第033話 ~洗濯粉と光具~
今回は愛視点でお送りいたします。
さっき、二階に行ったルエルさんが一度戻ってきた。
私には声をかけず、倉庫に行ってすぐに二階に戻って行った。
何かあったのだろうか?
しかし、手で洗濯するのは時間がかかる。
特にお兄ぃの着ていた服は大きい。
お兄ぃ体大きいんだね。
お兄ぃの着ていたシャツとズボン。
しっかりと洗ってあげないとね!
あれ?洗濯粉が無くなった。
補充用の粉はあるのかな?
さっきルエルさんが来た時に聞いとけば良かった。
二階に行って聞いてこよっと。
お風呂場から出て、足を拭く。
ちょっと聞くだけだから服はこのままでいいや。
さっきの話だと、二階の奥の部屋にいるはず。
階段を上がり二階に行く。
どの部屋かな?
あ、あそこの部屋か。少し扉が開いていて声が聞こえる。
「ユーキ。早く出して」
「ちょっと待ってくれ。初めて何だからゆっくりでいいだろ?」
「早くしないとアイが可哀そうよ。一人で待ってるのよ」
「わかった。なるべく早くするよ」
な、何の話だろ?気になってしまうのはなぜ?
「出しだぞ。で、これどうするんだ?」
「まずは、きれいに拭きましょうね」
「この布で軽く拭けばいいのか?」
「綺麗になるまで拭いて。入れた時きれいな方がいいわ」
「そうだな。入れる前はきれいにしておいた方がいいな」
お、お兄ぃ何拭いているの?
「こんなもんでいいか?」
「いいわよ。早速しましょうか?」
「そうだな、早く入れたいし」
「どう?初めて出してみて。感想あるかしら?」
「そうだな。思ったより小さいな。こんなサイズのを入れるのか?」
「そうよ。でも、これが普通サイズなの。力を流すともっと大きいなるわ」
ちょーー!何入れるの?どこに入れるのさ??
小さいのが普通サイズって!ナニのサイズ!?
「ユーキ、私が上に上になるから、しっかりと支えていて」
「ルエルが上か。わかった、しっかりと支えておくよ」
「そんな感じでいいわ。動くわよ」
「ちょっと待って!急に激しく動くなよ!ずれるだろ!」
「ごめんなさい。久しぶりだったので、急いでしまったわ。もっとゆっくりな方がいい?」
「ゆっくりな方がいいに決まってるだろ。あまり早いとよく見えないし」
「そう、じゃぁゆっくりするわね」
「頼むよ。初めて見るんだ。よく見せてくれ」
お兄ぃぃぃ!!なに!初めて何見るの!!
ルエルさんも、何見せてるのさ!!
「ユーキ、よく見ててね。この小さい穴に入れるの。穴の上のポッチに注意してね」
「そのポッチはなんだ?」
「入れる前には触らない事。触れてはだめよ」
「わかった。ポッチに触れずに、穴にいれればいいんだな」
「穴に入れた後、しばらくたったらポッチにも触れていいわよ」
「そうなのか。入れた後に触ればいいんだな」
「じゃぁ、よく見ててね。こうやって入れるの」
「良く見える。すごいな。さくっとこのサイズが入るのか」
「初めはゆっくり入れてね。ずれると入らないから。途中まで入ったらあとは一気に入れてもいいわ」
「なるほど。やり方は元の世界と大体同じだな。ちょっと見た目が違うけど」
「お、奥まで入ったわ。どう?ユーキもしっかりと見えてる?」
「あぁ、奥まで入ってるな。この後はどうするんだ?」
おぉぉぉにぃぃぃぃ!二人で何しているの!!
これって!まさか!あれですかぁー!
「奥まで入ったら、さっきのポッチに触るの」
「もういいのか?さっきはしばらくたってからって」
「大丈夫よ。奥までしっかりと入っているし、問題ないわ」
「初めに私が触るのから、後でユーキも触れてみてね」
「わかった。あとで触れてみるよ」
「よく見ててね。んっ、あ、熱い。でも、ここで力を抜かない事。もう少し強く、力を入れて」
「熱いのか?」
「こ、ここに力を入れると、熱くなるの。でも、やけどするほどではないわ。力は抜けてくるけどね」
「それって、俺がやっても同じか?」
「きっと同じだと思うわ。でも、もしかしたらユーキの方が上手いかもしれないわね」
「まぁ、後でやってみるさ」
お兄ぃ。ルエルさん。
私、立てなくなちゃった。腰が抜けてるかも。
どうしよう。二人の事好きだけど、顔を見る事ができないよ・・・。
「もう十分ね。これだけやれば。ほら明るくなった」
「もういいのか?」
「これでしばらくは大丈夫だと思うわ。そろそろ降りるわね」
「あぁ、しっかし支えているから大丈夫だ。これ、消す時はどうするんだ?」
「付ける時と同じように、触れて暗くなるよう魔力を流すだけよ。できなかったら教えて」
「わかった。色々と勉強になったよ。時間かかって悪かったな」
「次からは一人でしてね。ユーキならきっと大丈夫。私は戻るわね」
あ、ルエルさんがこっちに来る。
どうしよう。う、動けない。逃げたいのに!!
「あら?アイどうしたのそんなところです座り込んで」
「えっと、二人で何してたの?」
「この部屋の光具が切れたので、ユーキに交換する所を見せただけよ。次からは一人でやってもらうけどね」
「そ、そなんだ!なーんだっ、そんな事だと思ったよ!勘違いしてないよ!!あはははっ!」
「何だ。愛、いたのか?何してんだそんな所で」
「お兄ぃ!紛らわしい!もっとはっきりしてよ!」
「い、意味が分からん。愛はどうしてここに?」
「え?せ、洗濯粉なくなって、補充用の粉どこにあるかルエルさんに聞きにきたの」
「粉だったら一階の倉庫にストックがあるわ。取りに行きましょうか」
ルエルさんは階段を下りていく。
「お兄ぃ。一生のお願い一回目!」
「何だそりゃ」
「おんぶして、下に連れてって!」
「子供じゃあるまいし」
「お願い!今、立てないの!足が痛いの!」
「はぁ、しょうがないな。ほら」
私はお兄ぃの背中に乗っかる。お兄ぃの背中は大きいね。
昔からずっと見ていたのに。何だか最近、遠くに行ってしまう気がするよ。
ずっと一緒に、いつまでの一緒にいることができたらいいね。
早く、家に帰ろうねお兄ぃ・・・




