表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/142

第045話 ~レイアウトと売れるアイテム~



俺はルエルと一緒に店内を見渡す。

愛とイリッシュは集計で忙しそうだ。




「なぁ、ルエル。この商品が乗っているテーブルの位置とか、もともとこうなっていたのか?」


「いいえ。初めは違ったわ。ギルドから仕入れた商品を並べているうちに、位置を変えて今の位置になったわ」


見る限り、導線もなければ配置も適当になっている。

通路幅も狭い所と広い所がありまちまちだ。


「まず商品よりもこの商品を置いているテーブルや棚の位置を変えようと思う」


「でも、どの商品も手に取れるし、通路も全て通れるわよ?」


「それはそうだが、来店したお客様の事を考え、見やすい配置、通りやすい通路幅が必要だ」


「そうなの。お店の事に関してはユーキの方が知識がありそうね」


「俺もそこまで詳しくはないが、店舗を運営するうえでは基本だと思うぞ」


「私にはあまり商売の才能はなさそうね。ユーキの魔法の才能と同じくらいね、きっと」


それって初心者レヴェルって事ですね、ルエルさん。




俺は、ルエルと一緒に新しい配置を考えていく。

テーブル、棚、壁面にある飾り棚など、全ての導線を考え紙に書き起こしていく。



「ユーキは図面を書く才能も有りそうね。わかりやすいわ」


「これは自宅の店で何度もやったからな。父さんが結構うるさくてね」


店舗全体を枠にし、入り口、テーブル、棚、カウンターなどを配置。

店の奥にあるスペースは喫茶店として機能するようにテーブルといすを配置。

カウンターテーブルもこの店にはあるので、お客様が座れるように椅子を配置する。


「全体の配置はこんな感じでいいか?」


「いいわね。今よりもすっきりしてるわね」


「あと、店の明るさだな。全体的に暗い。もっと明るくしたいが、何か案はあるか?」


「閉めている窓があるから、天窓も含めて全て開けてみる?」


「そうだな。でも、なんで半分くらいの窓を閉めているんだ?」


「日に当たったら商品が傷むかと思って、出来るだけ閉めておきたかったのよ」


なるほど。一理あるな。

確かに服とかバックとか直射日光があたると日焼けするし、色も抜けるな。


「開けた窓に、薄い白のカーテンとかつけたらいいんじゃないか?直射日光は避けることができるぞ」


「そうね、それがいいわね。確か倉庫にあったと思うから後で準備しましょう」


これで店内の明るさが解決すればいいが・・・。




「あとは、実際に販売する商品のピックアップだな。ルエル、絶対に残したいアイテムはあるか?」


「絶対に残したいのは、この指輪と、このローブ、あの髪飾りくらいかしら?あ、あとこの指輪も」



ルエルが言ったアイテムを見てみる。

真っ黒なローブ。ドクロノリング。骨の形をした髪飾り。

えっと、この世界の『可愛い』は俺の認識と違うかもしれない。


最後に言った指輪は俺がつけている指輪と同じデザイン。翻訳の指輪だな。


「ルエル。この三点は可愛いのか?」


「可愛くないわね」


「では、なぜ残す?」


「売れたら高いのよ、この三点は」


ルエルさん。違うよ。俺さっき説明しなかったけ?

可愛いお店で攻めると。


ルエルさんも自分で言ったじゃない!

可愛いお店がいいって!



「ルエル。この指輪とこの髪飾り。来店した女性のお客さんが買うと思うか?『わぁ、このドクロリングかわぃー、こっちの骨の髪飾りもいいわね!』とか話している所、想像つく?」


「まったく想像できないわね」


「だろ?だったらこれはルエルのお店には合わないって事だ」


「そぅ・・・。残念だけど仕方ないわね。仮に売れないとしたら、このアイテムはどうするの?」


うーん、そこなんだ。売れないアイテム、要は不良在庫が恐らくこの店には多い。

かといって捨てるわけにもいかない。


「ギルドに返品できるか?」


「未使用品だったら卸価格の半額で買い取ってもらえるわ」


「半額で買い取られるよりも、原価で販売した方がいいな。何とかして売ろう」


「でも、売れないわよ。仕入れてから一個も売れていないし」


一個も?一個も売れてないの?これだけ数あって、一個も売れてないの?

うーん、ちょっと難しいな。あの手で、いくか。


「ルエル。ミシンある?」


「ミシンだったら、お母さんが使っていたミシンが倉庫にあるわ」


『ミシン』は翻訳してくれるんだな。

この翻訳の指輪は恐らく共通認識のアイテムだったら翻訳出来て、共通認識できない未知の物だったら、ただの言葉として発せられるんだな。

凄いぜ翻訳の指輪!



「あとで、ルエルにミシンを使ってもらいたいんだが」


「私、使えないわよ」


「え?なんで?」


「教わっていないから。今まで縫い物は手縫いしかしたことがないの。生地から何か作るのはずっとお母さんがやっていたの。ごめんなさい」


予定外だな。

あとでミシンを見せてもらおう。最悪、俺が使いこなす!

電気屋にミシンはあるからな!何回か修理もしたことあるし、たぶん大丈夫だろう。



「よし、この件はあとで俺が何とかする」


「ユーキ、ごめんなさいね。私、結構不器用なの」


不器用であのナイフ(さば)きはないよね!絶対器用でしょ!



「お兄ぃ!集計終わったー」

「終わりました!」



どうやら愛たちの作業が終わったようだ。



「店舗のレイアウトはできたから、在庫確認もしたいし一度戻るか」


「そうね。きりがよさそうだから、お茶を入れるわ」






みんなテーブルに着き、ルエルの淹れてくれたお茶を飲む。


「ルエ姉の淹れてくれるお茶は、とってもおいしいですね」


「ありがとう、イリッシュ。お店でもこの紅茶を出すのよ」


「そうなんだ!こんなにおいしいのに、お客さん来ないね!」


そう、問題はここにもある。来店するお客さんがほぼいない。

通りはにぎわっている。他の店はそれなりにお客さんがいるっぽい。


でも、この店は カコーーン だ。




「早速だがこの店は今、危機に瀕している!売り上げが無い!お客様もこない!でも在庫はある!」


「反論はないわ。残念だけどね」


「ルエルさん、これからたくさんお客さん来るから心配しないでね!」


「私もお店せしたこと無いけど、頑張ります!」


「アイもイリッシュもありがとう。ユーキ、期待してるわ」


「今からこの店を繁盛する店にする為、皆で一丸になり共に行動を開始する。皆、準備はいいか!」


「「「はい!」」」


こうして、ルエルのお店 フェアリーグリーン 繁盛への第一歩を踏み出す。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
当作品の評価&感想は最新話の最下部より可能です!
是非よろしくお願いいたします。


↓小説家になろう 勝手 にランキング参加中!是非清き一票を↓
清き一票をクリックで投票する
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