優先でしてくれているそうです。

 有難い事ですね。


 コンパーニアは、中央塔からも、ほど近い街の中心地に、公官庁の建物や、各ギルド支部よりも広大な敷地を購入しました。

 そこに、コンパーニアの支社ビル、マリオネッタ工房工場、アブラメイリン・アルケミー工場、各販売店を造り、【ラニブラ・スクエア】も造らなくてはいけません。

 ハロルド達から頼まれたのですが……メチャクチャ忙しくてリマインダーの予定が立て込んでいるので、安請け合いしてしまった事を、今更ながら少し後悔しています。


 また、【ラニブラ】は街並みが、不壊・不滅のオブジェクトなので、建て増しが大変でした。

 既存の建物を土台として、上に新しい構造物を増築する訳です。


 私は、3階建ての巨大な四角形の建築物の上に【ラニブラ・スクエア】を建て増しするつもりでした。

 この建物は、おそらく軍の本部となるようなイメージでゲームの開発チームがデザインしたモノなのだと思います。

 四角形の回廊状になった建屋の真ん中のスペースに広大な中庭があり、そこで、行進や訓練などが出来るような場所となっていました。

 この中庭に【スクエア】を建ててしまいます。


 この物件が、この建物の形状だからこその購入でした。

 しかし、軍の本部となるような主要な建造物を、コンパーニアに譲ってくれて、チェレステ新女王にもキアッフレード宰相にも、感謝しなければいけません。

 間違いなく、この場所は【ラニブラ】の一等地ですしね。


【スクエア】とは複合商業施設。

 ショッピングモール状の建物で、【ラウレンティア】には第1号となる【スクエア】が完成していました。

【ラウレンティア・スクエア】は既にテナントの募集が開始され、コンパーニアに6人いる管理職の孤児院出身者の内の1人が現地の経営責任者となる事になっています。

【ラウレンティア・スクエア】には、ソフィア・フード・コンツェルンがテナントとして出店する予定。


 ソフィア・フード・コンツェルンは、コンパーニアが運営する【スクエア】の1階と、地下階と、最上階……合計3階層を永久賃貸する契約を締結しました。

 ソフィア・フード・コンツェルンは、1階で巨大なフードコートを運営し、地下階では食品売り場、最上階はレストラン街にするそうです。

 これは、【ラウレンティア・スクエア】だけではなく、今後造られる全ての【スクエア】も同様でした。


 テナントとして契約してくれるのは、家賃収入が安定して得られるので有難いのですが……私が造った【ラウレンティア・スクエア】には、地下階は、ないのです。

 ソフィアは……デパ地下は、地下でなければダメなのじゃ。何としても地下を造るのじゃ……と半ば強引に決めてしまいました。

 はあ、時間がある時に、【ラウレンティア・スクエア】の地下階を造りに行かなければいけません。

 面倒臭いですね。


【ラニブラ・スクエア】予定地も、中庭部分は、土の地面で、試掘すると地下深くまで掘れました。

 不壊・不滅オブジェクトで地面が舗装されてはいない事も、この物件を選んだ理由でもあります。

 初期構造オブジェクトの主要都市では、こうして地面が露出している場所からなら地下が掘り進めますが、路面や広場などが不壊・不滅オブジェクトの石畳みなどで舗装されていると絶対に掘れません。

 地下を利用するなら、地面が掘れる物件を探さなくてはならないのです。


【ラウレンティア・スクエア】に続く【スクエア】の建築計画は……サウス大陸【パラディーゾ】にある【タナカ・ビレッジ】……ウエスト大陸【ブリリア王国】のグレモリー・グリモワールが庇護する街【サンタ・グレモリア】……そして、私が今いるサウス大陸【ムームー】の【ラニブラ】までは計画が決まっていました。

 これ以外にも、セントラル大陸の各主要都市や、ノース大陸などからも、【スクエア】誘致の引き合いが多数来ています。


「世界企業の誘致に加えて、このような巨大な商業施設まで誘致出来て本当に良かったです。この場所を【ラニブラ】発展の起爆剤としたいと思います。ノヒト様、ありがとうござます」

