003
『いいか?魔法ってのはな。要は空想の具現化っていうヤツだ』
「くーそーのぐげんか?」
うん。さっぱり分かんないよ!もっと簡単に説明できないのかな?
『あー。要するに、自分の思ったとおりのことが出来るという事だ。』
それならわかる気がする。
「つまり、雨が降るって念じたら、雨が降るようなもの?」
『まあ、そんな所だ。でも、それに値する魔力と、適切なイメージが大事なんだ。』
魔力とは、体の中に流れている、血とは別の管を通して全身に流れているエネルギーのことらしい。
「ふーん。一回やって見せてよ。」
『・・・ここ森の中だしな~。お、丁度いいところに。』
アポロが見る方向に目を向けると、そこには大きな湖があった。
『よし、ここでやろう。よく見てろよ?』
「うん!」
もうワクワクが止まらないよ!遂に・・・遂に僕にも魔法が使えるかもしれないんだ!
『[火の玉]』
アポロがその言葉を唱えた瞬間、アポロの目の前に火の玉が出現した。
「おお~!」
『まだこれだけじゃあ、攻撃できないただの火の玉なんだけどな。よし、次だ。』
「うん!」
次はどんな事をするんだろう?
『[飛べ(シュート)]』
浮いていた火の玉が、湖に向かって飛んでいった。
「おおっ!凄い凄い!」
『まあ、これぐらいは出来て当たり前だな』
謙遜しているが、アポロもまんざらでもなさそうだ。
『次はスバルだ。イメージして、唱えるんだよ。』
「分かった!イメージだよね!」
ムムム・・・僕のイメージの火の玉・・・これだっ!
「[ファイヤーボール]っ!」
瞬間、僕の魔法が発動し、その事象が現れる。
「よっしゃ!出来た!今の出来たよね!」
喜んで、アポロに聞いてみる。
『・・・・・・ああ、出来たな。でもな?』
「?」
何か怒られることしたかな?よく出来たと思うんだけど・・・
そう思っていたら、アポロが興奮した様子で叫び出した。
『・・・火の玉ってまっすぐ飛んでいくのが普通だよな!?あんなにポンポンバウンドして行くものじゃないよな!?挙句の果てに水の中に入っても消えないとか、どんなイメージしたんだ!?』
「え、どんなイメージって・・・」
もちろん、ファイヤーボールといえば、赤い帽子のヒゲのおじさんが放つあれだよね?あれって水の中でも消えないよね?別におかしくないと思うんだけどな・・・
「・・・おかしかった?」
『お前の頭がな!』
その後、アポロに[火の玉]とは何かを一時間ほどかけて、伝授してもらいました。
・・・グスン・・・僕は何も悪いことしてないのに・・・
毎日2話投稿のペースで行こうと思います。
皆さん、これからもよろしくお願いします。