第072話 ~ベッドとレポート~
テーブルには俺を含め、五人座っている。
「ユーキ。さっきも話をしたけど、同じ内容をフィルにも話したわ」
「…ユーキ。何でもお願い聞いてくれる」
フィルの目がワクワクの目になっている。
一体どんなことを考えているのだろう。
「何でもでは無いが、出来る範囲でな」
「お兄ぃ。なんかワクワクするね! 」
「俺はワクワクしない! どちらかというと罰ゲームに近いな」
本当に罰ゲームだ。何で俺だけが、ぶつぶつ。
「ユーキ兄がもともと悪いんですよ。フィルを誘うから」
「いや、不可抗力だって。ボクって言っているし、髪だって長いけどフィルのお父さんも束ねてたから同じかなって」
「お兄ぃはもっとしっかりと見てあげないと。こんなに可愛いのに」
「愛は本当に初めから女の子だと思っていたんだよな? 」
「も、もちろん!」
愛の目は相変わらず泳いでいる。
「ユーキ。もう一度言っておくわね。フィルは女の子よ」
「わかった。そう何度も言うな」
「ユーキへのお願いはこの時間から明日の就寝までの時間までにしましょう。引き延ばしても悪いしね」
「早めに頼む。みんなに気を使うのも疲れる」
「お兄ぃ。自分が悪い癖に。態度は大きいね」
「申し訳ありません! 依頼は早めにお願い申し上げます! 」
これでいいか! 早く終わらせてくれ!
「分かればよろしい。お願いごと、何にしようかな! 」
愛もルエルもイシッリュもフィルもニヤついているように見える。
多分気のせいだと思うが、変なお願い事はやめてほしいな。
ルエル以外はすでに沐浴を終え、寝間着になっている。
時間も結構遅くなったし、早く休まないと明日に差しつかえるな。
「さ、私もそろそろ沐浴してくるわね。みんなも今日は色々あって疲れていると思うから、早く休むのよ」
「ルエルさんはもう寝るの? 」
「沐浴が終わったら寝ると思うわ」
「ルエル、一つ聞いていいか? 」
「何かしら? 」
「俺は実験室で寝る。ルエルとフィルはは自室。愛はルエルの両親の部屋。イリッシュはどこで寝るんだ? 」
シーン
あれ? 俺間違った事言ったかな?
「わ、私は大丈夫です!床でも寝れますから! 防犯の意味も含めて、店舗で寝ます! 」
「イリッシュちゃん! それはだめだよ。 女の子が床で寝るなんて」
「…イリッシュ。それは良くない。体に負担がかかる」
「ごめんなさい。すっかり忘れていたわ。どうしようかしら? 」
「実験室のベッドでいいだろ? 俺はどこでもいいから」
「ユーキ。昨日みたいに二階へ運ぶのは嫌よ。どうしようかしらね? 」
「そうだ!フィルはベッド作れないの? ルエルさんのベットと同じようなベッド」
「…作れるけど、材料がない」
「だから、実験室のベッド使えばいいだろ? 」
「お兄ぃが床で寝るのも嫌だよ? 」
「じゃぁ、愛が床で寝るか? 」
「それも嫌。あ、私と一緒に寝よう!ベット大きいから二人寝ても大丈夫でしょ? 」
「そうね。今日はアイと一緒に寝てもらって、明日ベッドの手配をしましょうか? 」
「私は床でもいいんですが、アイ姉と一緒に寝てもいんですか? 」
「私は大丈夫! 合宿みたいで楽しそうだし! 」
「問題解決だな。俺はしばらくここでレポート読んでから寝るから、皆は先に休んでいてくれ」
「…わかった。ボクは先に寝る。疲れた」
「イリッシュちゃんも行こう。何だか楽しみ! 」
「はい! 私も楽しみです! 」
愛もイリッシュもはしゃいでいる。
確かに同じ部屋で寝ると、色々と話ができて楽しいんだよね。
お泊り会のようなものか。
「愛もイリッシュもあまりはしゃいで寝るの遅くなるなよ」
「大丈夫! 早く寝るよ! 多分」
「私、一緒のベッドに寝るのが楽しみです! 」
「行こうイリッシュちゃん! 」
「はい! 」
「…ボクもいく。おやすみ」
「みんな! 歯、磨けよ! 」
「私も沐浴してくるわね。ユーキ、紅茶でも入れておく? 」
「いや、大丈夫だ。沐浴のお湯、ぬるかったら言ってくれ。入れなおす」
「わかったわ。ありがとうユーキ」
女の子四人はそろって廊下の向こうに消えていく。
俺はルエルの用意してくれたルエル父レポートをカウンターから持ってくる。
分厚いな…。
ここで登場『翻訳メガネー』 ピロピロリーン
これはなんだい?ルエルもん
これはねユーキ君。この世界の文字や数字が読める便利なアイテムなんだ。
それはすごいね! これで僕も字が読めるね!
ユーキ君が勉強不足だから、今回だけだよ。
ありがとう! ルエルもん
俺はメガネをかける。
とりあえず、一冊開いてみるか。
どれどれ
『ルエルの成長日記』
全然違うじゃないか!
と、思いつつページをめくる俺がいる。
ルエルが持ってきたんだ。読んでもいいよね?