 キアッフレードさんは、深々と頭を下げました。


「いえいえ。これは商売ですから、我が社にも利益がある事。お礼を言うのは、こちらの方です。よろしく、お願いします」

 私も、頭を下げます。


【神格者】である私が頭を下げた事に、キアッフレードさんを護衛している【翼竜使い(ワイバーン・ライダー)】達が、少し、驚いた表情を見せました。


 私は、頭くらい必要ならば幾らでも下げますよ。

 コストはかかりませんからね。


「ノヒト様の、ご私業の方でも、【ムームー】と末永いお付き合いをして頂けるように、と心より願っております」

 キアッフレードさんは言いました。


 私業とは、ゲームマスターの業務ではない、プライベート・ビジネスの事。

 つまりコンパーニアの事です。


「そうであれば……と私も願っています」


 私は、キアッフレードさんと少し話をして、それから、【ムームー】王都【ラニブラ】から、【転移(テレポート)】しました。


 ・・・


【アトランティーデ海洋国】。

 千年要塞。


 私は、千年要塞の主塔最上階にある別宅にやって来ました。

 この別宅は、元は【アトランティーデ海洋国】の王家が千年要塞を訪れた際に利用する場所です。

 ゴトフリード王から、私がもらいました。


 私は千年要塞の別宅を管理してくれている【自動人形(オートマタ)】・シグニチャー・エディション達の様子を見ます。

 どうやら、シグニチャー・エディション達は、暇を持て余していて他にやる事がなかったからなのか、室内はどこも磨き上げられてピッカピカ。

 掃除ロボットではないのですから、(いささ)か勿体ない運用ですね。

 まあ、千年要塞で何か緊急事態が発生すれば、このシグニチャー・エディション達も戦闘に駆り出される事になります。

 性能の無駄遣いも、平和の裏返しと考えれば、悪い事ではないのかもしれません。


 私は、窓から千年要塞の広場に跳び降りました。


 広場に降りると千年要塞に駐留する神の軍団白師団長ビアンキが上空から舞い降りて来ます。


「ビアンキ、ご苦労様。どうですか?」


「万事滞りなく推移しております」

 ビアンキは言いました。


「そうですか。引き続き、任務の遂行を、お願いしますね」


「お任せ下さい」

 ビアンキは、そう言うと、再び上空に飛び立ちます。


 私は、冒険者ギルドに向かいました。


 ・・・


【アトランティーデ海洋国】冒険者ギルド千年要塞支部。


 千年要塞は、近々、【アトランティーデ海洋国】から【ドラゴニーア】へ永久租借地としてレンタルされます。

【ドラゴニーア】のサウス大陸派遣軍である第2艦隊が母港とする為でした。

 すっかり、引き払う準備が整っているのか、冒険者ギルドの中は、整理されて木箱が積み上げられています。


 私が、冒険者ギルドに入ると、しばらくしてフランクさんが、やって来ました。


「ノヒト様。良く、いらっしゃいました。今日の、御用は、何でしょうか?」

 フランクさんが言います。


「おはようございます。特に用はありません。すっかり片付いてしまいましたね?」


「ええ。もう、ここの機能は、王都【アトランティーデ】の本部と、【クインブルク】の支部に移動してあります。来月からは、千年要塞の施設は、他のギルドや企業の建物も含めて、【ドラゴニーア】第2艦隊に譲渡します」

 フランクさんは、少し寂しそうに言いました。


【クインブルク】とは、元【アトランティーデ海洋国】の伯爵であった剣聖クインシー・クインが、伯爵位を返上して在野に戻る事に伴い、【アトランティーデ海洋国】のゴトフリード王が、剣聖の功績を称えて彼の名前を付けた街です。

 その【クインブルク】に現在の千年要塞の都市機能がソックリ移されるのだ、とか。

 千年要塞は、間もなく【ドラゴニーア】第2艦隊の母港となる為、民間人は暮らせなくなりますので。


「王都【アトランティーデ】の世界冒険者ギルドの本部も、【ドラゴニーア】に移るのですよね?」


「はい。それは、年明け、すぐにですね。私も、来月からは、そちらの引越しの手伝いをしなければいけません。大変です」

 フランクさんは苦笑いします。


「フランクさんは、来年からは、どちらに配属されるのですか?」


「私は、竜都【ドラゴニーア】の()本部のギルド・マスターを拝命致します。その折には、よろしくお願い致します」


「【ドラゴニーア】のギルマスに?では、現ギルマスのエミリアーノさんは、どちらかに転属なさるのでしょうか?」


「エミリアーノは、来年から【パラディーゾ】支部のギルド・マスターに人事異動ですよ」


【ドラゴニーア】のギルマスから、【パラディーゾ】のギルマスに人事異動……それは、栄転なのでしょうか?

 あるいは、左遷でしょうか?


「エミリアーノは、来年からは、理事株を持ちます。新しく、冒険者ギルドの幹部職員となるのですよ」

 フランクさんが言いました。


 理事株?


 どうやら、世界冒険者ギルド全体の方針を決める会議などで議決権を持つのが理事と呼ばれる幹部職員で、理事株とはその権利の事を言うそうです。


 つまり【ドラゴニーア】から【パラディーゾ】へ、地方転属となるものの、エミリアーノさんは新しく理事株を持つので、トータルで出世となるのだ、とか。


 エミリアーノさんには、大変、お世話になったのです。


 私が現在、自分の庇護下に置いている、グロリア、ハリエット、アイリス、ジェシカの獣人娘達。

 彼女達は、エミリアーノさんが、ルールを破って冒険者ギルドの資金を流用し、助けてくれていなかったら、今頃は、借金のカタに違法な風俗店で無理矢理働かされていたでしょう。


 そのせいで、エミリアーノさんは、冒険者ギルドのトップである剣聖から叱られたみたいです。


 もちろん、剣聖も本気で怒った訳ではないのでしょう。

 本音では、ルールを破って獣人娘達を救ったエミリアーノさんの行動を賞賛しているはずです。

 だからこその今回のエミリアーノさんの出世なのでしょうからね。


 ただし、ルールは、ルール。

 簡単にルールを破ってもらっては具合が悪いので、建前上、剣聖はエミリアーノさんを叱り飛ばしたのです。


 獣人娘達にとって、エミリアーノさんは恩人でした。

 彼女達の保護者である私にとっても、それは同じ事。

 エミリアーノさんの前途に幸多き事を祈るばかりです。

お読み頂き、ありがとうございます。


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