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終末世界の救済術式  作者: 永依 聖
第二章 少女と楽園の葬送曲
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第十八話


 弾速も威力も落ちている。

 避けるだけならば視力と脚部の強化で対応できる冬弥だったが、いかんせん速度を捨てただけの見返りが冬弥を苦しめる。


 避けられると言っても弾より速く動けるわけではなく、動いた先にも弾が走っていれば当然避けられるはずもない。

 冬弥の頭に流れ込むスローな世界を弾丸が所狭しと埋めていた。


「あのイカれ戦闘脳め……!」


 つま先に力を込め一気に解放する。

 弾のカーテンを飛び越え、空中で体を捻る。

 落下の勢いそのままに鉄屑の頭を捉える。しかしそれは再現VTRを見ているかのように盾が現れる。


 ジリ貧。

 鉄屑の銃撃は冬弥に当たることはなく、当たったとしても決定打にはなり得ない。冬弥の打撃は当たれば決まれども有能なAIに阻まれ届かない。


 即座に射線から逃れ、間髪を入れず頭を狙ったローリングソバットも顔前で止められる。


 上下左右、揺さぶりをかけても冷静に対処してくる。人ではなくAIであるだけで心理戦など意味がないとでも言うように冬弥の動きについていく。


「何やってるのよ!早く片付けるのよ!」


 時折入る投げやりな急かす声。

 応援のつもりなのだろうか。

 中途半端な声援はかえって人の感覚を鈍らせる。


 それは冬弥の感覚を逸らせた。


 自らは安全圏に引きこもり、急かすだけで援護もしない。チラリと隙を縫って見てみれば壊れた自販機から無事な飲み物を拝借していた。足元を見れば缶がいくつも並んでおり、飲み比べでもしているのか全てのタブが開いていた。


