第1097話。新メンバーのチュートリアル。
本日2話目の投稿です。
【竜城】の礼拝堂。
朝食会議を終え、私達ゲームマスター本部組と【レジョーネ】は礼拝堂に向かいました。
礼拝堂にはカリュプソとウィロー、アマンディーヌとアープ、【フラテッリ】、そして【ファミリアーレ】が集合しています。
アープも来ましたか。
という事は、ミネルヴァはアープにも【チュートリアル】を受けさせようと考えている訳です。
つまり、必然的にジャンヌ・ラ・ピュセルにも【チュートリアル】を受けさせるつもりなのでしょうね。
まあ、ミネルヴァが……そうする必要がある……と考えているなら良いでしょう。
「きちんと朝食を食べましたか?」
私は【フラテッリ】と【ファミリアーレ】に訊ねました。
【ファミリアーレ】は頷きます。
「お腹いっぱい」
「ポンポコリン」
「ステーキ、最高!」
「唐揚げこそチャンピオン」
「ふっ、豚カツの素晴らしさを理解出来ないとは…」
「それならカツ・カレーの方が二度美味しい」
「カレーのトッピングならハンバーグ一択でしょ」
「アイスクリーム!」
「えっと、えっと、全部好き」
【フラテッリ】の面々が鎧の上からでもわかる、明らかに盛り上がったお腹をアピールしました。
あ、そう。
ならば良し。
「では、トリニティとカルネディアは【レジョーネ】と一緒に【ファミリアーレ】を引率して【スカアハ訓練所】に向かいグレモリー達と合流して下さい。アマンディーヌと【フラテッリ】は【チュートリアル】です。アープとジャンヌもついでに【チュートリアル】に参加させます。ウィローは【チュートリアル】が終わった【フラテッリ】を【スカアハ訓練所】に連れて行きトリニティ達と合流して下さい。カリュプソは【チュートリアル】が終わったアマンディーヌとアープとジャンヌを【ワールド・コア・ルーム】に送ってから、私達に合流して下さい。私とソフィアは【ペガサス】と【古代・グリフォン】を捕獲に行きます。今日がノース大陸旅行の最終日ですが、地球では古来より……家に帰るまでが旅行……という示唆深い格言がありますので最後まで気を緩める事なく事故などが起こらないようにして下さい。宜しく」
一同は頷きました。
「ノヒト。我の【神竜海洋神殿】の中枢メンバー達にも、いずれ【チュートリアル】を受けさせたいのじゃが」
ソフィアが言います。
ゲームマスター遵守条項には……一国一党一派には与しない……という条項があるのですが……。
まあ、【世界の理】やゲームマスター遵守条項は、ゲームマスターである私の判断で適宜破れるのですよね。
その代わり、私は後でゲーム会社の査問を受けなければならず、何か問題があれば処分をされます。
ミネルヴァ……どうしましょうか?
私は【念話】でミネルヴァに訊ねました。
基本的にはチーフの判断を支持しますが……ソフィアさんの【神竜海洋神殿】中央執行部は発足したばかりで、スタート・アップの御祝儀として幹部の何人かに【チュートリアル】を受けさせるという考えもあると思います……今後の貸しとしてゲームマスター本部が【神竜海洋神殿】に影響力を及ぼせるでしょう。
ミネルヴァが【念話】で言います。
あ、そう。
つまりは政治ですね。
「わかりました。トリニティ、明日【神竜海洋神殿】の幹部達に【チュートリアル】を受けさせて下さい。ミネルヴァは、その段取りをお願いします」
「仰せのままに致します」
トリニティは頷きました。
了解です。
ミネルヴァが【念話】で了解を伝えて来ます。
「ノヒト、感謝するのじゃ。ありがとう」
ソフィアは頭を下げてお礼を言いました。
「本来ならゲームマスターが特定の組織に肩入れするのは、あまり望ましくはありませんが、【チュートリアル】を受けさせる際にはプリンシプルに【契約】してもらいます。プリンシプルによって【神竜海洋神殿】の中枢メンバーが永久に【世界の理】を守り、私に敵対しない事が確定するのでゲームマスター本部としてもメリットがあります。まあ今回のコレは【神竜海洋神殿】発足の御祝儀みたいなモノです」
「まあ、我がノヒトに敵対などさせぬが、御祝儀をありがたく受け取るのじゃ」
プリンシプルとは……。
【世界の理】に違反しない事。
ノヒト・ナカとノヒト・ナカの身内に敵対しない事。
法律、公序良俗、倫理、公衆衛生に違反しない事。
ノヒト・ナカが命令したら従う事。
世界の発展と平和に貢献する事。
プリンシプルを遵守する限り、ノヒト・ナカは敵対しない。
チュートリアルを受ける者は、チュートリアルについて口外しない事。
……という内容です。
アマンディーヌ、アープ、ジャンヌ、【フラテッリ】は、ミネルヴァによって既にプリンシプルを【契約】させられていました。
「そう言えば、今朝はティア達の姿が見えませんね」
「うむ。ティアら【神竜海洋神殿】の幹部は、主要ギルドや企業を各海底都市に誘致する為の挨拶回りや接待じゃ。しばらくは毎日、朝、昼、夕の食事を兼ねた会合となる。我は慌てずとも良いと伝えたのじゃが、ティアやメディアを始め皆が張り切っておるでのう。やる気があるのは悪い事ではない故、好きにやらせておるのじゃ」
ソフィアが説明しまします。
「なるほど」
チーフ……ディナーは【ホテル・ドラゴニーア】のメイン・ダイニングに予約してありますので、世界標準時午後6時に皆さんで【ホテル・ドラゴニーア】に向かって下さい……【キー・ホール】を【目標】として展開しておきます。
ミネルヴァが【念話】で言いました。
【ホテル・ドラゴニーア】という事は【ガストロノミア】ですか?……人気の超一流ホテルの超一流リストランテなのですよね?……良く急な予約が出来ましたね?
