3,彼氏さんのご登場!
修学旅行も無事(?)に終わり、今日は修学旅行の振り替え休日。
みんなにとっても特別な思い出になっただろうけど・・・うちら、いつメンにとっては、すっごい特別な思い出になったよね!
1人でにこっと笑いながら…私、小日向時、スマホで、とある男の子と連絡を取っていました。
名前は、高本直紀。ニックネームはナオ。
ナオは、ぽやーんとしてて、どこか放っておけない・・・そんな雰囲気の男の子。私とは幼稚園の時からクラスもずっと一緒!(しおん、私、ナオ、この3人は、幼稚園から小6まで、ずっと一緒の3人組なんだ)
・・・で、ナオは・・・私の、彼、氏、、、です。
プルルルルルル・・・
「ぬわあああああっ⁉」
突然の電話に、自分でもびっくりするくらい変な声が出ちゃった。
『ゆいか』
そう表示されている。
(ゆ、ゆいかか・・・)「はい、もしもし」
「もしもし、伊藤結花です。とき?」
「うん。ゆいか、どしたの?」
「ああ、今日空いてる?」
・・・やっぱり。
「ごめんね、今日はちょっと、ほかの人と用事が・・・」
「あー・・・そっか。残念」
ゆいかのテンションが下がった。
「で、さあ」
「うん?」
「その用事って何?」
「・・・っっ⁉」
ちょっ、なぜそんなピンポイントで聞いてくる⁉
デッ、でー・・・デートなんて言えるわけない、よね⁉
「おーい、とき?」
「えっ、ああ、うん⁉」
「教えてよー」
「・・・でっ、デートなんて言えるわけないよ・・・」
私は心の中で言ったつもりだった。
つもり。
「・・・デッ、デート⁉とき彼氏いんの⁉マジで!?」
「えっ⁉あっ、・・・・・・うぃーーーーーーーーやぁっ⁉」
だめだ。もう今日の私、変な声しか出ない体質になったんだね・・・。
「どこで⁉いつ⁉」
「・・・○○公園・・・2時から、だけど・・・」
「彼氏どんな人⁉」
「・・・ぽっ、ぽやーんってしてて・・・たよりなくて・・・あ、あとは・・・」
「今日のデート、見に行くわ‼いつメン全員で‼」
「う、うん・・・って、えっ⁉無理無理‼」
ついうなずいちゃったじゃん‼
カチャ。ツー、ツー、ツー、ツー・・・
・・・切れちゃったよ。
あー、どーしよ。あ、でも、時間戻しちゃえばいいのか!
ふっ、残念だったな。ゆいかよ、そして他のいつメンよ。
私は1人、時間を戻すのだった。
―――――――――――――「ごめん、待った?」
「あっ、ナオ!久しぶり!」
私たちは○○公園で無事に待ち合わせした。
「何しよっか?ゲームする?」
「おう、するする!」
ナオは、ほんとに、いい人だな・・・
って、思っていると。
――――――――――たったったっ
「あれ、この声、――――――――もしかして、」
「この公園穴場なんだよ。人が全然いな――――――――――――――」
・・・さら、だった。後ろに、のあ、ひな、りりか、ゆいか。
「・・・あ・・・」
「と・・・とき・・・?」
一斉に声上げた。
「このかわいい男子だれーーーーーーーーーーーっ⁉」
「ときのお友達かぁ。よろしくね!」
「はっ、はい・・・♥」
もうみんなメロメロだ。だよね。ナオはかわいい系イケメンだもん。9年間、告白されてるとこ何回も見たし。
「ボクは高本直紀。ナオって呼んでよ!」
「ナ、ナオくん。私は風間日奈」
「島崎乃亜です」「あたしは渡辺沙良。よろっ」「い、伊藤結花です」「・・・・ま、えだ、莉々花ですっ」
「よろしく。ひなちゃん、のあちゃん、さらちゃん、ゆいかちゃん、りりかちゃんだね。・・・ときとは幼稚園から6年まで、ずっとクラスが一緒のおさななじみなんだ」
ナオはニコッと、笑う。その笑顔にみんな、ズキューン!
