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02

 新年はライトにリリカルに明けたものの、三学期からまたあいかわらずの暮らしが始まる。


 ◇◇


 久々に放浪癖が出たらしく、ヨシコが気づいた時にはすでにととの姿はなく。

 しばらく近所を探し回って、車を使おうと家に帰ってきたら近くの幼稚園から

「いますよ」と電話をいただいた。

 まあ、無事でよかったぜ、とほほ、とヨシコはまた歩いて幼稚園へと向かった。


 ◇◇


 叱りすぎなのか、自我の芽生えなのか、ととはヨシコにも反抗することが多くなった。

「ぷん!」と(わざわざ)言ってソッポ向いたり、モノを投げたり、上手く投げられないとまた拾って投げ直したり。また拾って投げ直すなど、几帳面この上ない。


 また、偉そうにもなってきたな、とヨシコは分析。

 車に乗せて走っている時、どこからか「ピーポーピーポー」と聞こえてきた。

 すると、とと、いきなり窓を大きく開け、「ん!んーんー」とヨシコに向かって何か訴えている。

「え? 何?」

 と聞いても更に訴えて音の方を指差すとと。ヨシコは

「あれ? ピーポーのこと? ピーポーは救急車だよ」

 と答えると、すかさず

「かい!」

 と叫んだ。『正解!』ということらしい。

 ヨシコすかさず突っ込んだ。

「なぜ私がオマエのクイズに付き合わねばならんのだ??」

 ととはみのもんたのような笑みを浮かべたきり、それには答えなかった。


 ◇◇


 一部屋に子ども三人と寝るのだが、みんな母の隣がよいらしく。

 小学二年になった長男・とらでさえ

「ぼくおかあさんのとなりー」と主張。はい、男はみなマザコンです。

 そこで毎晩起こる、熾烈な縄張りあらそい。

 そして力負けするのはいつもとと。

 それでも今までは、案外気にすることなくヨシコから離れたところに寝ていたのだが……


 ある晩、夜中にどうしても寝付けなかったとと、母の隣に移ろうとして、そこに毛筋ほどの隙間もないのに気づき急に大泣き。

 涙をこぼしながら、階下のじいちゃんばあちゃんの寝床まで小走りに去って行ってしまった。


 あまりにもかわいそうなので、ヨシコ、それからは日替わりで添い寝をすることに。

 計算上は、3日に一度はととに添い寝の番となる。

 またコイツはかわいいことに、いつも顔をぴったりとくっつけて、ヨシコの目を覗き込みながらニコニコとしてみたり、なにやらひそひそ話の真似事などしながら、気がつくと眠ってしまうのであった。


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