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第068話 ~ボクと新しいコーム~


「みんな、飲み物ここに置くわね」


「ありがとう!ルエルさんこれ何?」


「これは蜂蜜を溶かしたジュースね。甘くておいしいわよ」


「お、これは甘い!」


「そろそろ夜も遅くなったわ。沐浴して、寝ようと思うのだけどいいかしら?」


「そんな時間か」


「私はベッドの準備があるから、四人で先に入っていて。私は最後でいいから」


「ルエル。それは四人で一緒に入れと、そうとらえていいんだな?」


愛とイリッシュのビンタが俺の頬を熱くする。


今日もごちそうさます!


「そんな事あるはずないでしょ?適当に入ってていいわよ」


ルエルは一人、二階に行く。


「さて、どうしようか?」


「ユーキ兄。ちょっと待ってください」


「どうした?」


「さっきの傷、治しますね。口が少し切れている」


「あぁ、そういえば少し切ったな」


イリッシュが俺の目の前に来る。


両手を俺の頬にあて、おでこを俺のおでこにくっつける。


は、恥ずかしい!イリッシュ!近い!もっと離れていいんだよ!


「動かないでください。集中できません!」


「ご、ごめんなさい」


イリッシュの手のひらが少し、熱くなる。


あ、痛くなくなった。


「終わりました。次から動かないでくださいね。集中が切れてしまいます」


イリッシュの頬も赤い。

なぜか愛とフィルの顔も赤い。


みんな純なんだね。


「さ、風呂だ風呂!早く行こう!」


「ユーキ兄が先に入ってください。私はあとでいいです。」


「お兄ぃ。私も後でいい。先に入って」


「なんだ。先でいいのか。じゃぁ、フィル、一緒に行くぞ」


「…一緒に?ボクと一緒に入るのか?」


「あたり前だろ!裸の付き合いだよ!背中位流してやる!」


「…どうしてもか?」


「恥ずかしいのか!これからしばらく一緒に暮らすんだ!なれるのは早い方がいい!」


「…これも試練か」


「試練じゃない!男の付き合いだ!日本には同じ風呂に入って交流する文化がある!さぁ、行くぞ!」


「…わかった」


俺は恥ずかしがり屋のフィルと一緒に風呂場に行く。


「フィルはお湯と水、どっちがいい?」


「…お湯が出るのか?」


「でる。じゃなくて、出す。が正解かな?」


「…お湯で」


「よし、じゃぁ、脱衣所で少し待ってろ」


俺は風呂場のでっかいタライに向かってお湯を出す。


オーユー。あったかい。オーユー。

左右の手から、おーゆー。


もう慣れた。お湯の歌を歌いながらお湯を出せる。


俺って才能あるかも。


タライに一杯お湯を張り、準備オッケー!


「フィル!準備できたぞ!」


俺は脱衣所に戻り、フィルを迎えに行く。


「なんだ、まだ服着ていたのか。早く脱げよ」


「…ボクはあとで入るから、先に入ってて」


「なんだ。まだ恥ずかしいのか?お子様だな!」



俺はすぽぽぽーんと、スッポンポンになり、タオルを一枚スパーンとする。


「ほら、男はこうやって風呂に入るもんだぞ。先に行っているから早く来い」


「…すぐ行く」


さて、先に入ったので頭と体を洗う。


タライから桶でお湯をすくって頭から被る。


いやー、さっぱりするね!


「…入る。こっちを見るなよ」


「遅い!ほら、頭洗ってやるからこっちに来い!」


フィルは俺の前に座り、向こうを向いている。


「行くぞー」


お湯をかぶせて、頭洗って。

ついでに体も洗ったちゃおう!


「…か、体はいい!自分でする!」


「遠慮するなよ!ほらほら!」


俺は泡立ったタオルでフィルをごしごしする。


首から背中、おなか、太ももに足首まで。


胸もおりゃっと洗っちゃおう!


ぷにっ






ん?






ぷに?






ぷにぷに。






へ?








「あ、え、お、お前!女か!」



「…女で悪いか?」


「だ、だってボクって」


「…昔から自分の事はボクと言っている」



やってしまった!間違った!



