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第136話 ~嫌がらせと濡れた彼女~


 イリッシュがトレイを持ち、お客様の隣に立つ。

オーダー品をテーブルに乗せ、並べていく。


「なんだ、随分時間がかかったな? この店は客を待たせるのか?」

「申し訳ありません。お待たせいたしました」


 客はニヤニヤしながら、がに股で椅子に座っている。

兜をテーブルに置き、剣を椅子に立てかけている。冒険者か?


「謝って済む問題だったらいいな」


 客の手が、イリッシュの腰をつかんだ。

軽く触るとかではなく、がっつりと掴んでいる。

そのままイリッシュの腰に手を回し、自分に引き寄せる。


「お、お客様。やめて下さい」

「こっちだって待ったんだ。少しくらいサービスしたっていいだろ?」

「困ります。他のお客様の迷惑ですよ」


 イリッシュも、普段だったら反撃をするところだが我慢している。

店内でもめるのは良くない。でもな、時と場合によるんだぞ?


 客の手はそのままイリッシュの胸を揉み始める。


「お客様!」


 イリッシュが声を上げるが、店内の客は誰も見ない。

もしかしたら面倒な客だとみんな知っているのか?


 俺はカウンターから少し離れ、腰につけていた魔銃をとりだす。

他のお客様にばれないように、死角からもめている客の顔にむけ打つ。




――パスン




 威力は最弱にしているので、もちろん怪我はない。

客の顔がずぶ濡れになる。ささっと、俺はカウンターからイリッシュの隣に移動し、客の腕を取り払う。


「お客様、いかがいたしましたか?」

「お、お前! これはなんだ!」


 濡れた客は髪をかきあげ叫んでいる。


「汗ですかね? 当店も店内の気温には注意しておりますが、申し訳ありません」


 白々しくそんなセリフを言ってみた。

その隙にイリッシュをカウンターの方に戻す。


「これはお前がやったんだろう!」

「さぁ、私にはわかりかねます。それと、当店はそのような店ではありませんので」

「客に向かって、その口はなにごとか!」

「騒ぐと他のお客様の迷惑になります。お会計でよろしいでしょうか?」

「会計? ふざけるな! まだ手を付けていないだろ!」

「では、ご飲食後にお会計を」


 客の手がプルプルしている。怒ったかな?

このままだと、他のお客さんに迷惑だし、何より悪いうわさが広がるのは良くない。

俺は手に持ていたタオルを差しだす。


「こちらのタオルはサービスです。濡れてしまったところをおふき下さい」


 客はタオルをぶんどり、頭と顔を拭き始めた。

 

「それでは、ごゆっくり」


 その場を後に俺もホールに戻ろうとしたが、イリッシュは心配そうに俺の方を見ている。

ルエルとフィルも手を動かしながら俺の方を見ている。俺の行動は正しいのか?

ちょっと考えてしまう。


「お前、いい度胸しているな」

「スタッフを守るのも私の仕事なので」

「後で話がある」

「ええ、構いませんよ」

「会計が終わったら、表に出な」

「ひと段落ついてからでよろしいでしょうか?」

「それまでは待ってやる」


 良くわからん客だ。暴れたら速攻外に出そうと思ったのに。

俺がテーブルから離れたら普通にオーダーした軽食を食べ始めている。

何だこいつ? 変な奴だ。まぁ、食い逃げよりはいいか。


 特に気にすることもなく、俺はカウンターに戻る。


「ユーキ兄、ごめんなさい」

「イリッシュが謝る事ではない。俺の方もすまなかった。俺が初めから行けばよかった」

「二人とも、話はあと。このオーダー持って行って」

「分かりました!」


 イリッシュも気を取り直し、トレイを片手にホールに戻っていく。


 少しだけ店の中に風が入ってくる。

さっきまでの熱さを取り除いてくれるような風だ。



 風と一緒に愛の声も聞こえてきた。



「そこのおにーさん! 彼女にこのクシどう! 濡れた彼女に絶対にいいアイテムだって! 今ならドリンクサービス中だよ!」


 愛の実演販売で、店はまだもう少し混むかな。しかし、声のかけ方が……。

まだ店内は混み合っている。落ち着くまでもう少し時間はかかるな。


 おっと、そんな事を考えていたら洗い物がまた溜まっている。

早く処理しないと。俺はひたすら皿とコップを洗い、棚に戻していく。


 さっきの問題になった客は紅茶を飲み、のほほんとしている。

一体何が目的なんだ? ただの嫌がらせか?


 まだこの客から目が離せないな……。




ユーキ「おいっす!」

フィル「……ん」

ユーキ「読者のみんな! いつも読んでくれてありがとう!」

フィル「……ありがとう。感謝する」

ユーキ「ん? フィル、元気がないな」

フィル「……後書きには出たくない」

ユーキ「なぜ! 本編と違って好き勝手できるんだぜ!」

フィル「……仕事がたまる」

ユーキ「フィルは真面目だな」

フィル「……ん」

ユーキ「読者のみんなに、この場で色々と話せるんだぜ!」

フィル「……ボクは特にない」

ユーキ「そんなこと言うなって!」

フィル「……帰っていい?」

ユーキ「ちょ、一言だけ!」

フィル「……わかった。一言だけ待つ」

ユーキ「読者のみんな! 感想とか、メッセージとかまってるぜ!」

フィル「……ボクも待ってる」

ユーキ「わかったよ、もう終わった。さぁ、店に戻ろうか」

フィル「……早く。みんな待ってる」

ユーキ「それじゃ、読者のみんな! またな!」

フィル「……ブクマも合わせてよろしく」

ユーキ「なんだ、フィルも言ってるじゃないか」

フィル「……今回だけ。もう帰る」

ユーキ「ま、待って! そんなに早くいかないでくれ!」

フィル「……ユーキはいつも遅い。早くする」



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