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時をあやつりたいム!  作者: 小日向 時
5/11

5、ときの時計→しおんの時計⁉

どーいうこと・・・これ・・・頭の中が混乱してる。

りりか、ナオ、しおん。

私のこと――――・・・何か、話してた?





「やっだー、とき!」

しおんが言う。

「りりかちゃんとナオくんは、どうしても会いたいって、言うんだもん。しおん、会わせてあげたんだよ」


「りりかがナオと会いたいって言ったの?」

うそ・・・

私は変な意味にとらえた。


「そ、そんなの、うそ!」

「ボクはべつに、友達として会ってただけだよ」


ナオが言う。

「そんなの、どうだっていい。りりかとナオ、両想いなんじゃないの?」


『はっ⁉』


2人同時に声をあげた。



だって、どうして?

りりかはどうして、入ってくるなって、私に言ったの?



「ボクとりりかちゃんはただの友達。・・・ボクが好きなの、ときだけだよ!」



ナオ・・・。

「ナオくんは・・・ときのことが・・・」


りりかの1人ごとが聞こえた。


「りりかちゃん、ちょっと、来て?」


りりかとしおんが何か話している。

「何、話してるのよ」


「・・・ごめんなさい、とき‼」


りりかはさけんだ。

時計と杖をとって――――しおんと自分をさわって――――

「ちょっ、りりか――――――⁉」









              ********************

 

ぱあああああぁっ・・・



「ナオくんはあっちよ。ときとは出会っているけど、まだ付き合ってないの」

「しおん・・・ちゃん・・・」


りりかは泣きそうな目でしおんを見た。

「しちゃ・・・いけなかった・・・。私・・・」


「何が不満なのよ?りりかちゃんには、いいことしかない。だって、ナオくんを手に入れることができるかもなのよ?」


「・・・」




ここは、1年前の、とある学校。

ときが転校する前にいた、学校――――――――・・・


りりかは、しおんとの会話を思い出して・・・頭が痛くなってきた。



「奪う・・・?ときの時計を・・・?」

「うん。奪ってくれれば、いいことがあるの」


「いいこと・・・?」

りりかは言った。


「いいことが何か知らないけど、私そんなことはしないよ」

「ふーん・・・」

しおんはにやりと笑った。

「近くでイチャイチャするときとナオくん、見てて苦しくなってるんでしょ?」


「え・・・」

「わかるよ、しおん、その気持ち。1番近くで見てると、余計につらい・・・奪って、時間を戻せば、ナオくんがりりかちゃんのものになるかもしれない・・・の」



しおんは「でもね」と、ピシリと指を立てた。


「その後の時計管理は私。だよ」

「ナオくん好きなのは、私だけじゃないよ。のあとゆいかだって・・・」


「みんなは、本気じゃない」

しおんが言う。

「あれは、本物の好きじゃないよ。近くで見てて、つらい顔1つしない。かっこいい、って思ってるだけ。分かりやすく言うと、好きな俳優って感じ」

「そう・・・なの?」


「りりかちゃん、おねがい。・・・ときの時計をとってきて」


うなずきたくなかった。

でも・・・ムリだった・・・。







「ナオくーん!」

しおんが声をかけて、ナオが振り向く。


・・・だめだ、好き・・・。


とき、ごめん、止められないよ――――――・・・。








そして、1年後。

「りりかとナオって、ほんっといいカップル♥」

「ねっ、ときもそう思うでしょ?」



「・・うん。お似合いだね、私もナオを彼氏にしたい!」

私はそう言った。



「それにしても、このしおんって子、すごいね。時間をあやつれるんだって」

「えっ、マジで⁉」

「うん。むしろ、私的にはときのほうが操れそうだけど」



「え?」



「だって、ときって名前からして、そうじゃんよー」

「あやつれたらいいけど、わたしはただの平凡な女の子だよ」


私はちょっと寂しそうに笑った。

だって・・・自分の記憶に自信がない。

前まで、あの時計を私が持ってた気がするけど・・・気のせいかなぁ・・・?

そうだよね。

私が時間、操れるわけないもん・・・






「あ、あはは・・・ときが時間をあやつってたら、私たち無敵じゃん。いつメンサイキョ―になれるじゃーん!」






りりかがムリして笑ってる・・・。

ときはうすうす、気づいてた。りりかはこの話題になると、いつも作り笑いをするんだ。




(・・・)

もう、ヤダ・・・









すべてを知ってるのは、りりかだけ―――――。

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