「な、なんで断らないんだ!」


「…無理やり誘ったじゃないか」


「そこは断れよ!」


「…この家に厄介になる身。断れない」


「そこは断っていいところだろぉ!」


「…これも試練」


「試練じゃない!」




その時、風呂場の扉が開く。



「ユーキ!何しているの!」


「ルエル!こいつ女だ!」


「そうよ!フィルは女の子よ!なんで一緒に入っているの!」


「こいつ、男だと思って!」


「なんで二人とも裸なの!」


「ここは服を着てはいる所じゃないだろ!落ち着け!」


「落ち着くのはユーキよ!『風の聖霊よ!』」


「すとーーっぷ!ここで魔法放つな!」


「…二人とも騒がしい。落ち着いたら?」


「お兄ぃ!フィルは女の子だって!」


「ユーキ兄!一緒に入ったらまずいです!」



あぁぁぁ!大混乱だ!なぜこうなった!



「みんな落ち着け!まずは出てってっくれ。俺はみんなに裸見られた!」


「…ボクも見られた」


「フィルは一度黙ってくれ!お願いだ!」


「ユーキ、早く出なさい」


「お兄ぃ。最低」


「ユーキ兄。ボクっ子が好みなんですか?」


「頼む。先に戻っていてくれ。後で話そう」


「…じゃ、ボクは先に出る」


「フィル!体流していけ!」


俺はフィルの体を流し、先に出す。


一人、タライの中で胡坐(あぐら)をかく。


精神統一。



この後の惨劇を、どう乗り切るか。


この数分のイメトレが勝敗を決める。


イメージだ……




無理だね!


四対一。逃げられるはずがない。


素直に総攻撃をくらうか。

このままこっそり裏口から逃げるか。


フィルが悪い!俺は悪くない!

何で女の子だって誰も言わないんだよ!


ボクだし、ややまな板だし。

確かに美少年だなーと思ったけど、女の子だったなんて。


風呂場をでて脱衣所で着替える。


扉を開け、廊下に出る。


もう一つ扉を開けたらそこは戦場だ。


一歩間違えば死が訪れる。


選択を間違うな。常に気を張るんだ。


ここで俺は死ぬわけにはいかない。


いざ!尋常に!勝負!


勢いよく扉を開ける!


俺は両手を前にし、ガードしながら店に入っていく。


あれ?何もない?


向こうから声が聞こえる。



「…アイ。気持ちいい」


「そうでしょ?これいいでしょ」


「フィルは可愛いですね」


「…そんな事無い」


「ほら、こんなに濡らしたままで」


「…いつもの事。気にしない」


「私がきれいにしてあげますね」


「…うん。でも、はずかしい」


「心配しないでください。大丈夫です」


「フィル、ほら、もっとこっちに集中して」


「…アイ。もういい。変になりそう」


「フィルはここかいいのかな?」


「…ん、アイそこがいい」


「ここね。じゃぁ、もう少ししてあげる」


「…ん。こ、声が出ちゃう」


「出してもいいんだよ?」


「…だめ。がまん」


「そろそろいいかしら?」


「…イリッシュ。もういい。」


「じゃあ、ここまでね」


「フィル。こっちもそろそろいいかな?」


「…アイ、ありがとう。大部乾いた」


「フィルの髪も長いから、なかなか乾かないね」


「…このコーム便利。売ってたら買いたい」


「このコーム、明日には市場に出るらしいよ!」


「ユーキ兄が開発したんです!」


「…ユーキ、発明家?」


「電気屋?かな。あと、最近ちょっと変」


「ユーキ兄は最近ちょっとエッチいですね」


「…ボクも狙われるのか?」


「知らないふりしてお風呂にいったんじゃ?」


「そうかもしれませんね」








言いたい放題だな。


俺は勢いよく、三人の前に飛び出る!


「そんな事、あるかい!俺はもっとバインな子と一緒に!」


愛とイリッシュのダブルグーパンが飛んでくる。


いつまでもくらうと思うなよ!


俺はさらりと身をかわし、一歩後ろに下がる。



ぷにんっ!



何かにぶつかった?




あ、ルエルさんじゃないですか!



「ユーキ、もういいかしら?いつからそこにいるの?」


「俺はもう上がった。さ、アイもイリッシュもルエルも風呂行な!」



この後、ルエルからテーブルでしばらくありがたい説教をもらう。


愛とイシッリュは二人で沐浴だ。


何で俺だけ……。


フィルは二階の自室に戻っている。


「ユーキ、フィルとなんで一緒に入ったの?私じゃだめなの?」



はい?



「どういうことだ?」


ルエルは顔を赤くしながら話を続ける。


「一緒に入るのは、わ、私じゃ駄目だったの?って聞いてるの!」


えっと!明日の天気も晴れるといいな!





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