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第040話 ~ワインとコーム~


カラン コローーン



「ルエルちゃんはいるかい?」



このタイミングで誰だ?



入り口を見るとひげおじさんがいる。

はて?どこかで見たような?



「あら、ブロッサムじゃない。どうしたの急に」


「そうだ!おっさんだ!」


「おっさんじゃない!何度も言うが、俺は24だ!」



特許ギルドのギルド長。

その名もひげおじ ブロッサムだ。

さっきまでギルドで一緒に話をしていたが、何のようだ?



「おじさん!何しにしたの!?」


「そこの女。名前をまだ聞いていなかったな」


「私は愛だよ。木下愛。よろしく!」


「改めて話すぞ。アイとやら。俺はおっさんではない!お兄さんだ!」


「あははっー。そんなわけないよ。だってその、あた」


「あーーーいーーーー!!!ブロッサムさんも忙しいようだ!早く要件を聞こうか!」


「そうね、ブロッサム、急にどうしたの?何かあったのかしら?」


「お前らと話すと疲れる。ルエルちゃん、さっきのコームなんだが試作ができた」



早っ!さっきからそんなに時間立ってないぞ!


「相変わらず仕事が早いわね」


「魔道具ギルドに話を持っていったら、すぐにできると言ってあっという間に作った」


「そんなに簡単にできるのかしら?」


「魔石のエンチャントが初心者レベルでな、おまけに魔石も極小。簡単にできたらしい」


「そう、それは良かったわ」


「このまま市場に出していいか、確認の為に来てみたんだが、食事の邪魔して悪かったな」


「大丈夫よ。食いしん坊さんが一人いるくらいで、まだこれからだし」


「とりあえず、意見を貰いたい」


「じゃぁ、食事をしながら試作を使ってみるわね」



ルエルはブロッサムと話をしながら、試作のフェアリーコームを受け取る。

明るい色の木をベースとした一本くし。

取っ手の部分に淡い緑と赤の色の魔石が埋め込まれている。


「ブロッサムも一緒にランチはいかが?」


「いいのか?」


「ユーキ、アイ、イリッシュ、ブロッサムも一緒でいいわよね?」



この場面で断れる訳ないですよね!



「俺は構わない」


「私もいいよ!」


「私も大丈夫です」


「じゃぁ、お言葉に甘えて!すまんな!」


ブロッサムは椅子を隣のテーブルから持って来て、ルエルとイリッシュの間に陣取る。

早速料理に手を伸ばしてきたが


「ちょっとまった!!」


「どうした小僧。食べないのか?」


「いや、食事前のあいさつと乾杯がまだだ!」


「そ、そうか。悪いな」


「ブロッサム、ワインでいいかしら?」


「あぁ。ワインで問題ない。軽いやつで頼む」


ルエルは棚からワインとグラスを持ってきてブロッサムに渡す。


この世界は仕事中にアルコール取ってもいいんだな。

確かフランスもランチでワインを飲むんだっけ?ジュースのようなものか。


ブロッサムはワインを。他の四人はジュースを。


「では、改めて、イリッシュとの出会いにかんぱーい!」


「「「「かんぱーい!」」」」


「そして!いただきます!」


「「いただきます!」」



「ユーキ様。それはなんですか?」


「小僧、その掛け声は聞いたこと無いぞ?」



「これは俺の国で食事前に必ず言うことになっている、あいさつだ!」


俺は、いただきますの真意を二人に話す。


「そんな意味があるんですね!」


「小僧の国はそんな考え方を皆もっているのか」


「そうだ!食事の前には絶対だ!二人とも、さん、はいっ!」


「「いただきます!」」




こうして、ランチ会が始まった。


ブロッサムはモリモリ食べている。イリッシュは野菜中心かな。

愛はバランスよくなんでも食べているし、ルエルもしっかりと食べているね。


「ユーキ。このコーム、私が試してもいいかしら?」


「そうだな、普段使う人が実際に使った方がいいな」


「イリッシュ、手伝ってもらってもいいかしら?」


「はい、ルエル様。なんでもお申し付けください」


「ありがとう。そのままそこに座っていてね」



ルエルは席を立ち、イリッシュの後ろに立つ。



「さっき沐浴したでしょ。まだ、髪が乾いていないから乾かしてあげる」


「あ、ありがとうございます」



ルエルはコームに魔力を流し、くしをイリッシュの髪にあてる。

イリッシュは目を閉じ、気持ちよさそうにしている。

はたから見ると、お姉さんと妹  って感じに見えるな。



こっちから見るとイリッシュの耳がぴくぴくしているのがわかる。

触りたい!!いつか触らせてもらおう。



「もういいかしら?どう?乾いた?」


「はい!すっかり乾きました!ありがとうござます!そのコームいいですね!」


「ルエルちゃん、魔力の消費はどうだ?」


「そうでもないわね。ほとんど減ってないと思うわ。これなら誰にでも使えそうね」


「よし!早速ギルドに持ち帰って、製品にするぜ!」


「おっさん。追加の依頼をいいか?」


「もういいわ、おっさんで。で、追加の内容はなんだ?」


「デザインっを変更して何種類か市場に出したい」


「そんな必要あるか?仕様が変わるだけで、作るのに時間がかかるぞ?」


「多少の時間なら問題ない。できたらこのようにデザインを・・・」



ブロッサムにコームのデザインについて話す。

魔石を取り付ける場所に彫り物を入れてほしい事。


明るい木目調のコームには緑のリーフ。黒のコームには白い翼の彫り物を。

そして、どちらにも『フェアリーグリーン』と名前を入れてほしいという事。


「まぁ、その位だったら大したことはないから問題ないと思うが」


「よろしく頼むよ!完成したらすぐに買い付けに行くから!」


「小僧もよく考えるな。完成品を何個か店に持ってくる。その後、商人ギルドに卸す。それでいいか?」


「あぁ、よろしく頼むぜ!」


ブロッサムが立ち上がり、帰ろうとした時。


「待って!ブロッサム!」


「ルエルちゃん、どうした?」


「ブロッサムに伝えないといけない事があって・・・」


「はい!聞きます!何でしょう!?」


ルエルがブロッサムに伝える事。何かあったか?


ルエルとブロッサムの目線が重なり合う。

な、なんだこの空気は。なぜかブロッサムの頬が赤くなる!

タコだ!ドンドン赤くなってく!




「さっきのワイン代。2000ジェニ」


「え?ワイン代?」


「食事の時に一本飲んだでしょ?」




飲んだね!確かに!軽めのワイン飲んでた!

あ、頬の色が戻った!




しぶしぶワイン代を払ってギルドに戻るブロッサムの背中がちょっと寂しそうだ。

ルエル、商売上手!あのワイン、商品だったのね!





食事も進み、時間がゆっくりと過ぎていく。






「イリッシュ。聞きたいことがるの」


ルエルがイリッシュに話しかけた。



「はい、ルエル様。何でしょうか?」


「あなたはこれからどうしたい?帰りたい?」


「そ、それは・・・・」







沈黙の時間が続く・・・・・



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