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第013話 ~聖剣と本当の笑顔~


「今から話す内容は私が子供の頃に聞いたお話。それと、何故私が一人でこの店にいるかも話しておくわね…」


ルエルはゆっくりと語り始める。




…5分経過



「そして、6種族の長達がそれぞれの~~」



…10分経過



「そしてついに最終決戦の時が来たの! 魔王との最後の戦いよ!初めに~~」



…15分経過




な、長い……。いったい何時まで話すのだろう?

変なスイッチ入ってますねルエルさん。熱く語り始めてから結構時間がたってるぞ。


愛はしっかりと聞いているのだろうか?ふと、愛の方を見てみるとうつらうつら、かっくんかっくんしており、目はしっかりと閉じている。

口元にはよだれが…




「愛! 寝るな! まだ話は終わってないぞ! 」


「ふにゃぁぁっ! お、起きてるよ! しっかりと聞いているから大丈夫! お兄ぃの方こそ、しっかり聞いていてね! 」




…さらに5分経過



「そして、この店に私だけがいるの。何となくわかってくれたかしら? これで、一通りの話は終わりよ」



話し終わったルエルはカップと手に取り、紅茶を飲む。


「あら、冷めてしまったわね。紅茶を入れ直しましょうか。ちょっと待っててね」



な、長かった。やっと終わった。小学生だった頃に朝礼で話をしていた校長先生を思い出す。


「お兄ぃ。ちゃんと聞いて理解できた? 」


「あぁ、大体な。話自体は長かったが、この世界とルエルの置かれている状況は何となく理解できた。愛は大丈夫か? しっかりと話についてきていたか? 」


「だ、大丈夫。で、でも念の為、お兄ぃがしっかりと理解できているか不安だから、要点をまとめて話してみて。私が聞いてあげるから」




愛よ。絶対に話聞いていなかっただろ。よだれ垂らして寝ていたくせに!



「じゃぁ、要点まとめて簡潔に話すぞ」


俺はルエルの話をほぼカットし、簡潔に要点をまとめ愛に話す。



数百年前に魔族の中に巨大な魔力を持った魔王が現れた。魔王は自身に宿った魔力で、次々と魔族を操っていった。


魔王軍ができる。6人の魔人を筆頭部下として組織され、他の種族を支配しようとしていた。

人間族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、海人族、竜人族の王都に魔王軍が同時に襲い掛かった。