「……」


 冬弥の顔が一瞬能面のように感情を消した。何の感情も持たなくなれば表情は抜け落ちる。しかしどうやら怒りでも同様の結果を生むようだ。

 ああなるほど。

 片手間の声援であれば投げやりなのも納得だろう。


「……これはイマイチなのよ。……うん、やっぱりこれが一番ベストな飲み物なのよ!」


 飲み比べを確定させる発言が無意識に聴覚を強化された冬弥の耳に入る。それはもう耳元で囁かれるようにハッキリと。


「おっと手が滑った」


 恐ろしいくらいの棒読みだった。

 速攻で落ちていた手頃な瓦礫を拾い、ターゲットに狙いを定め腕を振るう。


「あぁ!!私のお気に入りが!何をしているのよトーヤ!」


 一列に並べられた缶ジュースを一直線に薙ぎ払う。ボーリングだったなら思わずストライク!と叫んでしまったに違いない。


「すまん。手首のスナップが言うことを聞かなくてな」


「わけわかんないのよ!ノーコンにも程があるのよ!?」


 気づいていないのかローは有り得ない目で冬弥を見る。


「ククッ。おいおいアイツら仲間割れか?」


『の、ようですね。大衆コメディ的見方によっては痴話喧嘩とも取れますが』


 何か引っかかるところでもあったのか鉄屑は面白そうに二人を眺めている。


「何かわからないけどものすごくバカにされてる気がするのよ……!?」


 不穏な空気をいち早く察知したローが再び冬弥を急かす。


「イイねぇ、いきなりやる気じゃねぇか!」


「そろそろ仕事に戻りたいからな!あんただってそうだろ?」


 そう、二人はまだ依頼の途中なのだ。謂わば同僚ともとれるというのにバカスカと銃を撃ち、片や地面を蹴り抜き街を破壊していた。

 第一秘密厳守と言われていたのにこれでは真逆だ。事の始めこそ人払いの効果があるが、時間が経てば人を引き寄せこそすれ、遠ざける要素はない。

 他の魔術師が誘われて寄ってこないとも限らないというのに。


 ローに手伝えと言ってやりたい冬弥だが、本人には全くやる気がない。関係ないとばかりにまた性懲りも無く缶を並べ始めていた。


「おっと、()()手が滑っちまったぜ」


 マシンガンを横に一薙し、的確に一発づつで缶を弾き飛ばしていく。

 ハンドガンの精度での狙い撃ちはできなくとも、これくらいは容易いと、綺麗に並べられていただけに的としては狙いやすいことこの上なかった。


 再度、ローの悲痛な叫びが聞こえる。


 しかし鉄屑も心にもないことを言う。

 一発たりとも無駄弾を撃っていないのに手が滑ったとは。ニヤニヤと視界の端でローを見ている鉄屑を見れば態とやったことは間違いない。


「トーヤ!そんな糸目早くやっつけちゃうのよ!」


 さすがに二度目、しかも故意だとなれば腹に据えかねたのか、ローは怒りながら鉄屑に対し勢いよく手を振り下ろす。


「うおっと、ンだこれ」


 鉄屑の足が止まる。前へとつんのめるが、かろうじて重心を整える。

 見下ろせば踝までが青く透明な氷で覆われ、鉄屑をガッチリと地面に縫い付けていた。


「貰った!」


 つい口に出てしまうのも無理はない。これで無用でしかない打ち(撃ち)合いを終わらせることができるのだから。

 強化段階を一段引き上げる。

 たとえ阻まれようと、その壁ごとぶち抜いてやろうという気持ちを乗せ、冬弥は捻りながら下段からかち上げるように腕を振るった。


 何度目の再現だろうか。ただ盾としての役割を果たすためだけの単純構造の鉄板が冬弥と鉄屑の間に差し込まれる。

 バキバキと枝が折れるような音とともに急造の盾がブロック状に砕け散る。あくまで銃の延長なのだろう、盾を形作っていた複数のバレルが冬弥の視界で四散する。


「ガハッ…!」


 肋骨が砕ける感触が魔術戦に溺れていた冬弥を現実に引き戻す。人の死を極端に嫌う、それは相手がこの男であっても変わらないようだった。

 腕を引き、鉄屑から離れるように後退する。

 傷ついた内臓から溢れた血液が胃液と共に逆流し、地面に赤の斑点を描く。


 くの字の体のバランスを戻し、銃口を地面に突き立て、ガリガリと勢いを殺した。


『大丈夫ですか?全く、わかりやすく油断するからですよ』


「いや……テメェの設定ミスじゃねぇのかよ。タメもなくバキバキに壊されてたぞおい」


『何のことですかね?』


 息を吸うだけでも激痛が伴うだろうに、鉄屑は何事もなかったかのように言葉を発する。

 首を鳴らし、調子を確かめるように肩を回す。


 人間じゃない。

 肋骨が砕けてなお平然と変わらない人間がいてたまるものかと、冬弥は知らずのうちに一歩引いていた。

 冬弥のように強化された結果の打たれ強さではない。これは何度となく反復された経験により身についた単純な「慣れ」だった。

 得体が知れない、無知からくる恐怖は銃弾の嵐に飛び込む以上に冬弥をの精神を締め付けた。ホラーに感じる恐怖が沸き上がる恐怖だとするのなら、これは侵食してくる恐怖だった。


「ったく、こりゃ肋何本かもってかれたな」


『他人を化け物呼ばわりしておいてなんですがあなたも大概ですね』


 「髪切ったんだけどどう?」、くらいの勢いで軽口を叩き合う一人と一丁はマシンガンを構成し直し、リロードし、弾を吐き出す。


「なんで…もう限界のはずだ。なのにどうしてそこまでして…!」


 死兵ともとれる鉄屑の行動に本能的危機感を感じた冬弥の声がわずかに震えを帯びた。

 あるいは危機感というよりは恐怖だったのかもしれない。極力魔術師としての活動を避けてきた影響か、本格的に他の魔術師と関わり始めたばかりの冬弥の知る世界には未だ普通の人間としての常識が染みついており、だからこそ鉄屑のスタイルはあまりに異端に過ぎた。


「なんで、って言われてもなァ。こう、なんつーんだ、戦うことだけが唯一俺の存在証明になり得る、みてぇな?……まぁあれだ、戦いだけが楽しみの俺に戦うなってのが土台無理な話なんだよ」


 戦うことだけが鉄屑の存在証明になりえる。それはありふれた常識の中では生きられないと言っているも同義だった。

 平和な世界では生きる意味を見出せず、死を身近に感じることで生を実感する。

 ワントーン下がった声や表情から冬弥が読み取ったその答えはあまりにも悲しく感じるものだった。

 が、それと同時にこの男は決して止まらないと断定できてしまった。話し合いなど始めから意味はなかったのだと。そも人の死を嫌う冬弥と殺し合いに生きる鉄屑とでは相容れるはずもなかった。


「さて、んじゃあそろそろ幕引きだ。少し時間をかけ過ぎたのは、まぁ否めねぇが、結果は上々だ」


『やっと終わりですか。毎度付き合わされる身にもなって欲しいものです』


「俺ありきのお前だろうがよ。最後に一発、デカイの頼むぜ」


 伸ばした手の先に新たな銃が形成されていく。

 いや、銃、なのだろうか。

 これまでから銃器ではあるのだろうが、しかしそれは銃と呼ぶにはあまりにもシンプルで、直線的だった。

 より簡潔に言えば、黒く塗りつぶされた直方体であった。


「こればっかりは()()できそうにねぇ。頑張って避けてくれよ、小僧?」


 黒の中に滲むように「赤」が広がってく。

 だが直ぐにそれは収束し、点となった紅点は黒の箱と合わさってさながらレーザーポインターのようだった。


双製ーー(The Elvーー)


