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時をあやつりたいム!  作者: 小日向 時
9/11

8、時計を取り返せ!

こんにちは。前田莉々花です。


私のせいで、いつメンはバラバラになった。

だから、いつメンを元に戻すのも、私がするべきことだと思うんです。


まずは、しおんちゃんに言わなきゃ。私のしたこととしおんちゃんのしてることは間違ってるって。そして、時計を返してもらうんだ。


時計を持って、いつメンのところに帰るんです。

それで「ごめんなさい」って言いながら、時計を返して、仲直りするんだもん・・・。



「・・・あのっ」

「あれ?えーと・・・りりかちゃん!6-3組の」

出てきたのは、ものしずかな女の子、夢ちゃんだった。

「あ、うん。あの、しおんちゃんいるかな?いたら呼んでくれる?」


「え・・・」

夢ちゃんはちょっと驚いた様子だった。

「わざわざ他のクラスから、しおんちゃん呼びに来るなんて、初めてだよ」

「え?どういうこと?」


夢ちゃんは私に耳うちした。

「あ、あの・・・こんなこと言いたくないんだけどね。あの子、ちょっと時間操れるからって、いつもいばっててね、みんな仲良くしてるけど、ほんとは嫌っちゃってるの」

「あ・・・」


「しかもね。これは、あくまで噂って前提で聞いてね。・・・しおんちゃん、ときちゃんって子から、ムリヤリ時計奪ったらしいよ・・・」


「・・・!」

私のことは出てない。けど、全部私が悪いの・・・。


「あの、あのね。・・・ごめんなさい。私なの」

「え?何が?」

「私が、ときって子から時計を奪うのに協力しちゃったの」

「えぇっ!!」

「うん・・・今、私のしたことが原因で、ときとときの友達と、ケンカしちゃって・・・当たり前だけど。とき今学校来てなくて・・・家にも帰ってないみたいなの」


「え・・・大丈夫かな?」

私は泣きそうになったけど、一生懸命我慢しました。仲直りするまでは泣かないって、決めたんだもん。


「絶対、絶対絶対、私がその子たちを元通りにするの。・・・ほんとは、私もそのグループ入ってたけど、こんな私、入れてくれるわけがない。だからせめて、その子たちだけでも、仲直りさせるんだもん」

「りりかちゃん・・・」



夢ちゃんは黙ってしまった。

ああ、こうして私の友達は、減ってっちゃうのかな・・・


「仲直りできるよ!」

夢ちゃんは叫んだ。

「そんなに強く強く、ときちゃんやほかのお友達のこと思ってて、すごいよ。みんな、きっとそれをわかってくれるよ。りりかちゃんもまた、そのグループ、入れる!絶対!」

「夢・・・ちゃ・・・」


ダメダメ。うれしくていっぱいいっぱいだけど、泣いたらだめだもん。


「うん、ありがとう。・・・しおんちゃんを呼んでくれる?時計・・・取り返す」

「分かった。・・・何かあったら、私に言ってね」


・・・ニコッと笑ったけど、ごめん。頼るつもりはないんだ。

だってこれは、私がやることだから。

夢ちゃんは、何も悪くない。時計を取り返すのは、私の仕事だから―――――――・・・。






「話って何よ?」

「しおんちゃん。時計を返して」

「・・・え?今なんて言ったの?絶対いや。しおん、もうりりかちゃんのために時計の力使わないって、約束したじゃーん。もう忘れちゃった?」

へ?時計の力?何の話?



「だって、りりかちゃん、かわいそうに。ときともケンカするわ、おまけに、あんなに大好きなナオくんにフラれちゃったんでしょ。・・・でももう、時間は戻さないよ?」

「時間なんて戻さなくていい。・・・ときに時計を返したいの。ただそれだけ」



「・・・きれいごと言わなくていいのに。ほんとは、ちがうくせに」

「ちがくないよ。今までわたしがやったことは、すごくすごく悪いことだって気づいたの。ほんとなら、時計でもう一回戻したいくらい、後悔してるよ。自分のやったことに」

「何よ、じゃあ素直に言えばいいのに。でも、貸さないことには変わりがないけど――・・・ね」


しおんちゃんがクスリと笑う。

「ときと仲直りするんだもん。時計を返してよ!」

「うるさいわね」

「だってしおんちゃん、ときのこと好きなんじゃないの⁉」


「・・・んなわけないじゃない」

フッと、声を漏らした。

「私がときと仲良くしてたのは、何か秘密を持ってるって分かったから。秘密って、まさかそんなにすごいことだとは思わなかったけど。私、そんなときが気に入らなかったの」

「・・・は?」


「きっとみんなは、秘密を勘付いてて、仲良くしてて。私と同じ人がいっぱいいるんだなぁって思ったの。・・・魔法使えるってことだけで、あんなにちやほやされて、ムカついて」

「・・・」

「だから、ときが嫌がることたくさんした。秘密をばらしたら、意外にも、みんな変な子だって思って、離れて行って。一人になって。そこから時計奪おうとしたけど、逃げてって」

「・・・」

「こっちに来てみたら、また仲良くやってた。またちやほやされてる。でも、りりかちゃんって存在が、私にとってすごく便利な「モノ」で―――――――」









・・・どんっ!

私のスイッチが、プッツンときれた。

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