5、ときの時計→しおんの時計⁉
どーいうこと・・・これ・・・頭の中が混乱してる。
りりか、ナオ、しおん。
私のこと――――・・・何か、話してた?
「やっだー、とき!」
しおんが言う。
「りりかちゃんとナオくんは、どうしても会いたいって、言うんだもん。しおん、会わせてあげたんだよ」
「りりかがナオと会いたいって言ったの?」
うそ・・・
私は変な意味にとらえた。
「そ、そんなの、うそ!」
「ボクはべつに、友達として会ってただけだよ」
ナオが言う。
「そんなの、どうだっていい。りりかとナオ、両想いなんじゃないの?」
『はっ⁉』
2人同時に声をあげた。
だって、どうして?
りりかはどうして、入ってくるなって、私に言ったの?
「ボクとりりかちゃんはただの友達。・・・ボクが好きなの、ときだけだよ!」
ナオ・・・。
「ナオくんは・・・ときのことが・・・」
りりかの1人ごとが聞こえた。
「りりかちゃん、ちょっと、来て?」
りりかとしおんが何か話している。
「何、話してるのよ」
「・・・ごめんなさい、とき‼」
りりかはさけんだ。
時計と杖をとって――――しおんと自分をさわって――――
「ちょっ、りりか――――――⁉」
********************
ぱあああああぁっ・・・
「ナオくんはあっちよ。ときとは出会っているけど、まだ付き合ってないの」
「しおん・・・ちゃん・・・」
りりかは泣きそうな目でしおんを見た。
「しちゃ・・・いけなかった・・・。私・・・」
「何が不満なのよ?りりかちゃんには、いいことしかない。だって、ナオくんを手に入れることができるかもなのよ?」
「・・・」
ここは、1年前の、とある学校。
ときが転校する前にいた、学校――――――――・・・
りりかは、しおんとの会話を思い出して・・・頭が痛くなってきた。
「奪う・・・?ときの時計を・・・?」
「うん。奪ってくれれば、いいことがあるの」
「いいこと・・・?」
りりかは言った。
「いいことが何か知らないけど、私そんなことはしないよ」
「ふーん・・・」
しおんはにやりと笑った。
「近くでイチャイチャするときとナオくん、見てて苦しくなってるんでしょ?」
「え・・・」
「わかるよ、しおん、その気持ち。1番近くで見てると、余計につらい・・・奪って、時間を戻せば、ナオくんがりりかちゃんのものになるかもしれない・・・の」
しおんは「でもね」と、ピシリと指を立てた。
「その後の時計管理は私。だよ」
「ナオくん好きなのは、私だけじゃないよ。のあとゆいかだって・・・」
「みんなは、本気じゃない」
しおんが言う。
「あれは、本物の好きじゃないよ。近くで見てて、つらい顔1つしない。かっこいい、って思ってるだけ。分かりやすく言うと、好きな俳優って感じ」
「そう・・・なの?」
「りりかちゃん、おねがい。・・・ときの時計をとってきて」
うなずきたくなかった。
でも・・・ムリだった・・・。
「ナオくーん!」
しおんが声をかけて、ナオが振り向く。
・・・だめだ、好き・・・。
とき、ごめん、止められないよ――――――・・・。
そして、1年後。
「りりかとナオって、ほんっといいカップル♥」
「ねっ、ときもそう思うでしょ?」
「・・うん。お似合いだね、私もナオを彼氏にしたい!」
私はそう言った。
「それにしても、このしおんって子、すごいね。時間をあやつれるんだって」
「えっ、マジで⁉」
「うん。むしろ、私的にはときのほうが操れそうだけど」
「え?」
「だって、ときって名前からして、そうじゃんよー」
「あやつれたらいいけど、わたしはただの平凡な女の子だよ」
私はちょっと寂しそうに笑った。
だって・・・自分の記憶に自信がない。
前まで、あの時計を私が持ってた気がするけど・・・気のせいかなぁ・・・?
そうだよね。
私が時間、操れるわけないもん・・・
「あ、あはは・・・ときが時間をあやつってたら、私たち無敵じゃん。いつメンサイキョ―になれるじゃーん!」
りりかがムリして笑ってる・・・。
ときはうすうす、気づいてた。りりかはこの話題になると、いつも作り笑いをするんだ。
(・・・)
もう、ヤダ・・・
すべてを知ってるのは、りりかだけ―――――。




