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第104話 ~大型武器と副作用~


 サーニアの姿が変わってしまった。トランスという魔法を解除したらしい。

今の姿はやや紫になった髪と瞳。背中には蝙蝠(こうもり)の翼、ひょろっとした黒い尻尾。

耳も少しとがった感じするし、頭に小さな角がある。


 だがしかし、スタイルはそのまま! ナイスバインがまだ露わになっている。

トランスを解除したことにより、全体的な雰囲気がピンク色になった気がする。


 まずいな……。このままあふあふ責められたら俺のマグナムが火を噴いてしまうかもしれない。

その前になんとか対処せねば。


「ユウ、準備はいいかしら? そろそろ責めに行くわよ?」


 怪しげな笑みを浮かべながらサーニアは俺に近づいてくる。


「準備は終わってないが、待ってはくれないのだろ?」


 俺は短剣を片手に防御の体制をとる。相手の出方を見て、カウンターを入れてやる!

サーニアの武器はナイフが三本。両手はまだ何も持っていないので、どこかに隠しているはず……。


「あら? 女性を待たせるのは良くないわね。じゃぁ、これをユウに貸してあげるわ」


――ッシュ! ザク!


 サーニアの手から模擬専用のナイフが一本俺の足元に刺さっている。

いつの間に投げたんだ? 投げる瞬間を見る事が出来なかった。

サーニアから目を離してはない。動く速度が上がっているのか?


「借りてもいいのか? サーニアのナイフが一本なくなるぞ?」


 俺は足元に刺さったナイフを拾い、装備する。

右手に短剣、左手にナイフ。もともとナイフとか、あまり得意じゃないんだよな。

やっぱり後でフィルに専用の武器を作ってもらうとするか。



「何だったら後二本貸してもいいのよ? もうナイフは使わないし」



――ッシャ!


 サーニアのとがった爪が俺の頬をかすめた。

一本の赤い線が浮かび上がり、ツーッと生温かい血が流れる。


 早い。まったく目で追いつくことができなかった。

俺に軽いダメージを負わせたサーニアは、すでに俺の後ろにいる。


「武器の追加はしてもいいのかしら?」


 サーニアはボムおじさんの方を見て、追加の武器について聞いている。

俺から目を離している。ちょっと卑怯かもしれないけど……。



――ッサ!


 俺の左手から一本のナイフがサーニアの腹部をめがけ、飛んでいく。

練習用のナイフだから刺さらないと思うが、大丈夫かな?


 サーニアの腹部に当たる瞬間、サーニアはボムおじさんの方を見たままナイフを指二本で受け止めた。

おっふ。何だそりゃ。まったくこっちを見ないで受け止めたぞ?



「あわてないで、ユウは今から私と遊ぶのよ?」


 瞳だけ俺の方をみて、話しかけてくる。

あ、これって結構力の差出てないか? 勝てる気がしなくなってきた。


「武器の追加は問題ない! さっきの箱から好きなのを選んでくれ!」


「良かったわ。じゃぁ、今度はこっちの武器でユウと遊ぼうかしら?」


 サーニアは右手に大型のバトルアックス。左手に等身大のバスターソードを持っている。

あれ? サーニアは力持ち? 普通にその両アイテムは重いと思うのだが?


「不思議な顔をしているわね? 私が両手で装備したらおかしいかしら?」


 一歩一歩俺に近づいてい来る。まだ射程範囲外。どうする?


「サーニアは重いもの持てないと思っていたのだが?」


 あと数歩でサーニアの射程に入ると思う。躱して、少し時間を稼ぎ、攻撃パターンを読む。

大型の武器は攻撃の型がほとんど決まっている。

パターンを読んで、カウンターを入れてやる!



「トランスの魔法の副作用ね。魔力と腕力とか、いろいろ制限がかかってしまうの。今は制限なしよ」


「病気じゃないのか?」


「副作用って言ったら理由を聞かれ、いずれ魔族とばれてしまうでしょ? だから病気って事にしているの」


「魔族が街に潜り込んで何をしている?」


「普通に仕事して、生活しているだけよ。ユウと同じ。何も変わらないわ」


 サーニアは楽しそうに、アックスを俺の頭上から振り下ろす。


――ッザク!


 バックスップで躱した俺の目の前をアックスが振り下ろされ、地面に刺さっている。

幾ら練習用の武器でも、これって危険なんじゃないか? 当たったら絶対に痛いと思うんだけどな。


――ブォォン!


 風を切りながらバスターソードが俺の右側から迫ってくるのが見えた。

しゃがみ込み何とか躱す。風を切る音が俺の頭上を通っていく。

そして、さわやかな風が俺の髪をなびかせる……。


 再び、武器を持ち上げ攻撃体制に入ってくるサーニア。


「サーニア以外もトランスして街にいる魔族はいるのか?」


「恐らくいると思うわ。姿が変わり、魔力や力に制限がかかると、さすがに私でも見ただけで判断できないわね。でも、私と同じように、人間と一緒に、普通に暮らしたい魔族は大勢いるの。でも、大半の人間は受け入れてくれないでしょ?」


――ッシャ!


 サーニアがアックスを頭上に投げ飛ばした。ものすごい勢いでアックスが空に舞い上がっていく。

なんだその腕力。反則だろ。


 見上げていると、頭上から両手でバスターソードを握ったサーニアが俺に襲い掛かってくる。

両手で、あの腕力で振り下ろされたバスターソードは、例え防御しても骨が折れそうな気がする。

躱すしかないな……。


 俺はサーニアが着地する前にサイドステップで少し離れる。



――ドゴォォォン!



 小さなクレーターができた。

そして、空に舞い上がったアックスが落ちてくる。

華麗に片手で受け止め、再び攻撃態勢を取る。



「サーニア、普通にこの街で暮らしたいのか?」


「そうよ。争い事は嫌いなの。静かに、ゆっくり暮らしたいわ。ねぇ、ユウ。二人で一緒にお店でもしない?」


 その腕力に攻撃方法! バトルマニアと言っても過言じゃないだろ!

でも、性格はさらっとしているし、スタイルいいし……って、そんなこと考えている場合じゃない!


「断る! 俺は借金があり、守る家族もいる! 二人で店はできない!」


 今まで避けていたばかりの俺は、攻守反転。サーニアの懐をめがけスライディングする。

サーニアの足の間に自身を滑り込ませサーニアを真下から見上げる体制を取る。


 ここから反撃開始だ!

見上げた体制では、バインのせいでサーニアの顔が見えないのは本人のみ知る……。



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