02 ~ととスペシャル・いもうとよお前もか 前篇~
それぞれの始業から2週間くらい後。
なぜか木曜の朝急にぴかが言った。
「きょう、がっこういきたくないの」
とらは「遅れるから~」と、先に集合場所に行ってしまったのだが、あせる様子もない妹。
とらも、小学2年の時に学校に行き渋ったことがあり、その時は、泣くや喚くや大騒ぎとなったのだが、この娘について言えばそんなことはなく淡々と
「いきたくないの」
と繰り返すだけ。
ヨシコがなだめても、すかしても動こうとしない。
もともと泣いたりぐずったりということがあまりないのだが、この小学新一年生、実はなかなか強情で。
集団登校グループが出発してしまうと、ちょっと安心したように居間でくつろいでいる。
少ししてから、とともおじいちゃんに送ってもらい、学校へ。それでも妹、動こうとしない。
しかたないので、
「学校休みます、って先生に言いにいこう」
と手をひいて一緒に学校まで。もち、ランドセルも一緒。
ひじょうに素直に(つうか、けっこう機嫌よく)並んで歩いていく。
ところが。
学校まで着いたらやはり強情に
「なかに、はいらないからね」
だと。
担任の先生が出てきてくださり、事務の方も来て、子どもの喜びそうなトリック系のおもちゃを見せてくれたり何とか気分を盛り上げてくれたのだが、ニコニコと、はにかみながらもしかし妹はきっぱり
「きょうはかえるから」
だって。
先生と協議の結果、子どもと先生とで
「あしたはがっこうにくるからね」
と約束してから帰宅とあいなり、ヨシコら親子はすごすごと引き返す。
いや、ヨシコはしょんぼりだけど、ぴかはけろっとしておりました。
ところが校門を出ていくらもしないうちになんと
「オシッコ」
ですと。
学校に戻るわけにもいかず、急いで家まで、とヨシコは焦るがぴかは我慢できないという。
どこかお友だちの家で、とも思ったが娘が休んだ理由を説明するのも面倒。
仕方なく、ヨシコは途中にある、卒園したばかりの幼稚園に寄らせてもらう。
出戻りでんがな、とほほ。
登園直前の時間だったが、快くトイレを貸してくれたばかりか、主任の先生、ぴかに向かって
「今日は幼稚園で遊んでいきな。あ、そうだ。私今日小学校に用事あるから、後で学校に案内してくれる? それまで遊んでればいいからさ」
などと言葉巧みに誘ってくれ、ぴかもその気に。
ランドセルを職員室に預け、目で合図しつつ「それじゃすみません」とヨシコはひとり帰りを急ぐ。
と、幼稚園の前の交差点を渡ったとたん「おーい待って~」と主任先生に呼ばれ振り向くと
「やっぱり帰るって~」と。
愛しの娘ぴか、ランドセル背負ってニコニコ走って戻ってきた。
そして無事(無事?)帰宅。
翌朝、
「あたまいたいの」
と自分で熱を測るぴか。
今日は必ず学校に行けよ、睨みをきかすヨシコに返された体温計の温度はなんと
「37.7度……?」
泣く泣く休ませることに。
しかし病院で診てもらったら「風邪じゃないですね~ま、様子をみましょう」と。
日曜の夕方、担任の先生からお電話が。
すっかり良いようですので、明日は行けます(多分)、とお伝えする。
給食の白衣も先生が代りに持ち帰って洗って下さったとのことでヨシコは感謝。
「白衣の畳み方がすごくきっちりしていて、びっくりしました」と先生。
学校でしっかり、きっちりやらねばと常に気を張っている ようです、と気づいて下さっていたようで。
以前からぴか、外では手のかからない楽な子というイメージがヨシコにはあった。
きっと、小学生になったので今まで以上にがんばらねば、と思っているのかしらん、とも。
そんなぴか、予想通り土日は元気に過ごし、なんとタケノコ掘りまで。
それから月曜日はもののはずみで登校。
しかしさて火曜日は?
(珍しく、つづく)