私はというと、時間戻したのに何で来るかなぁ⁉いつメン運良すぎだよ。私運悪すぎだよ。
「ねえ、とき」
「え?」
(言う?)と、ナオが目で聞いてくる。
私は仕方なく、小さくうなずく。・・・まあ、どうせいつかはばれるもんね。
「・・・ボク、ときと付き合ってるんだ」
「・・・‼」
「やっぱりな‼」
「でも優しい‼ああ、好き・・・っ」
「・・・別に、どーでもいいよー。みんなさあ、大げさ」
さら、たまには君が正しいこともあるんだね・・・。
「みんな、ちょっと。帰ってよー」
「わかったよ・・・っていうと思った⁉」
「もういつ会えるかわかんないもん‼ここにいます‼」
「えぇーー・・・」
困ったなあ。いつメンがいるのは全然いいんだけど、おとなしくしてくれないじゃん絶対。
仕方ない、奥の手を使うとしよっか――――――――
「…ナオくん?」
声が聞こえてきた。こっちも聞きなれている声・・・まさか・・・
「・・し、しおんちゃん」
「えーーーーっ!やっだ、しおん超うれしい!こんなとこで会えるなんて、まさに愛の奇跡だね、ナオ君‼」
「あっ、しまった。しおんちゃん、じゃなくて、城島さんって呼ぶんだっけ」
「もうナオ君ったら、冷たいなあ。でもそれも、しおんのこと好きだから恥ずかしいんでしょーー‼」
「・・・城島さん、どれだけポジティブなの・・・すごいよ・・・」
やっぱり、しおんだよねー・・・。
「ナオ‼」
「えっ、どうしたの?とき」
私の大声に、しおんも反応した。
「・・・あっれー、なーんだ。ときもいたのかぁ」
「いて悪かったわね‼」
ムッ。ほんとしおん嫌い‼付き合ってるの知ってて、そーいうこと言ってるんだから。
つえでナオと私を触る。
ストップウォッチで、ストップボタンをボチッ‼
グワン。
「時間止めたんだ。ときの時計、久しぶりに見たなぁ」
「時間を止めるときは、一緒に動いていてほしい人をつえで触って、ストップウォッチのボタンをおす。…あ、そうそう、止まっている人でも、つえで触れば動き出すんだよ」
「その説明、いやというほど聞いたよ」
ナオが苦笑いした。
「にげるぞっ‼」
「はーいっ‼」
猛ダッシュで別の公園へ移動して、時間をスタートした。
「やっと、はなれたー・・・」
「もうなんか、これ、デートじゃないね」
「・・・今から、デートっぽくする」
「・・・う、うん」
これで、あの人たちは、いなくなったから・・・2人っきりだね♪
ナオもその考えが分かったみたいに、笑ってくれた。
そのころ、いつメン&しおんは・・・
「あれっ、ナオくんは?」
「ときと一緒に逃げてっちゃった!」
「えーっ、ナオくぅん!」
「ナオくんかっこよかったよね・・・」
「でしょでしょ!ナオくん、悪いけどぉ、しおんがもらう予定♪」
「な、なにっ⁉でも私も、ときには悪いけど、好き…」
『ナオくーーん‼』
「…何この人たち…」
さらがあきれて、のあと、りりかと、ゆいかと、しおんを見ていたんだそう。
『ナオくん同盟』・・・っていう、謎の同盟結んでた、ってさら&ひなが教えてくれた。
あれ?のあとゆいかとりりかって、意外に恋するんだぁー♥
かわいい♥
次の日。学校も始まった日。
「・・・なっ、なにこれーーーーーーーーーーーーー⁉」
新聞委員会め‼
あれもこれも、ぜーんぶ、しおんのしわざ。




