6、いつものメンツ、崩壊
「りりか・・・どうしたの、急にあらたまって話したいなんて」
「う・・・うん・・・あのっ・・・」
今、私小日向時は親友のりりかに裏庭に呼び出されています。私だけじゃなくて、のあ、ひな、ゆいか、さらも一緒。
大事な話って、なんだろ―――――――・・・?
「ごめんなさい!!!」
「えっ、何?どうしたの?」
私は聞いた。
前に、私の時計を奪っていたこと。ずっと、ナオのことが好きだったこと。もともとはときの彼氏のナオを奪うために、しおんに協力しちゃったこと。
とにかく、全部話してくれた。
記憶があいまいだったのは、そんなことがあったから・・・。
・・・ひどい・・・。
私たちいつメンは、りりかのこと信じてたのに、裏切って、そんなことしたんだ・・・。
パン!!
大きな音がして、「へ・・・?」と、りりかがさらを見つめる。
「あんた、バッカじゃないの⁉」
「・・・っっ・・・」
「ときのこと、いや、いつメンのことずっとだましてたの?しおんに協力して?最低すぎじゃない?ねえ!あんた、この際だから言うけど、黙ってればいいなんて思わないでよ!」
「思ってないよ!」
りりかが反論した。
「私はなんてバカなことをしたんだろうって、最低すぎだよって自分でも思った!黙ってればいいって思ってるなら、私も言う。ときを傷つけないで!」
「はぁ⁉」
「いつもいつも、大きな声出して。ときの秘密を大声で言いそうになってた。それから、男子といつも一緒に遊んで、いつメンとの遊びよりも、男子のほうがそんなに大事なの⁉」
「男子のほうがそんなに大事か?あんたに言われたくない。あんたはいつメンよりも、ナオくんを選んだじゃない!私にとって男子は、友達の1人なの。いつメンだって、男子だって、友達なんだよ。友達と一緒に遊んで、何が悪いの?」
さらは手を上げた。・・・グーで。
「!!!」
「さらダメ!!!」
ひながとっさに、りりかの前に立って――――――
ガッ!
「・・・ひな!!」
りりかはさけんで、たおれこんだひなに駆け寄った。
「ひな、大丈夫⁉」
「あ・・・うん・・・ちょっとほっぺ、ジンジンする・・・」
りりかはさらをにらみつけた。
「さら!!」
「あ、あたし・・・ひなを殴りたかったんじゃない・・・」
「殴った相手がひなだろうがりりかだろうが、同じだよ。人のこと殴って、けがしたら、責任取れんの⁉」
「・・・うるさい!」
さらは叫んだ。
「もう、いつメンなんて・・・大っ嫌いだもん」
「さら・・・」
「いつメンなんて、こんなグループ!絆のかけらもない、こんなグループいたくない!!!!」
「・・・あっそう」
ずっとだまっていたゆいかが、口を開いた。
「私も大っ嫌い。もうこんな、バラバラのグループ、あったってしょうがない」
「ゆいかまで・・・何・・・」
「いつメン抜ける。私誰ともしゃべらないから」
ゆいかが教室のほうへ行ったので、さらも校庭へ走っていく。
「・・・ときは?」
私の名前を呼ばれて、ハッとする。
「え・・・?」
「ときは、りりかを許せるの?このいつメンにいようって思えるの?」
パッ!りりかが慌てて走って行った。もうこの空気に耐えられなくなったんだと思う。
「このいつメン・・・」
「いようって思える?」
こんなバラバラのいつメン、こんなのいつメンじゃない・・・
「思えるわけない・・・」
「・・・!」
「こんなのいつメンじゃない!!私こんなみんな、大っ嫌い」
教室はダメ。ゆいかがいる・・・校庭もさらがいる・・・りりかは、外に出て行った。あっちは・・・もしかして、ナオの学校・・・
そっか。ナオにも伝えに行ったんだ。私はほんとの彼女じゃないって。
私だよ。ナオ、私。
ナオは気づいてくれなかった。ほんとの彼女に。
今はもう、いつメンにも、ナオにも会いたくない。あたりまえだけど、こんな学校の途中で家に帰っても怒られるだけだから、家にも帰らない。
だとしたら・・・あてもなく、走るしかない・・・。
私はその日、公園にいた。