 無意識だった。

 えも言えぬ悪寒が冬弥を突き動かした。

 スルト戦、ラストで使用した強化倍率、凡そ二十倍。


 僅かな踏み込みで冬弥の姿は視認可能速度を超える。

 それは鉄屑が言葉を紡ぐより早く、直接狙えたにも関わらず、冬弥が打ち据えたのは鉄屑の手に握られた黒の箱だった。


「……!?」


 右手に伝わる振動に、しかし握っていた手を離すことはなかった。

 武器を離すことがなかったのは数多の戦闘を乗り越えてきた故の行動だったのかもしれない。

 それは、或いは他の状況であれば利点だったのかもしれない。だが殊この状況においては悪手でしかなかった。


 鉄屑は黒の箱を握ったまま、錐揉みしながらうどん専門店へと窓から入店していった。


 この黒の箱はそれまでの銃器に比べ、比較するのも烏滸がましいほどに硬かった。

 それは冬弥の打撃でも全壊には至らず、エネルギーを余すことなく吸収してしまった。

 結果、後方へ殴り飛ばされる己の武器に引っ張られる形で鉄屑は吹き飛んでしまった。


「ハァ、ハァ」


 冬弥は乱れた呼吸を整える。


「終わったのよ?」


 無音となった戦場にローは何事もなかったかのように冬弥の横へと現れる。


「さあね。でも今が逃げ時だってのは確かだろ?て訳で行くぞ」


 一刻でも早く、あんなタフな奴の相手などしていられないと冬弥は踵を返した。


「はーい」


 生理的に受け付けない相手だったのだろう、ローは「二度と会いたくない」、そう示すように小石を一つ、蹴り飛ばした。




「イってぇなおい」


 テーブルや椅子をなぎ倒し、跡形もなく破壊した中に鉄屑は埋もれていた。

 丁度良く傾斜ができた瓦礫に背中を預け、力を抜いた首は倒れ、天井を見上げていた。


『いかがでしたか、あの少年は』


 くぐもった声が問う。

 鉄屑と違い疲労感など全く感じさせない、普段と変わらない声音は鉄屑を落ち着かせ、冷静な思考へと導く。


「思った以上にやるな、あれは。二度とヤり合いたくはないね」


『でしょうね。あれは本当に相性が悪い。純粋な力比べですからね』


「俺の力が弱いってか?」


『事実でしょう?何よりあなたには真っ向勝負など似合わないですしね。いっそ地雷を敷き詰めた上におびき出して周囲をマシンガンで囲み爆弾の雨を降らせたと言うほうが信憑性があるくらいには』


「……そりゃ言えてらぁ」


『だからこそ……だからこそ、あなたはここまでこられたのでしょうけど』


 懐からクシャクシャに潰れた紙箱を取り出し、一度振るい飛び出た煙草を一本口に咥える。

 再度内ポケットをまさぐり、何かを取り出した手をバラバラになったライターがそのオイルで濡らしていた。


「……頼むわ」


『しょうがないですね』


 鉄屑の手に何もない空間から真新しいライターが降ってくる。

 火を灯し、深く息を吸った。

 溜まった全てを吐き出すように煙草を燻らせ、ライターを投げ捨てる。放り出されたそれは銃器を換装した時同様に光を伴い消えていく。


「それでどうだ?満足してくれたかねぇ、()()()()()


