第029話 ~攻撃魔法と回復魔法~
「お兄ぃ!起きて!何寝てるの!!ルエルさん、お兄ぃが!」
「ユーキ!何寝てるの!しっかりして!!早く前線に戻って!」
は?前線?
俺はボーっとしながら目の前の状況に愕然とする。
何あのドラゴン。
何あの鎧着たでっかいトカゲ。
何あの数。わらわらいるよ?
しかも、みんな敵意剥き出し。
「お兄ぃ!早く!戦闘開始だよ!」
戦闘開始?
何で俺、戦闘なんて?
「ユーキが復帰するまで、私が持つわ!後衛でユーキを回復して!」
「ルエル様。かしこまりました。早急に対処いたします」
「前衛は魔具で広域魔法展開!絶対にユーキに近づけないで!私は前衛のサポートに入る!」
「ルエルさん!おっけー!まっかせてよ!!」
「御意。決してユーキ殿には近づけませぬぞ!」
あんたら誰?
愛とルエルはわかるが他に何人か女の子がいる。
顔がちょっとぼやけて見えるが、多分可愛い!
あれ?あの子、どこかで見たような?
思い出せない・・・。
大量の竜軍が行進してくる。
これってやばくない?
人数に差がありすぎでしょ?
早く逃げないと!
「み、みんな!何してるんだ?早く逃げないと!」
「ユーキ、何ってるの?混乱中?早く治してもらって前線に復帰してよ!」
「そうだよ、お兄ぃ。ここまで来たんだから殲滅しなきゃ!!」
おーーーい!この竜の軍隊を全滅させるの?
こっち、10人いないよ?
なに二人ともやる気出ちゃってるの?
「お兄ぃはそこで見ててよ!私が、守ってみせる!」
「そうね、ユーキはゆっくりしていて。私もちょっと本気になって来るから」
「ユーキど殿は少し休まれよ。我も多少ながら力にはなるぞ」
???
この人たち何いってるの?
「お兄ぃ見ててね!いっくよーー!!『業火の聖霊よ!今こそ我にその力を与えん! バーストマシンガン』!!」
愛の両手から無数のバスケットボールくらいの火炎弾が放たれる。
そして行進してくる軍隊に打ち込まれる。
愛、お前すごいな。何それ?
「それでは、我も一つ『山の聖霊よ!その大地に眠る力を我に与えん! グランドクラッシャー』!!」
行進してくる軍隊の足元が揺れだす。
そして、地面にひびが入り、崩れる。極地地震か!
地面が割れ、軍隊の行進が止まる。
「ユーキ。ちょっと危ないから離れていてね『暴風の聖霊よ!その凶悪なる風にてこの地を無に帰せ!ダブルハリケーン』!!」
ルエルの左右の手から風が流れていく。それは次第に大きくなり、右巻きと左巻きのハリケーンに姿を変える。
動けなくなった軍隊にハリケーンが襲う。舞い散る砂ほこりが目に入る。
ハリケーンはしばらく軍隊の真ん中でぐるぐーるしている。
あ、また一体胴体が引きちぎられた。飛び出る血がハリケーンの風に流され、天高く昇っていく。
次第に、深紅のハリケーンとなっていく。
グロイ・・・。
「ユーキ様。失礼します。回復いたしますので、目を閉じてください」
あ、すいません。ありがとうございます。
その少女は両手を俺の頬にあて、何かぶつぶつ言ってる。
多分魔法の詠唱だろう。どんな詠唱なんだろうか?
「ユーキ様。かわいそう。こんなになってしまって。私が全身全霊を持ってなおします」
両手を俺の頭の後ろにあて、俺の顔を胸に押し当てる。
あったかい!
「『光の聖霊よ。我に力を。リフレッシュ!』」
頭が温かい。ほわほわする。まるで夢のようだ。
目の前も後ろもあったかい。気持ちい・・・。
回復してくれた子は、俺から離れる。
「もう、大丈夫ですね。私も前線に行きます。もう少ししたら、ユーキ様も前線へ」
ニコっとしながら、その子は向こうに走って行ってしまった。
あ、思い出した!
この子馬車に乗ってたあの子だ!!
あの子こんなことできるんだなーー。
なんでこんなことになってる?
からだも、あたまも、あったかい。ほわほわしている。まるで、ゆめのようだ。
夢?
俺は、夢をみてるのか?
そう思ったとき、逃げ出してきた竜が俺の腹に蹴りを入れてくる。
避けることができず、俺はもろにくらってしまう。
こ、これは痛い・・・・。
目が覚める。
そうだよね。夢だよね。あんな大軍と戦闘とかありえないし。
きっと、異世界と魔法とかいろいろあったから、こんな夢見たんだ。
ん?ここはどこだ?
俺はベッドに寝ている。
そして、俺の腹には愛の膝がめり込んでいる。
夢で見た竜の蹴りは、愛の膝蹴りか!!
いや、それよりも、なんで俺ここに居るんだ!!!!




