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02

 ヨシコの留守中、事件は起こった。


 妹は本人の希望で延長保育、じいちゃんとばあちゃんと二人、ととのお守りをしてくれていた。

 もうすぐヨシコが出先から戻り、そのまま妹を迎えに行くという時間頃のこと。


 一人残されていたととがあまりにもおとなしくテレビを見ていたので、じいちゃんは目を離し、ちょっとした用事に隣近所まで出かけた。

 少しして、ととが「じちゃ、ない!」とキョロキョロ。あわてたように玄関に出て靴を穿き、まっすぐそのお宅のほうに向かって行ったので、ばあちゃんは

「出てっちゃダメだよ!」

 と一応声をかけながらも、自分は車椅子なので追いかけられず、

「まあ、じいさんもいるしね」

 とそれほど心配もせず彼の後姿を見送ったのだが……


 しばらくしてじいちゃんが一人で帰ってきた。

「とと、行ったでしょ?」

 ばあちゃんが聞くと、「知らん、見てねえ」との返事。

 あわてて近所に連絡して捜しまわったそうな。


 さて、その頃ととはどこに……


 用事をすませて夕方遅く幼稚園に着いた時、預けたつもりのないととまで一緒に遊んでいたのをみてヨシコ、最初はきょとんとしていた。

 しかし先生から話を聞いて事件発覚。

 どうも、ととは300メートルほど離れた自宅から幼稚園まで一人で歩いてきたらしい。


 家に帰ると、じいちゃんが飛び出して来た。ばあちゃんも大騒ぎ。

「無事でよかったよう」「どこで見つけたの」

 大人が二人もいてどうして小僧にまかれるんだ? と怒るヨシコだったが、それでも無事だったということで、

『兄として妹を迎えに行こうとしたのだろう』との好意的な見解に落ちついた。


 めでたしめでたし。

 って、何だか民話調な家庭だなあ、といつもヨシコは思うのであった。


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