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第056話 ~Cと招かざる客~



世界がスローモーションのように時間が流れていく。



愛が脚立の上から落ちてくる。


俺とルエルは受け止める体制に入っている。


大丈夫だ。きっと何事もなく、受け止められるはずだ。




そして、俺とルエルの腕に愛が落ちてくる。



二人で受け止めればそんなに重くはないはず。



だが、愛の肘が俺の右頬を直撃している。


痛い……。


だが、ここで手を離すわけにはいかない。


頑張れ俺!








ドシーーーーン!!!





そして、時間が普通に流れ出す。


「だ、大丈夫ですか?三人とも!」




少し離れていたイリッシュが駆け寄ってくる。




「た、多分、大丈夫だ。愛、ルエル、怪我はないか?」


俺は愛の上半身を、ルエルは下半身を受け止めていた。


「お、お兄ぃ怖かった!私は大丈夫!ルエルさんは?」


「私も大丈夫よ。愛も怪我がなくてよかったわね。ごめんなさい、私のせいね」


「いや、俺が悪かった。怖い思いをさせてごめんな、愛」


愛は顔を赤くしながら、俺の目を見てくる。少し涙が出そうで、うるうるしている。

俺に何かを伝えようとしているのか?


「そんなに怖かったのか?もう大丈夫だ」


「えっと、お兄ぃ?気が付かない?」


「何がだ?どこか痛い所でもあるのか?」


「ユーキ。本当に気が付かないの?」


「ユーキ兄は鈍感ですね」


愛は人差し指を自分の胸に差す。


胸が痛いのか?俺は愛の胸を見てみる。








そこにはなぜか俺の手がある。


オーマイゴット。なんてことだ。


あまりの無さに気が付かないとか、そういう問題ではない。

確か愛もC位は有ったはずだ。



俺はあわてて手を放す。

が、時すでに遅し。


ここは三対一で分が悪い。逃げようか、対抗しようか。



「お兄ぃ。何か言うことは?」


「すまん。わざとではない。事故だ事故」


「ユーキ。同じようなセリフ前にも聞いたような気がするわ」


「ユーキ兄。エッチィですね。そんなにお胸が好きなんですか?」


「好きだ!だが誰でもいいわけではない!俺は美乳が好きだ!」








愛は右頬、ルエルは左頬、イリッシュはボディに。


今日も熱いのいただきました!ご馳走様です!



俺は床に沈み、倒れる。



チーーン





「さ、仕事を続けましょう」


「私も縫い物、仕上げないと」


「あと少しでカーテン取り付け終わるから早さっとやってしまおう!」


「ユーキ。そこで寝ててもいいけど、資料、カウンターに置いておくわ。あとで見ておいて」



みんな、冷たいね。

ホットな攻撃とは反対に冷たい眼差しをありがとう。




でも、愛の胸はちょっと成長していたかな?





しばらく撃沈していた俺もやや復活し、陳列を続ける。


まぁ、こんなもんでいいか。



一通り陳列が終わりかたずける。


さて、他のみんなはどうかな?


イリッシュはそろそろ終わりそう。

愛は店の外で窓の外扉を開けている。

いくつか外からしか開かない窓があるようだ。


ルエルは二階からまだ戻ってきていない。



「ユーキ兄。終わりました!」


「早かったな。よし!早速店に並べるか!」


完成したワンピースも可愛く仕上がっている。今度はプリーツとかレースも組み込んでみるか。


財布の完成度も高い。これはいい品ですね!俺も後で一つ買おう。

スタッフの特権だ!先に購入権!!



「イリッシュは縫い物上手いな。あの適当なデザインがでここまで作れてしまうとは」


「こうなったらいいなぁって、思いながら作っています。可愛い服、好きですから」


「売れるといいな」


「売れるといいですね」


「イリッシュはポップも作れるか?」


「ポップ?」


「紙とペンで商品に対して簡単なコメントを付けるんだ。例えば『このリングは恋人と是非おそろいで!』とか『この服のリボンが大きくてかわいいね!』とか」


「一言コメントで良ければ、私が書いてみますか?」


「試に書いてもらえるか?」


カウンターから紙とペンを持ってきて、イリッシュに書いてもらう。


イリッシュは何個かアイテムを見て筆をとる。



『このリングはちょっと勇気が出るリング。あなたの恋を応援します』


『リーフの緑がアクセントで可愛い。この季節にリーフの髪留めはいかがですか?』


『胸元で輝くアクセントに。少し細目のチェーンがあなたを美しく見せます』



「こんな感じでいいでしょうか?」


「いいんじゃないかな?後で愛に聞いてみよう。多分大丈夫!」




カラン コローーン


「らっしゃいませ!」


ん?男のお客さんか。珍しいな。



カラン コローーン


「らっしゃいませ!」


え?また男のお客さん?


カラン コローーン

カラン コローーン

カラン コローーン


何人もお客さんが入ってくる。

全て若い男性のお客さんだ。



なんだ?何が起きている?



「ここは、雑貨店か?」


「はい。主に女性用のアイテムを中心に扱っております」


「そうか。少し店内を見ていいか?」


「はい、大丈夫です。何かありましたら、お声かけください」


「あぁ、わかった」



ややごつい男性は店内を物色している。


他の男たちも店内をうろうろしている。




イリッシュが小声で話しかけてくる。


「ユーキ兄。普通のお客さんですよね?」


「あぁ。多分な。今の所、変なことを考えているやつはいないと思う」


「どうしたんでしょうか?急に人が増えました」


「何かあったな。イリッシュ、念のためルエルを呼んできてくれ」


「わかりました」



イリッシュは二階に行き、ルエルを呼んでくる。



「ユーキ、どうしたのこの人たち」


「多分お客様だ。でも、急に何人も入ってきている。何か、違和感を感じる」


「そうね、いままで男性のお客さんはこんなに一気に入ってきたこと無いわ」


「少し、様子を探るか。ちょっと店内を見てくる」


俺は店内の商品を整理するふりをしながら、客同士の話に耳を傾ける。



「なぁ、どう思う?」


「俺はいいと思う。おまえは?」


「俺もいいと思う。俺、ここに通っちゃおうかな!」


「あ、俺も通う!抜け駆けするなよ!」


なんの会話だ?何が起きている?



「でも、いい感じだよな。まさか、こんなことろで見えるなんて」


「そうだよな。まさに奇跡って感じだ。明日も絶対に来ようぜ」


「いつもこの位の時間なんだろうか?」


「それはこないとわからないだろ。お前、店の前で張ってろよ」


「やだよ。お前がしろよ」


店の前で張る?明日も来る?

いったい何が起きている?店の外で何かあるのか?



俺はルエルの所に戻る。


「ルエル、ちょっと外の様子を見てくる」


「わかったわ。気を付けてね」


「ユーキ兄。何かあったらすぐに戻ってきてください」


「ああ。わかった。何事もなければいいがな」


俺は外に出る。

通りはいつも通り、変わったところはない。



一体何が……。



一人、店の前を男性が通る。

目線は俺のずっと上。


上に何かあるのか?





そこには愛が窓を外から開けている。

風になびくスカート。

見える太ももが輝いている。


あぁ、見えそうで見えない。

愛は気が付いているのか、いないのか。



えっと、明日からは俺の仕事になりそうだな。



そして、目の前を通過しようとした男性は、なぜか店の中に入ってくる。




愛は見世物ではない!

店に入ったんだから何か買っていけよな!!!



「愛!作業は終わりだ、店の中に入ってくれ!次の作業だ!!」


「わかったーー!今いくーーーー!」


さて、店内のお客様に、何を売ろうかな!!



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