表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AS(アクターステーション)  作者: ただっち
1章-入部編
1/5

体験入部その1

演劇部って意外と知られていないことがたくさんあると思います。

 朝火工業高校に入学した4月。高校生生活が始まってまだ間もない春。俺は悩んでいた。その悩みとは恋でもなければ学業でもない。単純に”もうそろそろ部活動には所属しようか”と言うところで悩んでいる所だ。この学校には様々な部活が存在する。その中でも、この学校の中で有名なところは演劇部である。

 俺がこの学校に来たのには理由があった。化学が好きであるからと言う理由で、化学科に入ったのもあるが、ここの学校の演劇部に入りたくて入学したと言うのも理由に入るのだ。

 最近の特撮関連のスーツアクターや、俳優さんはこの学校の出身であるという情報をつかんでいたためである。そのため特撮好きの俺は、この学校の演劇部に入りたくて入学してきたようなものなのだ。

 しかしながら、この学校の演劇部の練習はスパルタらしい。そのため、中学3年間帰宅部であった俺にとっては未知の領域であるといえる。部活動に参加するというのも楽しみであるが、先輩との上下関係もしっかりできるかどうか不安である。

 そんな風に、入部届を握りこんで、放課後の教室で頭を抱えていると、同じクラスメートである並河なみかわが入ってきた。そして、俺に気付いたらしく


「おお、田沼。何してんだ?」


 と近くの席に座った。

 並河君は中学が同じで、サッカー部のキーパーをしている子でいつも明るいムードメーカーである。


「ああ、実は部活動入ろうと思っててさ~」

「え? マジで? お前、中学のときなんか『俺はゲーマーだから、部活はいる暇があったらゲームの2本や3本クリアするわ』とか言ってなかったっけ?」


 うわぁ~俺の黒歴史引っ張ってくるなよ……


「まあな。でも、ここの演劇部に入ろうかな~って悩んでるんだ」

「演劇部……まあ、文化部だから田沼には相応しいかもな」


 なんだよ。文化部馬鹿にするなよ。部活はそれぞれいいところがあるんだぞ!

 まあ、中学部活に入ってなくてゲームとラノベばっかりの俺が言えるセリフじゃないけど……


「体験入部にでも行ってみたらどうだ? 悩んでるなら、取りあえず行ってみた方がいいぞ」


 そういって、並河は”部活あるからじゃあな”と言って教室から出ていった。


「確かに……そうだよな。実際に行ってみてもいないのに、ごちゃごちゃ言ってても始まらないからな……」


 そういって俺は、くしゃくしゃになった入部届をカバンにしまって演劇部の部室へと向かった。



 演劇部の部室は3階の本校舎と実習棟との境目にある部屋である。

 部屋の入口には分かりやすく[演劇部作戦本部]と書いてあった。

 (ここは秘密基地なのだろうか?)

 などと、思いながら扉をノックする。すると、中から軍隊の格好をしてゴーグルとヘルメットをかぶった女性が現れた。


「何ようか?」


 とおもむろに足に装着していた拳銃を取り出して、俺に突き付けてきた。え? なんで拳銃持ってるの? 銃刀法違反の国だよね? ここ


「あの……えっと、体験入部に……」


 と言うと女性は拳銃をしまい、ヘルメットとゴーグルを脱いだ。

 髪が長く、そしてきれいな顔立ちの女性だった。そして彼女は俺に向かって申し訳なさそうな顔をして


「ごめんね。いつもみたいに、悪戯に来た生徒かと思っちゃった。」


 そういって彼女は俺の手を引いて、部室内へと入って行く。

 室内には同じく武装した集団がいた。ざっと、12人。そして、同じクラスの嵩上かさあげ君と住奈美すみなみさん、そして浅葱あさぎさんがその集団に交じって制服姿で談笑していた。

 すると、奥に座っていた武装した男性が1人、俺に近づいてきて


「始めまして、演劇部部長3年化学科の七海しちみだ。ようこそ演劇部の体験入部へ」


 と握手を求めてきた。取りあえず、”よろしくお願いします”と握手した。

 そして、部長が”そろそろ、練習始めるぞ”と言うと軍隊服を全員脱ぎだして、ジャージに着替えはじめた。女性もこの場所で着替えているのがやや驚くべき光景だ。

 


 さて、着替えが終わり全員が向かった先は意外にも外であった。そして、部長が”じゃあ、走るぞ!”と言って、全員が学校の外周を始めた。

 俺たち1年生は”始めてだから”と言う理由で後方を女子の先輩方と走る。


「君何科?」

 

 と走りながら聞いてきたのは先ほど、部室の入口で出迎えてくれた先輩だった。


「化学科です! えっと……」

赤留戯あかるぎよ。私も化学科の3年よ」

 

 と笑顔で言う。その隣を走っていた別の女子の先輩が


「名前、なんていうの? 私は、葛城かつらぎ。2年情報科よ。」


 と聞いてきたので俺は


「田沼って言います!」


 とやや緊張しながらも言う。すると、他にいた2人の女子の先輩方も会話に参加してきて色々と質問をしてきた。ちなみに、この先輩方の名前は神谷かみや先輩[2年情報科]とひいらぎ先輩[2年化学科]である。そして、話が盛り上がってきたところでランニングも終わり、再び室内へと入っていく。

 そして、室内では1階の多目的室で行ったのは演劇部のイメージとは違った練習と言うか、トレーニングが始まった。単純に言えば、文化部には決して関係ないであろうもの、筋力トレーニングである。


「体験入部の子以外は、腹筋50回を3セットな。体験入部の子たちは20回1セットでいいよ」


 と部長の七海先輩は言う。そして掛け声とともに腹筋が始まった。


「「1! 2! 3! 4!・・」」


 (まさか、文化部においてまさか、筋トレをするなんて・・)

 と思いつつ俺や、他の1年生たちも腹筋を始めたのであった。

作者は高校の時は演劇部でした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