私は【念話】で訊ねます。
はい……グレモリーさんのおかげでホテルの特別室を臨時のディナー会場として貸し切れました。
ミネルヴァが【念話】で説明しました。
【ホテル・ドラゴニーア】や【ガストロノミア】を経営する【ルクレツィア・グループ】はグレモリー・グリモワールを半ば神格視して信仰しているのだとか。
信仰対象のグレモリー・グリモワールから……今日どうしても食事をしたい……と言われれば、どんな無理をしても受け入れますよね。
「え〜、グレモリーの厚意で、今晩のディナーは【ホテル・ドラゴニーア】のメイン・ダイニングである【ガストロノミア】だそうです。世界最高のリストランテという評価だそうなので、楽しみにしていて下さい」
私は姦しい【フラテッリ】を傾注させる為に、少し声を張って言いました。
【フラテッリ】から……わ〜っ……という歓声が上がります。
やれやれ。
「ふむ。世界最高とな?それは楽しみじゃ。ジュル……」
ソフィアが頷きます。
「ソフィア様……」
すかさずオラクルがソフィアの口元の涎を拭いました。
「では、ディナーで会いましょう。行動開始」
私は宣言します。
トリニティとカルネディアと【レジョーネ】と【ファミリアーレ】が、アルフォンシーナさん達【竜城】のメンバーに見送られて【転移】して行きました。
さてと私達も向かいますか。
「ノヒト様。行ってらっしゃいませ」
アルフォンシーナさんが微笑んで言います。
「行って来ます」
私とソフィア、カリュプソとウィロー、アマンディーヌとアープとジャンヌと【フラテッリ】は、【チュートリアル】会場の【ラウレンティア】に向かって【転移】しました。
・・・
【ドラゴニーア】西方都市【ラウレンティア】。
【ラウレンティア】の【神竜神殿】礼拝堂。
私達が到着すると、【ラウレンティア】の神殿長であるゾーラさんが出迎えてくれます。
ゾーラさんとの挨拶もそこそこに、私達は【チュートリアル】を始めました。
「ミネルヴァから説明は聴いている筈ですので、早速【チュートリアル】を行ってもらいます。では、アマンディーヌから、この【チュートリアル】エントリーの【転移魔法陣】の真ん中に立って下さい」
「はい」
アマンディーヌが言われた通りにしました。
刹那。
アマンディーヌが戻って来ます。
私は順番に参加者を【チュートリアル】に送り込んで行きました。
もはや慣れたモノで、あっという間に【チュートリアル】は終了します。
さてさて、一応それぞれのステータスを確認しておきますか……。
名前…アマンディーヌ
種族…【メリュジーヌ】
性別…女性
年齢…なし
職種…【守護者】
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、【岩塩化】、【才能…業務処理、辣腕、機転】
レベル…99
アマンディーヌは全体的に優秀なステータスです。
【魔人】としては魔法など戦闘力に関しては、やや物足りないようにも思いますが、それを補って余りある抜きん出た知能が目を引きます。
完璧な文官タイプですね。
他に目立つのは、【特性】の【岩塩化】。
これは【石化】の岩塩結晶化版とでもいうべき【能力】でした。
レア【能力】です。
名前…アープ
種族…【ハイ・エルフ】
性別…女性
年齢…209歳
職種…【祭司】
魔法…【風魔法】、【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…【才能…風魔法、気品、優美】
レベル…33
アープは【マギーア】の元王族だけあって、一応それなりのスペックは持っています。
王族は優秀な遺伝子を次代に残す為に代々結婚相手を吟味して選びますからね。
つまり歴史がある王家に生まれた者は、他との比較で生まれ付き優秀な遺伝形質を受け継いでいる事が多いのです。
年齢に比してアープのレベルが低いのは、彼女が甘やかされて育ったからでしょうね。
またアープの【職種】は初対面の時点で【王家】でしたが、その後一時は私のゲームマスター権限により強制的に【奴隷】になっていました。
私は【奴隷】などという【職種】が設定として存在するのを初めて知りましたよ。
少なくとも私は過去に一度も見た事がありません。
これは、奴隷制が【世界の理】に反しているので、【世界の理】上、【奴隷】などという【職種】が発現しないようになっているからでしょう。
そういう【職種】がステータス表示されるのであれば……奴隷制を【創造主】が容認している……という誤解を与えかねませんからね。
もちろん【創造主】もゲームマスター本部も【世界の理】に反する奴隷制などを断じて認めません。
しかし、プログラム上は【奴隷】という【職種】は存在していたという事。
おそらく私がゲームマスター権限を用いて……アープを奴隷にする……という裁定を執行した為に、本来はステータスに反映される事がない【奴隷】という隠された【職種】が発現してしまったのでしょう。
もしかしたら、こういう裏【職種】は他にもあるのかもしれません。
その後アープは私から許されて【奴隷】から【王族】という【職種】に変遷しました。
【王族】とは代替わりなどで引退した元王などに付く【職種】です。
そして、【チュートリアル】を受けた現在のアープの【職種】が【祭司】になり、【聖格】を得て【ハイ・エルフ】に昇華しました。
名前…ジャンヌ・ラ・ピュセル
種族…【ドラゴニュート】
性別…女性
年齢…29歳
職種…【高位女神官】