6種族のそれぞれの王都では、一人ずつ勇者を選び、魔人の不在になった魔王城を攻めることにした。


各王都では防衛線をはり、魔人の侵入を防いでいた。


6人の勇者は魔王城に行き、魔王と戦う。


人間の持つ全属性適応を最大限に生かすため、火水風土雷正魔の魔石を埋め込んだ聖剣を準備。

獣人・海人・エルフ・ドワーフの4人で火水風土の結界を魔王にはり、竜人の雷鳴で魔王を足止め。


最後に人間が聖剣で魔王を打ち破った。


魔王は7つの体に切り裂かれる。

魔王は最後の力で頭部以外の6部を配下の魔人の元に転位させる。


魔人の元に現れた魔王の部位は魔人に魔力を渡し、部位は消え去る。

次の瞬間、魔人を含む魔王軍は全て消滅する。


頭部のみになった魔王はそのまま魔王城に残りゆっくりと消えていく。

最後に言い残した言葉はこうだ





「おまえらに束の間の休息を与えてやろう。いつの日か必ず復活する」





各王都を攻めていた魔王軍は消滅したが、魔人のいた後にはダンジョンができていた


人間族には地下ダンジョン。


エルフ族には森林ダンジョン


ドワーフ族には山岳地帯ダンジョン


獣人族にはフィールドダンジョン


海人族には幽霊船と海底ダンジョン


竜人族にはタワーダンジョン



各ダンジョンには魔王の魔力の影響のなのか、モンスターや魔物が出るようになり、たまにダンジョンの外に出てくる。

各王都はダンジョンのモンスターを退治するのと同時に、フィールドに溢れたモンスターを退治することになる。



魔王を倒したあとは復活にそなえ、人間の王都で対策が練られた。


各種族で有能な人員をつのり、ダンジョンをそのまま異空間に転移できないか実験が始まった。


転位魔法はすでにあり、実用化されている。同じ時間軸・空間であれば転位することが可能だった。


しかし、時間軸も空間も異なる所へ移転させる事は不可能だった。


何度も実験、検証を繰り返していったが成功する事はついに無かった。


魔王を倒してから数十年の時間が過ぎ、だんだんと魔王復活に対して意識が薄れていった。



そして、ついに人間族は魔王復活への対策を行うことをやめてしまった。



人間族の王都では対策にかかる資材や費用を他の事に使った方が、国が発展すると踏んだのだろう。



人間族の支援がなくなってしまった結果、異空間転移魔法の実験はエルフ族だけで継続することになった。


それも、たった一人で。


そのエルフは、実験、検証を繰り返していた。

店を営んでいたので、それなりの収入はあったが実験にかかる費用は莫大だった。


少しづつ借金をしてしまい、気が付いた時には莫大な借金となってしまった。


実験はあと少しで成功するかもしれないところまで来ていたが、全て凍結。


借金返済の為に、仕事に集中した。


そのエルフには家族ができた。息子が生まれた。息子が奥さんを貰った。そして、一人の子供ができた。


その子供がルエルだ。


じーさんが他界し、店と異空間転移魔法の事をルエルの父が引継ぐことになる。


父が借金の返済をしながら実験を行っていった。


しかし、ルエルが15歳になる時、両親はエルフの族長により国に呼び戻されてしまう。


正確な理由は最後まで教えてくれなかった。エルフ族の今後にかかわるという事だけは教えてくれた。


一人になって生活を始め、しばらくたつと金融ギルドが来るようになった。


まだ、借金が返し終わっていないらしい。


あと少しなので、ルエルが返済する事にした。契約書も再度交わした。


そうして、現在になり




「俺が裸で転移して来た!  って事だな!」



「お兄ぃも話長いね。途中意識が飛びそうだったよ」



「寝るなよ。これでもルエルの話の内容を90%カットしたんだぞ。特に魔王との交戦部分を」


「そんなにカットしたんだ…」



紅茶を入れ終わったルエルが戻って来る。




「ずいぶん長いこと話してしまったわね。明かりをつけましょうか」



するとカップをテーブルに置いたルエルは窓際の魔石をさわり、魔力を流す


ライトではないが、光の魔石が天井や壁にあるようで、連動し部屋が少し明るくなった。


光の魔石以外にも壁にはランタンの暖かい明かり。

テーブルにはロウソクの明かりが灯っている。



「すっかり日が落ちてしまったわね。二人とも、お話はすんだかしら?」



この暖かい明かりがある空間はどこか落ち着く。まるで雰囲気のよいバーだ。


アルコールは飲めないが、紅茶がある。


「この紅茶うまいな」


「そう、ありがとう。いつでも入れてあげるわよ」


俺を笑顔で見つめてくるルエルは、明かりの効果なのか色っぽく見える。

その笑顔で接客すればいいのにな。これが本当のルエルの笑顔なんだな、きっと。


「色々と話したらすっきりしちゃった。二人とも、ありがとう。私の話を聞いてくれて」


「ルエルさ、。そんな事無いよ。いつでも話してよ! 」


「アイ、ありがとう。今日は二人に会えてよかったわ…」






「で、本題はここからなんだろう?ルエル」


「そね、本題はここからね…」


俺とルエルはここからが本番だと思っている。

前菜は食した。これからがメインディッシュだ。


愛はきっとまた寝るだろうな…。



今回は異世界の成り立ちのお話でした。

説明文っぽいので若干文字多めの文です。

飽きずに、引き続きよろしくお願いします。

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