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第051話 ~接客とF~



「仕入れ品の検品は終わったな」


「さすがに暑いわね。むしむしするわ」


「もぅ、汗びっしょり。ルエルさん、着替えある?」


「そうね、一度着替えましょうか」


「じゃぁ俺はイリッシュの所に行って手伝ってくる」


「わかったわ。すぐに行くわね」


「お兄ぃ。イリッシュちゃんに迷惑かけないでね!」


二人は倉庫に有った着替えを持ち、扉から出ていく。

そのまま脱衣所に行く様だ。


俺も一緒に倉庫から出るが、向かう先は反対。

店の方に行くと、声が聞こえてくる。



「こちらの商品でよろしいですか?」


「えぇ、これと同じものをあと二つほど欲しいのだけど、あるかしら?」


「少々お待ちください。今お持ちしますね」


お客さんか?

俺は廊下と店を区切っている扉の隙間から覗く。



イリッシュが対応をしているのをしばらく観察してみよう。



「お待たせいたしました。こちらと同じアイテムになります」


「じゃぁ、これ貰うわ。いくらになるかしら?」


「では、お会計いたしますので、カウンターにどうぞ」


イリッシュとお客様はカウンターに移動する。

レジはカウンターにあるからな。そういえば、イリッシュはレジ使えるのか?



「お待たせいたしました。三点、合計で1500ジェニになります」


「じゃ、これでお願いするわ」


「はい。2000ジェニお預かりいたします。500ジェニのお釣りです」


お釣りを手渡し、商品を袋に入れて、お客様に渡す。

なかなか丁寧な対応だな。そして、レジ使えたんだな。

イリッシュ、さすがです。


「ありがとうござました!またお越しくださいませ!」



カラン コローン



一人のお客様が帰っていく。


イリッシュはさっき売れたアイテムの所に行き、陳列を並び替えている。

売れたら即、整理しているのか。


素晴らしい!素晴らしいぞ、イリッシュ!

接客できているし、合格だ!




俺は店内に入り、イリッシュに声をかける。



「今戻った」


「あ、お帰りなさい。カーテンの作業は終わったのですが、お客様がいたので対応していました」


「良い接客をするな。習ったのか?」


「いいえ、習ったわけではありません。両親と買い物に行くと、こんな感じで店員さんに話されていました。真似してみただけです」


「そうか。正直びっくりした。イリッシュは接客が上手いな」


「そんな事ありません。まだまだ勉強不足です!」


「ちなみに、なぜレジを使えるんだ?」


「同じようなものが家にありました。父とよくお店屋さんごっこをしていたので」


「イリッシュはなんでもできるな。将来良い奥さんになれるよ」


イリッシュは急に頬を赤くする。

目が泳いでいるし、尻尾もブンブンだ。

見てて楽しいな。


「そ、そうですか!私いいお嫁さんになれますかね!」


「あぁ、なれるさ。俺が保証するよ」


イリッシュは目を輝かせながら俺を見ている。


「さっきは何が売れたんだ?」


「えっと、髪飾りが三点です」


「販売記録は?」


「そこまでは。ルエルさんに聞いてからと思って、まだ記録はしていないです」


「台帳は必要だから、とりあえず紙に記録だけしておいてもらえるか。あとでルエルとどうするか決める」


「はい。レジの隣の紙に記録しておきますね」


「すまないな。助かるよ」


「あの、私も一つお願いが」


「なんだ?」


「これと同じ髪飾りが倉庫に有ったと思うので、三点取ってきてもらえますか?私は店に残るので」


「わかった、簡単な作業だ。すぐに取ってくる」


俺は再び倉庫に戻る。




えっと、どこかな?

あ、あったあった。この箱だな。三つ取り出して、うん同じアイテムだね。



俺は倉庫の扉あを開け、店に戻ろうとする。







「95ね」


「ルエルさん!すごいね!こんなにあるの!」


「アイ、声が大きいわ。外に聞こえるわよ」


はい。しっかりと聞こえております。

愛、声大きいよ。


「ごめん。びっくりしちゃって。何でこんなにあるの??」


「何でかしら?気が付いたらこうなっていたのよ」


「そうなんだ。前からあったの?」


「そうね、16歳の頃はそんなになかったと思うわ。徐々に って感じだと思う」


「そうか。徐々にか。昔はどの位だったの?」


「えっと、確か70位だったと思うわ。気が付いたら95にもなってしまって」


95!95ですか!Fですか!?

愛!ナイス!グッジョブ!ブラボー!!

70から95だって!随分大きくなったね!!




「そ、それは凄いね。私のも見る?」


「いいの?じゃぁちょっとだけ見せてね」


「ちょ、ルエルさんくすぐったい」


「あら、アイは75かしら」


「そうなんだ。75か。ちょっと少ないね」


まぁ、なんだ。

愛もこれからだって!気にするな!




「そうでもないわ、ちょうどいいと思うわよ」


「じゃぁ、これをキープしよう!」


キープ!キープするの?

いいのかそのままで!もう少しいけるだろ!!



「あ、気を付けて。ここでは濡らさないように」


「大丈夫。ルエルさんも気を付けてね。濡れたら大変」



しかし、なんという会話をしているのだ。

勝手に聞こえてきたんだし、俺は悪くないよね。









「でも、どうして在庫集計表持ったまま来てしまったの?」


「倉庫からそのまま来ちゃったから、お兄ぃに渡すの忘れちぇって。ごめんね」


「でも、この在庫。以前は70だったのに、95まで増えているっていう事は売れないのに仕入れたのね」


「そうだね。こっちはずっと75なのかな?」


「売り場に出さずに、ずっと倉庫に入っていたのかもしれないわ」


「集計表はこれ一枚しかないから、絶対に濡れないようにしないとね!濡らしたらお兄ぃに怒られそう」


「そうね、気を付けて着替えましょう。ちょっとタオル濡らして体も拭きましょうね」


「はーい!」






在庫管理はしっかりしないといけないよね。

勘違いなんてしてないからっ!


着替えながら在庫確認しているとは。

さすがお二人さん。仕事熱心!偉い!



さ、早くアイテムとって、店に戻ろう。







アイテムを手に、店に戻ろうとするとまた声が聞こえる。




「だから!まとめて二千ジェニでいいだろ!」


「お客さま、困ります。これは一点三百ジェニ。十点で三千ジェニです」


「こっちがまとめて買ってやろうとしているんだ。値引きして当然だろうが!」


「いいえ、お客様は。当店は値引き販売は行っておりません。申し訳ありませんが、表示されている販売価格で取引をお願いします」


「お前、何だか偉そうだな。客に向かってそんな口きいていいと思っているのか!」


「これは取引です。商品に対して、対価を支払っていただく。当然のことですが、お客様は計算できますか?」



あ、言った。そんなセリフ言ったら






プチ






ですよねー。お客さん切れたよ。



さて、ここでバーンと飛びでるか!




「いい気になりやがって!!」



どこぞの野郎が腰のナイフに手をかけ、イリッシュに襲い掛かろうとしている!


イリッシュは動かず、相手をじっと見たままだ!


動けないのか!!




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