魔法…【回復・治癒】、【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、【才能…回復・治癒、気品、洞察力】
レベル…34
ジャンヌ・ラ・ピュセルのステータスは、現代の人種NPCの平均から見れば、相当に高い部類ですが、まあ可もなく不可もなくという所でしょう。
文官タイプとして全体的に優秀ではありますが、同じく文官タイプのアマンディーヌのステータスが傑出しているので比較すると多少見劣りしますね。
まあ、アマンディーヌは別格と考えた方が良いでしょう。
そして【フラテッリ】は……。
名前…フロン・フィグ
種族…【古代・グリフォン】
性別…雌
年齢…20歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…プリモ・ローガンド
種族…【熱帯竜】
性別…雌
年齢…20歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…セコンド・ローガンド
種族…【密林竜】
性別…雌
年齢…20歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…テルツォ・ローガンド
種族…【深林竜】
性別…雌
年齢…20歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…クアルト・ローガンド
種族…【森竜】
性別…雌
年齢…20歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…クイント・ローガンド
種族…【原野竜】
性別…雌
年齢…19歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…セスト・ローガンド
種族…【草原竜】
性別…雌
年齢…19歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…セッティモ・ローガンド
種族…【荒地竜】
性別…雌
年齢…18歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…オッターヴォ・ローガンド
種族…【洞窟竜】
性別…雌
年齢…18歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…ノノ・ローガンド
種族…【王竜】
性別…雌
年齢…17歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
名前…デチモ・ローガンド
種族…【皇竜】
性別…雌
年齢…17歳
職種…従魔
魔法…【闘気】、【収納】、【鑑定】、【マッピング】など多数。
特性…飛行、ブレス、【超位回復・超位自然治癒】
レベル…99
……やはり魔物なので【チュートリアル】を経ても【職種】や【才能】などは生えませんでしたか。
この辺りは種族として生まれ持った強さや魔力量などとのバランスなのかもしれません。
生来レベル・クオリティが高い魔物に、例えば武器戦闘などに適した【職種】や【才能】などが発現するとしたら、ユーザーや人種NPCや【魔人】NPCにとってチート染みたバランス・ブレイカーになってしまいますからね。
それに【フラテッリ】達の種族に注目すると、【ドゥーム】でカプタ(ミネルヴァ)が、どのように開発を進めて行ったのかが何となく想像出来ます。
始めカプタ(ミネルヴァ)は熱帯気候の【ドゥーム】の深い森を切り拓く所からスタートして、やがて農地開拓に移行し、それが一段落して山岳や洞窟などの探索を行い、その時々で【スポーン】した【古代竜】を【調伏】して行ったのでしょうね。
最終的には、レアな【古代竜】を選んで【調伏】するようになった、と。
余談ですが、【フラテッリ】の中でフロンとノノ、それからアイスクリーム好きのクイントと、甘えん坊でママが欲しいと言った末妹のデチモは、私的にキャラ付けが完了して顔と名前を完璧に覚えました。
他の子達も、かなり個性があるので、直ぐにキャラ付けが出来ると思います。
・・・
【チュートリアル】を終えた私達は、全員で神殿長のゾーラさんにお礼を言いました。
「カリュプソ、ウィロー。宜しく頼みます」
「「畏まりました」」
カリュプソとウィローは頷きます。
カリュプソがアマンディーヌとアープとジャンヌを連れて【ワールド・コア・ルーム】に【転移】して、ウィローが【フラテッリ】を連れて【スカアハ訓練所】に【転移】して行きました。
「ソフィア。お待たせしました。私達も向かいますよ」
「うむ。【ペガサス】と【古代・グリフォン】を捕まえてやるのじゃ」
ソフィアがグルグルと腕を回しながら頷きました。
【ペガサス】は、既に確保してありますけれどね。
私と【ラ・スクアドラ・ディ・ソフィア】は【転移】します。
お読み頂き、ありがとうございます。
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・・・
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誤字報告をして下さる皆様、いつもありがとうございます。
心より感謝申し上げます。
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