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04

 学校のお祭りについても、毎日の練習に張り切っている様子が連絡帳からもうかがえた。

 本番、ヨシコとケイちゃんは遠くの方からそんなととを伸びあがっては見つめている。

 去年、見学に連れてきた時には音におびえ、騒がしさに怒って逃げ出そうとしていたととが、可愛い法被に身を包み、皆といっしょにおみこしをかついだり歌ったり踊ったりしている。

「さすが、さすがだ、学校ってさすがだな~」

 ケイちゃんはいつまでも感動していた。


 この頃。大きなできごとがあった。

 ケイちゃんと長男とで、遠く離れた公園に出かけた時のこと。

 男ふたりで、捨てられたばかりの子猫をいっぴき、見つけてしまったのだと。

 猫大嫌い、と公言してはばからなかったケイちゃんであったが、公園で目が合った瞬間、つい拾い上げてしまったらしい。

 小石混じりの溝にちんまり座る子猫の写メに「どうしよう?」と質問を載せて送ってきたケイちゃんに、「勝手にすれば」

 と返信してから、ヨシコはちらっと、傍らで無心に遊ぶととをみる。

「……これ以上手間がかかるモノは、ねえ」

 そうつぶやきながらもヨシコ、何となくととはネコと上手くやっていけるような気がしていた。


 確かに、彼と子猫とは、間もなく仲よくなった。

 子猫はととにすり寄っていく。それは、ズボンにアイスの甘いべたべたがついているからかもしれない。

 そしてととも、この小さな愛くるしいイキモノにもう夢中。

 そっと抱き上げては、頬をすりよせ、何度も撫でては、しまいにはどこかに閉じ込めようとする。学習机の引き出し、お菓子の缶、冷蔵庫の野菜室……

 大切なものは収納する、そこは良いのだがやはりまずい。生物学的にも、倫理的にもまずい。

 油断のならない日々は続く。

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