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第026話 ~ゴブリンとガスの元栓~



お、終わった・・・。


長かった。愛の髪も長かったが、乾かすのにこんなに時間がかかるなんて。


「愛、こんな感じでいいか?」


「お兄ぃありがとう!久しぶりにお兄ぃに乾かしてもらっちゃった!」


終始ニコニコしている愛。髪も乾いて、いい匂いがする。




俺は今、立っているのがやっとだ。恐らく魔力を使い続けた結果だろう。


「ル、ルエル。魔力を使い続けると、何か問題はあるのか?」


「少ない魔力を連続消費している場合は、体に影響はほとんどないはず。一気に消費すると、気絶するけどね」


「怖いな。魔力って回復するのか?」


「もちろんするわ。一番は寝る事。他にも、休んだり、リラックスりたりするといいわね。中には瞑想して魔力回復を高めたり、回復薬を使ったりする事もあるわね」


「ちょっと座っていいか?さすがに疲れたみたいだ」



俺は椅子に座り、入れてもらったお茶を飲む。

どの位でこのだるさはなくなるのだろうか?ちょっとつらいな・・・。



「ユーキの魔力って弱いけど、量はあるみたいね」


「そうなのか?」


「こんな長い時間、連続使用できるって事は相当量よ」


「お兄ぃは、細く長く!だね」


「それはいいことなのか?」


「今の段階では何とも言えないけど、私の知る限りユーキが一番じゃないかしら?」


「でも、強力な魔法は使えないんだろ?」


「練習すれば少しは強くなると思うわ。頑張ってね」


「お兄ぃ!練習練習!ファイト!!」


「が、頑張ります。ところでルエル、魔法についてもう少し知りたいんだが」


「いいわよ。私の知っている範囲で教えてあげる」




俺は指にはめている翻訳の指輪を触りながらルエルに問う


「エンチャントって魔石以外にもできるのか?」


「あまり聞かないわね。魔力を帯びているアイテムにエンチャントしたって話を聞いたことがあるわ」


「魔法で生み出した物質にエンチャントできるのか?」


「魔力で生み出した物質には魔力があるから、理論上できるわね。やったことはないけど」


「試した事はないのか?」


「魔力で出した物質は、すぐに消えてしまうもの。付与する意味がないわ。複合魔法はよく使われるのにね」


「例えば、矢を生み出して、矢に火をエンチャントすれば火の矢ができると思うんだが」


「適性も問題もあるし、火の矢を生み出すのであれば、ファイヤアローを数十本放つ方が攻撃力はあるわ」



なるほど。納得。この世界では攻撃魔法がたくさんありそうだな

せっかく全適性あるんだから、何か便利な使い方はないものか・・・。



「翻訳の指輪について聞きたいんだが、この指輪はどこまで翻訳してくれるんだ?」


「会話ができる種族であれば、誰とでもできるはずよ」


「動物や魔物はできないのか?」


「恐らくできないわ。発した言葉が翻訳され、相手に理解できるように変換されるの。動物は言葉を知らないわ」


「動物は無理か。魔物は?魔物は魔力があるから会話できるのでは?」


「お互い意思疎通の意識がないと無理ね。魔物は知性がないもの。魔物と出会ったら倒さなきゃ」


「お兄ぃは動物と話がしたいの?日本でも同じような道具売っていたけど、私はお話できなかったよ」


「そうだな。俺も動物と会話はできなかったな。仮にゴブリンと話をしようとしたらできるのか?」


「できないわ。ゴブリンは魔物、話が通じる相手ではないわ。会話する知性はないのよ」



そうか、何となくわかった。俺がゴブリンと話ができた理由。俺の推測が正しければ、愛も会話ができるはずだ。



もともと会話ができる者同士であれば問題がない。

互いに言葉がわからなければ、言葉を翻訳する。

ただし、こちらも相手と意思疎通をしたいと思い、相手を会話ができる対象として認識する必要がある。


この世界ではゴブリンは魔物と認識され、誰も翻訳の魔法で会話を(こころ)みない。


そんな推測が俺の脳裏をよぎる。固定概念。

知らないものは無いのと同じ。知る努力。新しいことへの挑戦。


きっと何年も経過すれば、ゴブリンも会話の対象として見てもらえる時代が来るだろうか?

今は魔物だがゴブリンはきっと未来を切り開くことができる。


俺も、自分の未来を切り開き、元の世界に帰る!!

家の窓開けっ放し、玄関開けっ放し!ガスの元栓閉めてない!早く帰らなければ!!!!




「お兄ぃ、何か考えてる?さっきから顔が怖い」

「ユーキ、大丈夫?口がひきつってるわ」




「何でもない。大丈夫だ。ゴブリンと言えば、この街に貴族から逃げたゴブリンがいるらしいな」


「さっき酒場で話をしていたわね」


「お、お兄ぃ!ゴブリンいるの!」


「愛、酒場で聞いて無かったか?大声で話をしていた奴がいたじゃないか」


「ごめん、聞いてなかった」


「確か4匹逃げたみたいね。その後どうなったのかしら?」



ドキドキドキ


話をそらすか、核心を突くか・・・・



「もう町から出て行ったんじゃないか?結構時間立っているだろ?」


「夕刻には逃げているみたいだったから、その可能性もあるわね」


「ルエル。俺のいた世界では魔物はいない。もし、ゴブリンにあったらどうすればいい?」


「恐らくそんなに強くないと思うわ。先制攻撃して、即殺す」





こ、殺す!?ルエル、あっさり『殺す』とか言ってる!!!


異世界はやっぱり異世界だ!

本気で、本気で生き抜かなければ・・・・



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