006
「もっと早く走れないの!?」
僕は、爆発の音がする方に向かって、走り続けていた。しかし、アポロに聞いた話の通りなら、あと、10km程はある。こんな調子で走っていたら、ついた頃には終わってしまっているかもしれない。そんな訳で、僕はとても焦っていた。
そんな僕の問いに、アポロは驚愕の事実を言い出した。
『なら、俺で魔装しろ!それなら、あの村に2分程度で着くはずだ!』
その言葉を聞いた時、僕は思わず立ち止まってしまった。自分の拳が深く握り締められているのを感じる。
「ねぇアポロ。」
『なんだ!早く行きたくないのか!』
「ふふふ・・・ねぇ、今までどうしてそんなことを教えてくれなかったのかなぁ?早めに魔装っていうヤツをしておけば、すぐに村についたんじゃないのかなぁ?ねぇ?なんで黙ってたのかなぁ?」
『ひ、ヒィ!何かお前の後ろに見えるんですけど!?鬼よりも怖い顔が見えるんですけど!?すみませんでした!だって聞かれなかったしぃ?魔装したら、俺が疲れるし?いや、俺ってトランス状態だと、目立つし?』
「ていっ!」
『ギプン!』
アポロの言い訳タイムが予想以上にウザかったので、とりあえず、チョップを入れておいた。それにしても、なんだよ!目立つとか、ナルシストか!ナルシストなのか!?
「・・・とにかく、その魔装っていうヤツをお願い!」
『おうよっ!行くぜ?お前の頭の中に魔言を送り込むから、その通りに言ってくれ!』
その言葉とともに、僕の頭の中にある言葉が浮かんでくる。
アポロと一緒にその言葉を唱えた。
『「【守護神アポロンよ・力を貸したまえ・さすれば太陽のごとき力を得ん・魔装[アポロ]!】」』
瞬間、僕の周りを炎が包み込む。
「うわっ!?アツ・・・くない?」
中は全然熱くないようだ。っていうか、木にも火が燃え移って無いから、この炎自体が熱くないのかな?
そして、光がさらに強くなり、僕は目を瞑る。そして、光が収まったと思い、目を開けると、
完全に姿が違う僕となっていた。
体の全体は赤い鎧で覆われている。背中の方は見えないが、翼が生えている・・・ような気がする。そして、何より、僕の目を引いたのが、いつの間にか持っていた、真紅の剣だった。僕の体に合わせて、少し小さくて、それでいて、とても力強さが感じられる剣だった。
『おうっ!これで魔装完了だ!』
「うにゃっ!?」
いきなり剣がしゃべり出したので、柄にもなく、変な声を出してしまった。
『うにゃ?まあ、いいか。じゃあ、一応説明するぞ?この形態は、俺の魔装形態【大陽機龍アポロ】だ。まあ、詳しいことは、飛んでいる時にするとして・・・スバル。お前、飛ぶイメージしてみろ。』
「え?うーん・・・こうかな?」
イメージした瞬間、僕の体が浮いた。
『そうそう。そういう感じだ。じゃあ、飛ぶぞ!』
「うんっ!」
何かわからないけど、この姿だと飛べるみたいだ。
そうして、僕は空に飛び立った。
「うわぁ!気っ持ちいい!」
『だろ?』
かなり上空まで上がり、僕らが向かう村のようなところが見えた。
「・・・燃えてる?」
『ああ、そのようだな。急ぐぞ!』
「うんっ!」
行きたい方向に飛ぶイメージをすると、その通りになった。
そして、僕は飛んでいく。
飛び始めて、二分ぐらいがたった。僕は村についた。着いたのはいいのだが・・・
「な、ナニコレ・・・」
『こりゃあ、ひでえな。盗賊かなんかが来たのか?しかも、相手も魔装してやがるな。こんな事人間の体じゃあ、まず出来ねぇ』
あったのは、人の死体と、燃える村。そして、逃げ惑う人々と、それに襲いかかる、3体の機械だった。
僕が呆然としていると、近くで悲鳴が聞こえた。
「っ!」
『行くぞ!スバル!』
声のする方に飛んでいくと、一体の機械が誰かをつかんでいるのが見えた。あいにく、機械で隠されて、掴まれてる人が見えない。
『相手もトランスしてるんだ!あのタイプは魔装の腕と、本人の腕が別々になっている!腕ごとこの剣で切って、蹴飛ばしちまえ!』
「分かった!」
そして、相手の距離がどんどん近くなる。
僕は、手に持っている剣を振り上げ・・・
「せいやぁっ!」
「ぷぎょっ!?」
男の機械の腕ごと、捕まっている人に当たらないように切り、そのままのスピードで、機械の胴体部分を蹴る。
男は、ものすごいスピードでどこかへ飛んでいってしまった。
男を先に倒したいけど、まずは助けた人に挨拶しなきゃだよね。
そう思い、僕は、助けた人に、声を掛けた。
「ふぅ・・・大丈夫だった?おねぇさん?って!なんて格好してるの!」
そこにいたのは、上半身が裸で、下もパンツしか履いていない、綺麗なおねぇさんだった。
それが、僕とおねぇさん・・・ノエルとの出会いだった。
遅れてしまってすみません┏○ペコッ
これからも、不定期投稿になると思います。
これからも皆様よろしくお願いします!