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AS(アクターステーション)  作者: ただっち
1章-入部編
3/5

体験入部その3

演技です。

作者の初めての役は、幼稚園の時の7人の子ヤギの長男役です。

 演技の練習。それは即ち、自身のキャラの幅を広げるに等しいものである。さらには、自身の限界を超えるためのものでもある。

 人間は人知れずに、自分自身に限界を持っている。

 ”ああやれば、こうなるから、これはダメ”や”○○ではないとダメ”など、ダメダメの枷を自身にかけているのではないだろうか?

 そんなものは、何事にも挑戦してから本当にできなかった時だけ言うセリフである。

 演技の練習はその枷を外してくれるものではないだろうか?と、俺は昔思っていたのだが……

 いざ自分自身が演技をするとなると、恥ずかしい。


「じゃあ、1年生の子たちが緊張しないように、簡単なのからやろうか」


 と部長がいう。


「じゃあ、寸劇やります」


 と部長が言うと、周りの先輩がざわつき始めた。


 ”1年生の子たちにいきなり、寸劇とか難しいんじゃない?”

 ”ああ、大変だろうな”

 ”私も最初恥ずかしかったから、全然できなかったし”

 ”何考えてるんだ? あの単細胞”

 ”基本、お気楽なのが奴の短所だからな……”

 ”そうね……。こないだだってさ……”


「ほら、周りは静かに! あと、悪口混ざってなかったか? 今」

「「気のせいですよ」」


 と先輩方の息はぴったりだった。すげえ。


「じゃあ、1年生の君たちに寸劇の事について説明するね」


 と言い部長は俺たち1年を集めさせて、説明を手振りを交えて丁寧に語る。


「寸劇ってのは、台本なしのアドリブ劇! 予めみんなに言い渡される設定の場所にあわせて、劇を行うものだ。例えば、コンビニだと、最終的には強盗が入ってそれを協力して捕まえる劇とか、万引きGメンの話にするとかまあ、色々あるよ。取りあえず、今1年生が4人いるから2人ずつに分けて、チームを作るからね」


 といい、俺たちに”グーチーでもして、チーム作っといて”といい、他の先輩方にも同様の指示を与える。

 グーチーの結果、きれいに男女で別れることができた。

 そんなわけで俺と嵩上君がチームとなった。

 嵩上君は化学科1年生の中で、というか学年全体で有名人である。と言うのも、嵩上君は、入学試験において300点満点中298点を取った秀才で、入学式の際には1年生を代表して挨拶をしていた。

「田沼君、よろしく」

 

 そういって嵩上君はニコリと笑う。俺もそれに合わせて


「うん、よろしくね。嵩上君」


 と笑顔を彼に向ける。

 先輩方もチームが決まったようで、分かれる。そして、1年生の俺たちをそれぞれのチームに入れる。


「じゃあ、寸劇始めるね。今回のお題は……夜の公園! 時間は5分ね。じゃあ、各自3分間で考えてね。3分経ったら、始めるからね」


 と部長が言い、チームはそれぞれ集まり考える。



「じゃあ、今回の劇は……」


 と俺たちのチームの指揮を取るのは、演劇部副部長の3年電気科の雷鳴らいめい先輩である。


「夜の公園だから、展開的に警察ものがいいと思うんだけど、どうかな?」

「いやいや、夜の公園だから恋愛ものの方がいいべ」


 と雷鳴先輩に言うのは2年自動車科の北中先輩である。

 北中先輩は顔が女子のようにかわいいのだが、男である。何でも、最近はクラスメートに真剣に告白されてしまったらしい。


「まあ、それもいいけどね。恋愛ものは時間がかかるんじゃないかな?」

「ああ……それも、そうっすね。凛音りんねはどう思う?」


 と北中先輩は、2年化学科の凛音先輩に話を振る。


「そうだね……。これを読んでる読者的には、恋愛をやってほしいだろうけど、まあ作者の疎い頭じゃ精々くだらねー恋愛とかになりそうだからね。だったら正攻法に、お化け物なんてどうだろうか?」

「なるほど・・それならいいな。じゃあ、お化け物でいこう!」


 と先輩たちと俺たち1年生は劇のはじめと終わりを考えるのであった。

 2年化学科の凛音先輩は、いわゆる不思議ちゃんキャラで通っている変人である(男である)。まあ、趣味が人間観察だというので、その趣味も合わさってよく不思議な発言をするというのがこの学校では有名なのである。


「じゃあ、お化け物って事だから、道歩いていて、お化けにあって、お化けをお祓いするけど結果取りつかれましたって感じで」


 といった感じで話がやや無理矢理まとめに入ったところで3分経った。


「よし、じゃあ寸劇やるぞ!」


 と部長がいう。

 順番はどうやら俺たちのチームが最初のようだ。


「じゃあ、よーい……始め!」


 と言い、俺たち1年生にとって初めての劇が始まった。俺の役は公園を歩いて帰る途中の学生Bの役である。嵩上君は学生Cで、主人公の学生Aは雷鳴先輩、お化け役は凛音先輩、そして何故だか道行くおじいさん役と言うのを北中先輩が担当する(この役いるのかな?)。


「あーあ、今日の授業もだるかったな~」


 と雷鳴先輩がその場で言う。演技が始まったのだ。


「そうですね。今日、僕の方は実習があったんで、余計に疲れました」


 と嵩上君は雷鳴先輩に言う。俺も負けずとセリフを言う。


「いや~……、俺も実習あったんで、実験大変でした」

「そういえば、田沼と嵩上は同じクラスだったもんな。今日の実験はなんだったんだ?」

「えっと……」

 

 と聞かれたが、俺はとっさにセリフが出なかった。そんな中、嵩上君はそれをフォローするように


「おいおい、田沼君。今日やった実験は、ナトリウムに水を加える爆破実験だったじゃんか」


 と言う。(※注意:ナトリウムは禁水性物質であるため、水に触れると爆発します。この物語はフィクションであるので、絶対に真似しないでください)


「おいおい、ナトリウムの爆破実験とか、お前ら何してんだよ」


 と笑いながら言う。


「いやあ、びっくりしたから、記憶も飛んでたのかも」


 と俺もナトリウム話にのる。


「ははは。全く、危なっかしいよ君たち!」

「いやあ、なんせ初実験だったんで」

「初実験で、いきなり爆発とか、そんなマンガじゃあるまいし」

「あの、雷鳴先輩」

「なんだ?嵩上」

「あそこにいるのなんでしょう?」

「あそこ? ……! うわ! …ってあれは、公園を散歩しているおじいちゃんでしょ」

「おい、小僧たち……この公園には、幽霊が出るぞ。悪いことは言わんから、早く帰った方がええぞ」


 そういって、おじいさん役の北中先輩の出番は終わり、端にの方にはけていく。


「なんだったんだ?今の爺さん」

「さあ? でも、いまどき幽霊なんてそんな非現実的なのが……」

「雷鳴先輩……あれ……」

「なんだ? 田沼、まさか幽霊でも……!」

「こんばんわ……」

「「「でたぁぁぁ!!!!!」」」

次回演技の続き

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