『さあどうでしょうか。なまじあの少年が力を出してくれたことが隠れ蓑になっているとは思いますが』


「そりゃ感謝しねぇとな」


 転がっていた灰皿に灰を落とす。


『まるで一仕事終えたサラリーマンのようですね』


「実際一仕事終えたしな。ったく、あのジジイどものせいで余計な手間がかかっちまった」


 後で迷惑料でも請求してやろうか、と今し方戦ったことよりも原因となった男の姿が鉄屑の感情を持っていく。

 苛立ちはそこまで大きくなかったがそれがむしろ煙草を勧めた。新たに一本取り出し、吸い殻に押し当て点化する。


『……そろそろ行きませんか?彼等も引いた頃合いでしょうし』


「いいじゃねぇの。この一本くらいゆっくり、な」


 五分後。

 三本目の煙草が押し潰され、鉄屑は四本目を口に店を出た。




 建築途中のビルの上には外套に身を包まれた影が二つ、隠れるようにして眼下を窺っていた。


「どうだシャオナ?」


「戦闘は終了したようです。対象Eが離脱していきます」


「そうか。シャオナ、もういいぞ」


 上司の許可を得たシャオナは監視を解き、閉じていた目を開ける。


「それにしても血の気の多い連中ですね。昨日の今日でこれとは」


 仲間内にもかかわらず早々に潰しあいにまで発展した二人に、そう吐き捨てた。その目は痴漢を見るより酷いものだった。

 募った苛立ちが彼女を中心に立ち込める。

 今にもその苛立ちそのままに飛び降りていきそうなシャオナの肩にポンッと軽く手が置かれる。


「まあ落ち着けって」


「アレスティ隊長……」


「正直こんな仲が悪いとは思わなかったが……いいじゃないか。俺達の目的はこれで果たせただろう?」


「それは、はい。大凡ですが」


「ならよし。それで?」


「まずは対象Cですが具象系か錬成系を主に使用しているようです。数種類の銃器を使い分けていましたね。細かくは分かりませんが威力は最大現物の四、五倍程かと」


「へぇ。態々魔術で銃を作るなんて物好きもいたもんだな」


 シャオナはサイドポーチから双眼鏡を取り出し、鉄屑が突っ込み半壊した店を覗き見る。どうやら彼等は冬弥達魔術師をABCと記号をつけて呼んでいるらしい。


「対して対象Eは強化系でしょう。人間の出せる速度ではないですし、弾が当たっても動きに変化はないようでしたし。それなりの使い手でしょう」


「へぇ。それは凄い」


「ちょっと、聞いてますか?」


 へぇ、ふーん、と気のない返事や相槌を打たれたシャオナは双眼鏡から目を外し、己の隊長の姿を見るため振り返った。


「はぁ……またですか隊長。せめて報告くらい真面目に聞いてください」


 壁にもたれかかり、視線の先には図鑑程の大きさの本が開かれ、その真摯な様子から話半分であったことは推測するに難くなかった。

 何度目か数えることすら億劫になるほどに見飽きた光景に、シャオナは手慣れた様子で本を取り上げ、自身の鞄に仕舞った。


「何をするんだシャオナ」


「勉強熱心なのは素晴らしいですが時と場所によっては迷惑甚だしいですから」


 非難の目をピシャリと遮断し、鞄を抱え込んだ。


「別にいいだろ?たいした任務でもなし。或る者は将来を思い煩うなと言い、或る者は時間を浪費するなと言った。今やっていることは正しくそれだ」


「一応聞きますけど……つまり?」


「本を返してくれないか?」


「……サンスレイ隊長に渡しておきます」


「後生だ!?」


 オールバックの厳つい顔が拳骨を落としにやってくる姿を幻視し、口止めを図ろうとあの手この手が思い浮かぶが、むしろ悪化するだけだとただ溜め息を吐くだけだった。


「大人しくヘルメットでも被るとするか。……それで結論は?」


「戦力評価はC⁻とC⁺。最大限考慮してもB⁻でしょう。もっともこれだけで判断するわけにもいきませんが」


 帰還の準備を進めるシャオナに対して何もしていなかったアレスティは立ち上がり、行きに買ったペットボトルを開け喉を潤す。


「……飲むか?」


 何もしていないくせに一丁前に喉は乾くのか、と避難的な眼差しでアレスティを見上げていた。

 そして何も言わないままカチャカチャと収納作業に戻る。


「一応隊長なんだけどな。上司だよ?……ほら。シャオナの分。確か好きだったろ、これ」


 髪を掻きながら細身のペットボトルを差し出した。


「……ありがとうございます。隊長だと言うならもう少し自覚を持った行動をしてほしいです」


「ははっ、これは手厳しいな」


 直す気もないのだろう、遠い空を眺めながら乾いた笑いで誤魔化す。


「撤収完了です」


 行動を振り返り感傷に浸る間もなくシャオナの報告が入る。出来のいい部下を持つと楽だなぁなどと注意されたそばから反することを考えたアレスティはしかし悟られないように顔を背けた。


「んじゃ帰りますか」


「了解です」


「相変わらず堅いなあ。もう二年目だろう?もっとラフでいいんだけど」


 お堅い役所仕事が最も嫌いと言っても過言ではないアレスティのとって四六時中行動を共にする部下との交流くらい楽にいかせてほしいというのが本音だったが、シャオナは砕けるようすを微塵も見せることはなかった。

 これがシャオナでなければ即チェンジを求めていただろう。

 緩々のアレスティと壁を崩さないシャオナ。

 なんだかんだと良いコンビになりつつあった。


「ああそうだ」


 ふと思い出したように立ち止まり、


「シャオナ、もしお前が戦うとしたら―――」


 風が吹く。

 それまでに比べ聞こえるかわからないような囁きともとれる言葉。

 しかしシャオナはハッキリと、一分の迷いすらなく、


「勿論です」


 ただ一言、だが込められた意思はどの言葉より重く。期待を裏切ってなるものかとアレスティの背中には熱いほどの視線が注がれた。


「なら良し」


 一陣の風が二人を包み込む。色が付いていたならば綺麗な半球状に渦巻いていたであろう風渦は二人を隠し、解ける頃屋上には誰の姿もありはしなかった。

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