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第046話 ~まな板と消耗品~



俺たちはテーブルを囲み、現状確認を行う。



「ルエル、集計表を確認して原価を入れていってくれ」


「わかったわ」



イリッシュがさっきまとめた集計表をルエルに渡す。



「イリッシュは字がとても綺麗ね。見やすいわ」


「ありがとうございます!がんばりました!」


イリッシュは褒められたのが嬉しいのか、ニコニコしながら尻尾をブンブンしている。



「愛とイリッシュはこの図面通りにお店のテーブルとか棚を移動しておいてもらえるか?」


「お兄ぃ!任せてよ!でも、力仕事を女の子に依頼するのは男としてどうなのかな?」


痛い所をついてくるな。だがしかし


「商売に男も女も関係ない!儲けることが正義だ!できることを精一杯してほしい!」


「わかりました!私もアイ姉と一緒に頑張ります!」


イリッシュは素直だな。いつも頑張っている。気を使っているのだろう。


「イリッシュ。無理はしないでくれ。いつでも、愛に丸投げでいいんだぞ」


「お兄ぃ!妹扱いひどい!」


「俺は愛の事を信頼しているんだ。力いっぱい頑張ってくれ!」


「はぁ、まーしょうがないな。イリッシュちゃん、やろっか」


「はい!力いっぱい頑張ります!」


俺がさっき書いた図面を片手に、二人は売り場に行く。





愛も背が低い方だが、イリッシュはさらに低いな。

頭半個分位低いから140センチくらいだろうか。

テーブル動かせるか心配だな。


「イリッシュちゃんいくよ!」


「は、はい!だ、大丈夫です!な、何とか持てます!」



小さめのテーブルでギリギリか。他のテーブルは難しそうだな。後で手伝おう。




「ユーキ。終わったわ」


「さすがに早いな。で、一覧にまとめてみて、どんな感じだ?」


「半分以上の在庫が仕入れたままで、ほとんど売れていないわね」


「売れている商品はあるのか?」


「何点かあるわね」


「そのアイテムの共通点は何かわかるか?」


「ちょっと待ってね・・・」


ルエルは眉間に少しだけしわを寄せて考えている。

困った顔にも見えるが、ちょっと可愛いな。思わず頭をなでたくなってしまう。



「わかったわユーキ。共通点は、女性用のアイテムで消耗品ね」



女性用のアイテムで、消耗品。

女性用のアイテムで、消耗品。

女性用のアイテムで、消耗品。



なんだ?いったい何が売れている?



「そのアイテムはなんだ?」


「香り棒、香水、ソックス、ピアスなどね」


「香り棒は聞いたこと無いがどんなアイテムだ?」


「今とって来るわ」


ルエルは売り場に行き、何かを手に持って戻って来る。



「これよ」



棒。確かに棒ですな。うん、木の棒に小さな魔石がついている。

なにこれ?武器ですか?


「ルエル、これはいったいどんなアイテムなんだ?」


「ユーキの世界ではこれと同じようなアイテムは無いのかしら?ここに魔力を流すと」


ルエルがそっと魔石に魔力を流し始める。

しばらくすると。






果物のにおい?この棒から果物っぽい甘いにおいがしてきた。

あ、芳香剤か!



