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人である事  作者: QJACK
3/5

私の身体

身体が重い  まるで空気が水であるかの様に 水の布団で包まれている感覚


力を入れようにも筋肉は脱力し ピクリとも動かない


あゝ こんな時 この部屋に人が入ろうものなら

私は成す術無く 殺されるのだろう  などと思ってしまう

そう思うと恐怖心より好奇心が湧いてきた


こんな機会 滅多にないのだから楽しまなければ

私は一つ 一つ動かない部分を探した


目は動く 頭も動く 首も多少動く けれど 肩から下はもう動けない


腕を上げようにも筋肉が動かない 脳では腕が上がっているイメージが出来ているのに

悲しくも見えない腕だけが天を指し 私の瞳に幻を映し出す


けれど幻覚でない感覚 

伝わる鼓動の音 血の流れる音 動かそうと電気が走ったようなピリっとした痺れた感覚

(呼吸をすれば肺が動き、血は這うように蠢く)


そう 動かないだけで 確りと 動いている


身体は動いていないだろうが 身体の中は休まず動いている


私の心は高鳴った 興奮した

私は今 動かぬ身体で感じている 私自身を感じる事に

それが 危機すべき状態だというのに


普段 私達が何気なくしている動作1つ1つは実は何十もの工程を経て動いている

それを意識せず行っている事が分かったのだ


当たり前だと思っていた事がこんなにも難しい事であったとは

ああ ありがとう 面白い体験だったよ


だから


だから もう いいよ 黒猫よ


そういうと 私の腹の上で寝ていた猫は 私を見つめ


興味が失せたのか 私から飛び降りで何処かへさって行った


では 私も起きよう


私は瞼を瞑り 自分の脳に答えを出した


そう 答えは簡単 身体は寝ていたのだ だから筋肉が動かなかった


意識だけが動く感覚は幽体離脱をしたかのように

もう一つ身体があるような


肉体と精神 二つで一つ 身体という器に私は生きる


目を開けると 私はいつものように腕を持ち上げ 布団をどけた

無意識に 「起きる」という考えだけで


「おはよう」 私は今日も生きるのだ

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