プロローグ(1)
初めまして。永村玄と言います。これが初めて書く小説なので、先輩方や読者様から、「こうしたらいいよ」などのコメントをいただけたらなと思っております。
毎日1話は投稿すると思いますので、これからよろしくお願いします!
「勇気って誰にでもある訳じゃないんだよ。」
そう兄さんは言った。
兄さんは、何でも知っている。まあ、たまにおかしな所があるけれど・・・
例えば、箒を剣みたいに振り回して、学校の先生に怒られたり、たまに授業中にボーっとして、怒られたりしているらしい。
理由を聞いてみると、
『まあ、俺にも色々あるんだよ。』
と言って、誤魔化された。
「そうやで。勇気っていうもんはな、いざってゆー時に行動できるか出来ひんかで決まるんやで。」
そう言うのは、兄さんの友達の、立川恵さんだ。関西弁で、たまに、僕の分からない言葉を使うけど、とにかく、面倒見が良くて、とてもいい人だ。
「そうですよ。勇気が無い人は、どこに行っても、逃げたしたり、怖がってしまう人が多いんですよ。」
後ろから、急に声がかかってきた。振り返ってみると、そこには、これまた兄さんの友達の新藤彩香さんだ。
「お、新藤。今帰り?」
「ええ。やっと弓道部の練習が終わったんですよ。もうクタクタです。」
新藤さんは、見た感じ、これぞ日本の女性っていう感じだ。こう、大人っぽくて、頼りがいがあって、そして、怒ったらとても怖い。そんな人だ。
「そう言う銀河くんは、今まで何してたの?」
「俺?俺は昴を学校まで迎えに行ってたんだよ。」
「ほんで、アタシはその付き添いっちゅう訳や。昴はおっちょこちょいやからな。怪我せぇへんように見とったらなあかんねん。」
「ええーそんなことないよぉ?たまーにコケるだけだし!そう!たまーに!」
兄さん・・・星森銀河は、とても不思議なことが多い兄さんだ。
あれは、三年前、僕が小学1年生だった頃の話だ。兄さんは、突然、この2人とともに、姿を消した。警察が捜査してくれたけど、結果は残念なものだった。どこを探しても、兄さんどころか、他の手がかりも、一切見つからなかった。
そして、一年前、忘れもしない、一学期の終業式。家に帰ると兄さんがいた。
『よお、昴。久しぶりだな。』
そんなことを言ってきて、僕はとても泣いたのを覚えている。
あとの2人も、無事に帰ってきていた。何があったのかを聞いても、何も分からない。とだけ言って、結局、事件の真相はわからずじまいだ。
そんな事があって、早くも一年が経った。
僕の日常は、三年前とあまり変わっていない。
家に帰ると兄さんがいて、父さんと母さんがいて、ペットのアルがいて・・・何も変わらない、いつもの日常だった。
そういつもの日常だったはずなんだ。
けれど、それは突然起こった。
「きゃっ!?」
「なんだ!?」
「うわっ!?」
僕達の足元から、光が溢れ出して、それは次第に大きくなっていって・・・
「くそっ!何でまたこうなるんだっ!」
そんな兄さんの言葉を聞いた直後、僕は気が遠くなるのを感じた。