第005話 ~シャワーと間接キス~
今回は妹編です
お兄ぃが消えた。目の前で。まるで水の底に沈んでいくかのように、吸い込まれていった。
叫んだけど、この声はきっとお兄ぃには届いていない。
どどどどどど、どうしよう!!!!
まさに 想・定・外!
まさか、目の前でいなくなるとは・・・。落ち着け、自分。こんな時こそ落ち着くことが最優先。
と、とりあえず、何か飲もう。ん?テーブルの上にコーヒーがある。
よし!ミルクいれて、砂糖いれて、3分チン! だ。
・・・・ チン! よし温まったな。 マグカップを片手に考える。
あれはいったい何だったんだろうか?
お父さんの手紙にあったように、異世界に行ってしまったのだろうか?お兄ぃは無事なのか。帰ってこれるのか。また、会うことはできるのか。不安でたまらない。
あ、このマグはさっきまでお兄ぃが使っていたマグだ。
か、間接キス・・・
な、何を考えてるの!私のバカ!
ドキドキドキ ゴク。
ふぅー。 ゴクゴク。
ぶっはぁーー! しょ、しょっぱい!間違って塩入れた!
落ち着け私。今、お兄ぃを助けられるのは私しかいない。
そ、そうだ!お母さんのマル秘ノート!あれに何かヒントがあるかも!
えっと、マル秘ノートはタンスの引き出しの奥だったよね。あ、あったあった。
どれ、1ページ目を開く。1ページ目は目次だ。何かヒントになるものは・・・
あ、これだ!『想定外対応マニュアル ~初めの時はここを読む事~』
早速ページを開き、項目を読んでいく。
『想定外の事が起きたら以下の順に対応すべし』
一、『本日臨時閉店』と書いた紙を店舗入り口に出だし、外部からの侵入者を防ぐ
二、カギをすべてかけ、電話は留守電にしておく。
三、カーテンをしめ、ガスの元栓を閉めておく
四、お風呂に入り、動きやすい服に着替える
五、最後までいっても大丈夫なようにヒーニングを持っていく。
六、あとは勢いに任せ、本能のままに動くべし。
お母さん、意味が分からないよ。でも、想定外の時はこの通りに動こう!
ポスター張って、鍵かけて、留守電にして、カーテン閉めて、元栓閉める。
これで、数日間不在でも怪しまれないね。さすがお母さん。
で、次は シャワー浴びる。
これからお兄ぃを助けに行くのに、何故シャワーを浴びる必要があるの?
そんなことを考えつつ、頭を洗い、腕、おなか、背中と洗っていく。
ちょっと、太ったかな? おなかのお肉が少しだけつまめる。おなかのお肉、胸にいってくれればいいのに。これでもCカップはあるんだからね!お兄ぃのバカ!
お兄ぃ、大丈夫かな・・・・
お風呂場から出て、体をふき、着替える。動きやすい恰好ってなんだろう?
とりあえず体操服にしておこう。で、最後のヒーニングって何?
うーーーーん、ヒーリングのことかな?お兄ぃを回復させろ!って事だね、きっと。
でも、ヒーニングって何を準備すればいいの・・・。
あった!回復と言ったらこれしかないでしょう!『元気マックス!ドリンク剤!!』
確か、お父さんが寝る前に「今夜は家で夜勤だ~」と、言っていた時にこれを飲んでいるのを覚えている。
準備はできた。今、助けに行くよ。お兄ぃ、待ってて!
その頃、異世界に飛んでしまった兄は、必死にナイフを避けていた
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完結めざし、更新頑張ります!