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第082話 ~恋とベッドのきしむ音~



 ひっそりと静まり返った店舗。俺以外は皆それぞれの部屋にいる。

一人店舗に残っているとちょっとだけ怖いかな……。


店舗の灯りを消し、カウンター内の階段を使い、二階へ上がる


 階段を上がりきると、ルエル両親部屋の前に出る。

二人はもう寝たのか? 気になり、ちょっとだけ聞き耳を立てる。



 イリッシュの声が扉越しに聞こえてくる。



「ア、アイ姉。もう、や、めてくださ、い……」


「イリッシュちゃん、すごいね。こんなになって」


「そ、そんなこと言わないでください。恥ずかしです……」


「ふふっ。イリッシュちゃん可愛いね。ここはどうかな?」


「んっ、い、いや。アイ姉、もう、や、やめて……」


「ここがポイントなんだね。ここを、こうすると……」


「はうっ……。こ、声が出てしまいます」


「大丈夫だよ少しくらい。もう、みんな寝てるし、お兄ぃはまだ下にいるし」


「んっ、そ、そこが気持ちいいです……、もっと、してもらえますか?」


「やっと素直になったね。こんなになるまで我慢するなんて」


「だって、アイ姉だって疲れているのに、私だけ気持ちよくはなれないです」


「後で私も気持ちよくしてもらうからお互い様。ほら、ここがイイの?」


「ん、そ、そこがイイです。もっと、思いっきりしてください」



ギシ ギシ ギシ ギシ



 はて、何の会話だろう? いったい中では何が起きている?

ベッドのきしむ音まで聞こえてくる。ベッドの上で激しくナニかしてるのか?


「どう? イリッシュちゃん。ここが気持ちいんでしょ?」


「は、はい……。す、すごく気持ちいです。お、女の人に初めてしてもらってるのに、す、すごくいいです」


「私結構うまいんだよ。もっと気持ちよくしてあげる……」


「んっ! そ、そこ。さっきよりもジンジンします。ん、んっ!」


「そ、そろそろいいかな? 腕が疲れてきちゃった」


「わ、私はもう十分です。今度は私がアイ姉の肩、揉みますね」


「よろしく!」


「じゃあ、ベッドにうつ伏せになって寝てください。背中に乗っかりますね」


「よし、いいぞー。イリッシュちゃん! どんと来い! でも、身体強化とかしないでね」


「大丈夫です。普通にしますから。では、いきますよー」


ギシ ギシ ギシ


「んっ、おぉ、い、い感じ。イリッシュちゃんも揉むの上手いね」


「あ、ありがとうございます。もう少し力入れますか?」


「うーん、この位で大丈夫だよ。腕、疲れちゃうでしょ?」


「じゃあ、このまま続けますね」



 俺も誰かに揉んでもらいたいな。結構肩こってるし!

そうだ! サーニアにマッサージでもお願いしようかな!



「そうそう、イリッシュちゃんの好きな人いないの?」


「そ、それは……。い、いますよ。心に決めた人が。アイ姉はもちろんいるんですよね?」


 ほぅ、好きな人とな。揉み揉みしながらガールズトークだな。うん。


「も、もちろんいるよ。でも、私は叶わぬ恋なの……。頑張って、振り向かせるんだからっ!」


「アイ姉の好きな人ってどんな人何ですか?」


 そういえば、愛に彼氏がいたとは聞いたことが無いな。片思いなのか?

ここは将来の義理の弟になるかもしれん奴の情報だ。聞き逃してはならんな。兄として。

決して、盗み聞きではない。これは、大切な妹の為を想っての行動だ。


「私が話したらイリッシュちゃんも話してくれるの?」


「アイ姉が話したら、私も話しますよ。名前は絶対に言いませんが」


「えっとね、その人は私よりも背が高くて、すっごくかっこいいよ」


「男らしい方なんですね」


「そう! いざっていう時に、絶対に何とかしてくれるの。昔からそうだった」


「アイ姉とはお付き合いが長い方なんですか?」


「私が子供の頃からずっと見守ってくれているの」


「優しい方なんですね」


「ずっと想いを寄せているのに、本人は全く気が付いてくれない! 何でよ!」


「アイ姉は好きな気持ち伝えたんですか?」


「伝えたよ。でも本人鈍感で、気が付かないの。いっつもそう。なんで気が付いてくれないのかしら?」


「い、いきなり、キ、キスしてみたら気が付かないですかね?」



 おっふ。イリッシュ大胆。ちびっこのくせに背伸びしちゃって!

しかし、愛の男友達で付き合いが長い奴って誰だ? 俺が知らないやつなのか?

しかも愛の気持ちに気が付かないなんて! 今度会ったら殴ってやる! 鈍感男め!


「それはできないの。越えてはいけない一線があるのですよ、イリッシュちゃん」


「そうなんですか。じゃあ、手紙を書いてみたらどうですか?」


「手紙か。そういえば書いたこと無いかも。今度書いてみるよ!」


「想いをストレートに書けば、きっと伝わりますよ、きっと」


「そうだね! それで、イリッシュちゃんの想い人はどんな人なの?」


「やっぱり話さないとだめですか?」


「当たり前でしょ! 私だって話したんだからっ! で、どんな人なの?」



 イリッシュの想い人も気になるな。やっぱり獣人族なのだろうか?



「わ、私の好きな人は……。私よりも年上で、背が高くて、優しくて、かっこよくて……。私の事好きって言ってくれる人」


「両想いじゃん! で、で、それから!」


「そ、それから……。少しエッチで、お胸が好きで。でも、なかなか憎めなくて。私の命の恩人で、その人のそばにずっと居てあげたいです」


「イリッシュちゃんは真っ直ぐなんだね。私と大違い。実るといいね、その恋」


「障害は多いですが、頑張ろうと思います」


「そろそろ疲れない?」


「ちょっと疲れましたね」


「じゃ、終わりにしようか? ありがとう、肩軽くなったよ!」


「良かったです。これで明日も一日頑張れますね」


「そうだね! じゃぁ、体も軽くなったし、一緒に寝ようか?」


「はい。一緒に寝るの楽しいですね!」



 愛とイリッシュはやっと寝るようだ。

俺も少し疲れていると思うので、早く実験室に行こう。

そしてベッドに転がりながら、レポートでも読もう。そうしよう。



 廊下を歩き、隣のルエルの部屋に差しかかる。

扉の隙間から光が少しだけ漏れている。まだ起きているのか?


寝る前にあいさつ位するか。



コン コン



……。




コン コン





……。





 返事がない。ただのしかば……。

居ないのか?それとも何かあったのか?


ちょっと心配になり、ゆっくりと扉を開ける。

カンテラのような柔らかな光が部屋を明るくしている。



ベッドにはルエルの姿がない。



あれ? 誰もいない?



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