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とと六歳・イリュージョニストデビューですね、の秋 01

 とと画・ライオン、おなかすいた

挿絵(By みてみん)

 ◇◇ 


 さて二学期だね、また学校が始まるよ、とヨシコがいうと

「が、こ」

 と、ととは一言ずつ真似して言う。

 スクールバスに乗るのも久々だったが全然嫌がらなかったし。


 でも帰ってからヨシコが

「楽しかった?」

 と聞いたら、彼はひたすら首を横にふっていた。

 否定する姿が近頃の流行りだったので

「うん、よかった」

 ヨシコはあまり気にせずくしゃっと彼の頭をなでた。


◇◇


 二学期に入ってからも暑い日は続き、休みの度に庭プールや川にお世話になることが続いた。

 すっかり秋めいたその日も、気がついたら庭の水たまり、そう、すでにプールとは言えない緑色の淀みの中に裸んぼのととがちんまり、おさまっていたり。

 ヨシコ、ととを引きずりだしながら「つうかアタシが片付けろよな」と自分にも空しい突っ込みを行っていた。


 ◇◇


 養護学校での初めての運動会。


 その二日前から熱が出たり食欲が無かったりと不調だった彼。

 それでもニコニコしながら家族とでかけて行った。

 ……が、開会式の後、全体体操の時であった。

 遠くで見守るナミキ家ご一行さまの前に先生が走り寄ってきて一言。


「熱が、あとお腹にブツブツが……」


 熱は37.5℃くらいだが、上がり始めのようにぐったりとしていて、ただ泣くだけでラチがあかない。

 乗ってきた車は詰め合わせ駐車のため運動会終了まで校外に出せない。

 泣く泣くタクシーを呼んでもらい、とりあえずヨシコはととを連れて休日の救急病院へ。


 発疹があるので、窓もない小部屋に母子は軟禁状態。

 かなり待たされたあげく、救急に来られた小児科の先生「なんだろう……」と首をかしげている。

 発疹はすごく細かく、鳥肌のように盛り上がっているが出血はないとのことで、じんましんのようでもある、と。


 結局原因不明のまま、様子見ということで帰れることに。


 午後少し遅くなって、学校に車を取りに行く。

 ととは薬も効いてきたのか、自宅でぐっすりと眠っていた。

 お世話になった幼稚園時代の先生も見に来て下さってたり他にも何人か、楽しみにして来て下さってた方もいたのだが病魔には勝てず。

 車も動かせないので、体育大会の学校に取り残されたケイちゃんと兄と妹とが何となく片隅で弁当をつつくだけのイベントと相成った。


 後でととの病名が発覚。

 溶連菌感染症とのことで、抗生物質のバイシリンGを4週間飲み続けることとなった。

 ピークが一番のっぴきならないところにきた、という感じだったが、それでもその後は順調に回復していった。

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