とと七歳・スポーツだったり芸術だったり悪戯だったりの秋 01
珍しく写真・とある発電施設資料館にて。「とりあえず全部押す」
◇◇
ようやく二学期始まる。長い、長い夏休みだった~とヨシコはため息。
初日の朝のととは、6時半に軽く声をかけただけでぱっちりと目覚め、朝ごはんももちろんカレーなのでちゃんと食べ、トイレで大も済ませ、うながされるままに着替えまですませ、なんといつもの一時間前くらいに支度終了。
しかも、「あっこう(学校)!」と、張り切ってカバン背負って玄関を出て行った。
毎日こんなに順調でありますように~、と思いながらも現実はそう甘くないのはヨシコもよくわきまえていた。
◇◇
「まま~」とおかしな発音のまま、ママ呼びが定着してしまったとと。
それでも「まま」を駆使して、自分の要求を色々伝えようとしている。
「まま~あっち、いって(そのまま『あっち行って』の意)」
「まま~あいしゅ、たい!(アイスが食いたい)」
「まま~ぺた、あって~(ひえピタのこと? と聞くと『ひえぺち、あってって~』と言い直す。)」
急に使用頻度が増えた高度なスキル。
特定の人物にターゲットを絞って要求が伝えられるようになったということなのだろうか、しかも応用が色々きくようになっているし。
今後も理不尽な要求が私目掛けて雪崩のように押し寄せてくるのだろうなあ……とヨシコは「まま」の呼び声のたびに「ひえ~~」と嬉しい(?)悲鳴をあげるのであった。
◇◇
相変わらず細かいのやらデカイのやらいたずら三昧。
ある時には、黒マジックで壁の一角に『ぺ』とたった一文字。
これを家の中数か所にやられる。
またある晩のこと。寝しなに二階の寝室からまた脱走。すぐに戻ってきたのでヨシコは特にチェックせずそのまま就寝。しかし……
朝6時。起きてきたヨシコが冷蔵庫を開けてみるとなんとな~く、なま冷たい。
おそるおそる冷凍を開けると……製氷皿の氷が半分がた溶けているではないか!!
一応、冷蔵庫全体は動いている。しかし確かに庫内温度は高めな感じ。冷蔵庫にエラー表示などは出ていないのに。
とうとう寿命か(でもまだ10年だよトホホ)と思いつつ、ヨシコは大急ぎで庫内の食品を整理。するとじいちゃんがやってきた。ヨシコが
「ねえ、冷蔵庫調子悪いみたい」
と伝えると
「だってオレ4時くらいに見たら、冷凍庫開いてたから閉めた」
あっさりとそう答える。
さては、寝しなの脱走時にあの小悪魔にやられたのか……しかしあの時は時間にしてほんの2分かそこら。
階段を駆け下りて、冷凍庫を開けて氷を出し、くわえてまた階段を上がり部屋に戻る……
それが本当にできたとしたら、完全犯罪???
じゃなくて。
夜の9時から4時まで、7時間もレイゾウコ開けっ放しだったってことぢゃありませんか~~
ヨシコは崩れ落ちた。