「においを出す場道具か?」


「当たりよ。さすがユーキ。部屋とか店に置いて使うの。流した魔力が多ければ比例して長く香るの」


「確かにいい匂いだな。においを出す魔石もあるのか?」


「これはエンチャントよ。エンチャントで作れるの」


「なるほど。他の店でも売っているのか?」


「どこでも売っているわ。ギルドから仕入れる事もできるし、それに仕入れ値も安いしね」


芳香剤、香水、靴下にピアス。

ピアスはなくすからかな?消耗品でもないだろうに。



「市民用と冒険者用のアイテムだったらどっちが売れている?」



「ほとんど市民用の普通のアイテムね。冒険者用も女性用に仕入れているのが少し売れているわね」


「ということは、やはり女性をターゲットにして店を作るべきだな」


「そうね。今までもそのつもりだったのだけど、足りなかったわね」


「一度売り場の商品を見直すから、男性用のアイテムは一度すべて倉庫に入れておこう」


「アイテム数もそんなにないから大丈夫だと思うわ」


「その作業をお願いできるか?ついでに、カーテンとミシンをテーブルに持ってきてほしい」


「わかったわ。ユーキ、店長っぽいわね。いい店になるといいわね」


「いい店にするさ。ルエルの店だからな」


ルエルは売り場に行きアイテムを集め始める。










「イリッシュちゃん!頑張って、あと少しで終わるよ!」


「は、はい!これは、少し重いですね!」


愛達の作業もそろそろ終わりそうだ。でも、そのテーブルは重いんだな。

さっき少しだけ持ってみたけど、あの二人じゃきついかな?よし、手伝いに行くか。



「二人とも、俺がてつだっ」





「アイ姉。ちょっとだけ本気出して持ち上げますね」


「ん?いいよー!イリッシュちゃん、ファイト!」



イリッシュは目閉じ、深呼吸をしている。

イリッシュの力ではきっと持てないだろう。それは結構重いのだ。


が、しかし目の前で異変が起きる。




イリッシュが目を開けた瞬間、髪が腰まで伸び、体つきが変わっていく。

身長もルエル位に伸び、顔つきも大人っぽくなった。

まな板もすっかり大きな双山になっている。

服はそのままなので、胸はパツーン。太ももバーン。

膝上のミニスカになってるよイリッシュ。


愛よりスタイルが良くなったね!

あ、愛の目が動揺している。だよね、俺も動揺しているもの。


そして一番違和感があるのがイリッシュの周りにある何か。

俺の目にも見えるくらい、何かモワモワした何かを体にまとっている。


イリッシュどうしたのそれ?わたあめ?




「ふぅーー。あまり長い時間できませんが。持ちます!」



「イ、イリッシュちゃん!大きくなった!!」


「イリッシュ、魔力を使ったわね?」


魔力を使うと大きくなるのか?この世界はそうなのか?



軽々とテーブルを移動し、終わったと思ったらまた元の姿に戻った。

時間制限でもあるのか?三分だけとか。


「イリッシュ。今のはいったい」


額にちょっと汗をかいているイリッシュに尋ねる。

さっきの倉庫であったように、息切れをしたり、倒れたりはしていない。



「私達銀狼族は魔法適性はほとんどありません。その代りに身体能力を強める力があります」


イリッシュの一族は魔法として魔力を使うのではなく、魔力を体内で力に変換できるそうだ。

中には魔法力として表に出せる者もいるが、その数は決して多くはない。

体内に魔力を循環させると、体が最も力の出せる年齢になるそうだ。

じーさま、ばーさまだったら若返るし、子供がすると大人になるそうだ。


魔力量に応じて継続時間が変わるようで、魔力をさっき使ってしまったイリッシュには今回数分しかできなかったようだ。



「イリッシュ。今の力はあまり使わない方がいいわ。まだ、あなたには体の負担がかかりすぎよ」


「ごめんなさい、ルエ姉。あまり使わないようにします」


「イリッシュちゃんすごいね!こんなこともできるんだね!でも、無理しないで!無理そうなときはお兄ぃを使えばいいんだしさ!」


「そうだ、イリッシュ、無理はしないようにさっき言ったじゃないか。イリッシュに何かあったら、みんな悲しむぞ」


「そうよ、イリッシュ。大切な家族が倒れるところは見たくないわ」


「みなさん、ごめんなさい。そんな事言われると思わなくて。これからあまり使わないようにしますね」


「自身の命の危険や大切な何かを守るために、いざという時は自分の判断で使うのよ」


「はい!ありがとうございます。みんな心配してくれて、私、嬉しいです」




イリッシュが大人になったら、かなり美少女になるんだな。

ルエルも美しいエルフだし、少女のイリッシュも可愛い。

妹の愛は、まぁそれなりに美人か?ちょっと力任せなところがあるけど、根はいい奴だし素直だし。


早く店の準備を終わらせて、この三人に売り子として頑張ってもらおう。

その後俺は裏方にっ徹する!


そんな事を考えながら、店内の配置は完了し、さっきまでみんなでいたテーブルにはカーテンとミシンが乗っている。



さぁ、ここからが踏ん張りどころ。

もう一仕事がんばろう!




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