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202号室  作者: 紫雨
本編
2/16

02話 小さな変化

 杳は、圭祐のことをすきになったみたいだった。

 それはこの間の対面の彼女の反応からだけじゃなくても、手にとるようにわかった。

 あれからというもの、彼女は圭祐の話ばかりをするから。



「ねえねッ、血液型は?」

「B」

「わァ、あたしB型の男の子って好きだなァ!ねね、ケーキとか好き?クッキーは?」

「―――杳ちゃん、そんなの本人に聞けば?またお昼誘えばいいじゃない。この前一緒に食べたんでしょう?」



 止まらない杳の口に、私よりも先にストップをかけたのは親友の真井(まい)だった。

 この間はいなかったけれど、高校から一緒で、圭祐のこともよく知る人だ。



「そっかァ、!圭祐くん達だッ!呼んで来るねーッ!」


 食堂を歩く圭祐たちを見つけた杳は、一目散に彼らの元へ走って行った。



「すごいね、あの子」

「…お尻に尻尾が見えるよね…」

「この前からずっとあんな調子?」



 ず…、とストローで音をたてながら頷いた私を見て、私苦手だなぁ…と真井は呟いていた。

 私も、あんな杳は得意ではない。ていうか、彼女がああなったのも、あの日からで……それまではこんな子だとは知らなかった。ああ、恋ってオソロシイ。




「皆実、武仲とられちゃうね」

「だーかーらっ、そんなんじゃ――」

「わかってるって。あんた達の仲の良さは十分承知よ。でもどっちにしろ同じことでしょ?あんたたちは今、一緒に暮らしてんだから」



 真井が遠回しに、言いたいことはわかる。

 圭祐に彼女ができるということは、私のポジションはとても危うい。今まで、ただ仲が良いという関係だけでは、済まされないことだと思うから。




「……………」


 ずず…と、氷しか入ってないジュースを吸った。



 昔から、圭祐は何かとモテていた。

 私はそれをずっと見てきた、彼に1番近い存在として。

 あるときはねたまれたり、相談されたり。

 だからこういうことには慣れているつもりだったけど、大学に入って一緒に暮らし始めてからは初めてのことだった。



「連れてきたよーっ♪」


 杳が戻って来た。圭祐の腕に手を回して、随分とご機嫌な様子だ。



(………そんなにすぐ、くっついちゃわないよね)


 そう思って、自分の中で解決をした。心の奥で生まれた、少しの気持ち悪さを押し込めて。





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